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「Catch up UEFA Champions League」~2022.3.15 UEFAチャンピオンズリーグ Round 16 2nd leg アヤックス×ベンフィカ

■先制点が全ての流れを変える

1st leg

 保持における破壊力を下地に、今年のCL決勝ラウンドの台風の目候補として名前を挙げる人も多いアヤックス。1stレグでは引き分けに終わってしまったが、2ndレグでもゴリゴリの攻撃色全開でベンフィカを攻め立てる。

 まずは相手のSHを手前に引き出しながらサイドに穴をあけて攻略するのが彼らの流儀。バックラインに1人相手の選手を置いてけぼりにしたところでサイド攻略に挑む。サイドはトライアングル、もしくは4人でポジションを入れ替えながら同じ位置関係のバランスを取ることが多い。

 アヤックスはサイドを変える機会は少なく、同サイドでの攻略をまずは念頭に置いている。スタイルは微妙に違えど、躍進したベスト4のシーズンもとにかくどこにでも顔を出すファン・デ・ベーク戦法で戦っていたので、近年のアヤックスには割と数的優位での局所破壊のイメージはある。日本でいえばそういうモードに入った時の川崎フロンターレ風味とでもいえばいいだろうか。

 右サイドのアントニーはそんな中でもソロでのドリブル打開ができる破壊力を持っている選手。普通はそうした選手には味方はカットインするスペースを与えるために離れることが多いのだけど、この試合においてはとにかく寄る。あくまでミクロなスケールでアントニーの持ち味を生かそうという考え方に見えた。もちろん、個々人のスキルは折り紙付きではあるが、全体設計としては欧州のトレンドとは結構逆行気味のチームだなというのが感想である。

 そんなこんな押し込み続けるアヤックス。ベンフィカは撤退しながらSHの位置を下げて、最終ラインの人員を確保するが、それでも破られかけてしまう。サイドでのパスワークからの抉るような侵入。ベンフィカはヴェルトンゲンとオタメンディを軸にただただ跳ね返す時間が続く。

 ベンフィカはボールを奪っても即時奪回の餌食に。密集に対して縦に突っ切ろうとするからダメなんだと気づき、横の大きな展開を織り交ぜるようになった途中からはだいぶ保持の時間を確保することができた。保持においては手早くトップに渡すやり方がメイン。トップのヌニェスは左サイドに流れながらロングボールを引き出しつつ収める機会はあった。

 だが、パスが2本とつながらないのがベンフィカの悩み。後半は中盤で引っ掛ける機会も増えて、カウンターに打って出れるケースも出て来たのだが、そこからパスがつながらないのでは意味がない。

 押し込み続けるアヤックスが依然有利と思われた展開だが、セットプレーからベンフィカがワンチャンスをモノにする。ヌニェスがFKに合わせてトータルスコアでリードを奪うゴールをゲット。アヤックスはマーカーのティンバーが競ることすらできず。懸念であった最終ラインの強度がここで足かせになってしまった。

 アヤックスはここから攻撃的な選手を大量投入するパワープレーに移行するが、焦りからオフサイドとファウルを連発。らしくない直線的な攻撃からはチャンスの芽は見えてこないまま、時間がどんどん過ぎていく。アントニーへのサポートの仕方も変更せず、1on1もやる気はなかったように見えた。

 結局試合はそのまま終了。ワンチャンスだが、的確に相手の弱みに付け込んだベンフィカがアヤックスの嵐のような攻撃を食い止め、ベスト8に駒を進めた。

試合結果
2022.3.16
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
アヤックス 0-1 ベンフィカ
ヨハン・クライフ・アレナ
【得点者】
BEN:77′ ヌニェス
主審:デル・セーロ・グランデ

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