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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.11.25 Group B 第2節 ウェールズ×イラン ハイライト~

■4枚残しが与えた隙がイランの突破の望みを繋ぐ

 2周目スタート!トップバッターとなるのは初戦でイングランドに大敗して後が無くなったイラン。迎えるのはベイルの獅子奮迅の活躍でなんとか勝ち点を拾ったウェールズである。

 どちらもプレッシングには積極的である。5-3-2のウェールズに対して、イランは2トップの脇にポイントを作り前進を狙っていく。だが、ウェールズはここの2トップ脇に立つイランの選手にもIHが積極的にプレッシングをかけていく。

 プレッシャーを受けたイランはバックラインでボールを回しながらフリーの選手を作り、ロングボールを蹴りに行く。このイランのプランは比較的うまくいったと言えるだろう。まず、システムを前節の1トップから2トップに変えたことで的が増えたこと。そして、収めるスキルが高いアズムンが先発に起用されたことが大きい。

 加えて、ウェールズ側の守備の事情も関係してくる。ウェールズはプレス時にMFが高い位置から追いかけるものの、DFがそれに伴ったラインアップができていないため、プレスに行くときにDF-MF間が間延びする。このスペースにイランの2列目は狙っていく。アズムンへのロングボールを拾うようにSHのアリ・ゴリザデ、ハジサフィとCHのノールッラヒーが前がかりに入り込んでいく。前がかりになるウェールズの裏をかく格好で前進する。

 ウェールズ視点でもイランの非保持の仕組みにも狙いどころはあった。4-4-2のブロックではあるが、基本的にイランはこの陣形を維持することに無頓着。高い位置からのプレスを逐次的に行なっており、4-4-2らしい形状をキープせずにマンマーク色を強めることで相手へのプレッシャーを優先した形になる。

 近くの相手を潰すためにプレス隊を続々投入するというスタンスのため、イランは大きい展開に弱い。ムーアへのロングボールや、大きくサイドを帰るボールなど縦と横に大きく振るボールを蹴ることができればウェールズは前進ができる。

 しかしながら、ウェールズの前進はイランに比べると詰まることが多かった。理由の1つはショートパスでの繋ぎに固執したこと。イランは後方のスペースを犠牲にしてでも突撃していたのだが、ウェールズは近め近めのスペースにショートパスを繋ぐことが多かった。

 もう1つ、大きな展開において受け手のサポート役を作れなかったこと。長いボールは滞空時間が長い分、非保持側の選手もプレーの予測がしやすい。よって、ボールを受けた選手が意外と時間がないことが多い。そのため少ないタッチでボールを預けられるサポートやくは必要だ。

 実際にムーアへのロングボールにウィルソンの抜け出しを合わせる形は良かった。少ないタッチで味方に繋ぐことができればウェールズはより良い形でチャンスを作ることができたはずだ。

 ウェールズは相手を横に揺さぶる過程でも技術的なミスが出ていた。ロバーツの横パスミスからボールをかっさらったアリ・ゴリザデがショートカウンターを発動。2トップとの連携でネットを揺らしてみせたが、これはオフサイドでゴールを認められず。ウェールズからすると助かった場面と言えるだろう。

 スコアレスで迎えた後半、ウェールズはサイドからクロスを上げようとポゼッションを増やしていくが、その過程がミスが出る。イランのメインはカウンター。ウェールズのミスを起点にポジトラ勝負で一気に敵陣のゴールまで進んでいく。

 ウェールズはボール保持において割とIHが移動を行うので、中盤手前でのロストからの被カウンターの状況には弱かった。特にDFの前のスペースでフリーの選手をイランに作られることが前半以上に多く、最終ラインは前も後ろも気にしないといけない状況に陥っていたのは厳しかった。

 イランの誤算はアズムンが元気なうちに得点を奪えなかったこと。ロドンに対して、動き出しで明らかに優位を取れていたので先制点を奪う前に負傷交代してしまったことは計算外だったはず。後半はカウンターを使うイランのほうが優勢だったが、アズムンの交代で試合は再びフラットになってしまう。

 その試合の流れを再び変えたのが退場劇。今大会初めての退場はPA内から飛び出して出ていったヘネシー。相手選手との衝突は一発退場をとられウェールズはこれ以降10人でプレーすることに。

 しかし、強気のスタンスを崩さなかったウェールズ。途中から採用していた4-2-3-1から4-4-1にシフトすることはなくベイル、ムーア、ジョンソン、ジェームズの4枚を前に残す強気の采配で勝ち点を狙いにいく。

 イランが焦っておりやや一本調子になったことはウェールズにとっては幸運だった。左サイドからの単調なクロスはなんとか防ぐことができていたウェールズ。このまま凌ぐことができるかと思われたが、最終的には劇的なミドルシュートで決壊。イランがチェシミの決勝ゴールで先行する。やっぱり、アレンの隣に誰か置かないのは無理というのがウェールズの4枚残しの結論である。

 終盤にさらに追加点を挙げてスタジアムを狂気の渦に巻き込んだイラン。最終節のアメリカ戦まで初のグループリーグ突破の望みを繋ぐことに成功した。

試合結果
2022.11.25
FIFA World Cup QATAR 2022
Group B 第2節
ウェールズ 0-2 イラン
アフメド・ビン・アリー・スタジアム
【得点者】
IRA:90+8′ チェシミ, 90+11′ レザイーアン
主審:マリオ・エスコバル

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