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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.11.24 Group F 第1節 モロッコ×クロアチア ハイライト~

■整備された守備の賜物か、最後の局面の整備不足か

 どちらのチームもフォーメーションは3センターが逆三角形型に並ぶ4-3-3。ミラーのようでミラーでないフォーメーションの組み合わせで両チームは対峙することになる。

 相手にボールを持つことをより許容していたのはモロッコの方。トップのエン=ネシリのプレスの開始位置はアンカーのブロゾビッチが中心。クロアチアのCBにはボールを持たせる格好になった。

 モロッコほどではないにしてもクロアチアのプレッシングもそこまで前がかりではない。中盤からモドリッチが飛び出して前線のプレスに加わるパターンはあるものの、この辺りは決まりというよりモドリッチにタイミングを託されたアドリブ色が強いもの。レアル・マドリーでも見られる「いけると思ったら行ってもいいよ」くらいの制約のものだと思う。

 よって、まずは問われるのは互いの保持による解決能力である。モロッコのプランは外からボールを回していく形である。どちらのチームも基本的にはインサイドを閉めて、外でボールを回されることは許容していく形だったので、モロッコがボールを回す形を作るのはそこまで難しいことではなかった。

 サイドの崩しの主役となったのは右サイドのツィエク。パス交換からの動き直しからフリーになり、クロスを上げる間を取りながらPAにボールを放り込んだり、あるいは逆サイドに展開したりなど攻撃の起点になっていた。同サイドには大外を駆け上がることができるハキミもおり、モロッコは明確にこちらのサイドが強みという格好になる。

 しかしながら、この縦関係を強みにするための整備にはもう少し時間がかかるように見えた。ハリルホジッチ解任まで代表から長らく離れていたツィエクにとっては少し猶予が必要だろう。長いボールを蹴ることを囮としながら、ハキミの推進力を活かす形を作ることができるのはまだ先の話になるはずだ。

 クロアチアの保持はそれでも固めている中央でズレを作ろうというもの。CBがボールを運びながらモロッコの中盤を引き出し、空いたスペースにクロアチアの中盤が入り込みボールを引き取る。

 このプランを遂行するにおけるクロアチアの強みは3CHが均質的な役割をこなすことができること。どの選手も低い位置からボールを引き取ることができるし、ポジションをサイドや高い位置に動かしてもプレーができる。その分、個人個人が移動距離を長くしても許容ができる。その分、モロッコの中盤は受け渡すかついていくかを悩む部分が出てくるようになる。

 クロアチアは非常に慎重に試合を運んでいたため、中盤の選択肢の優先度はロストをしないポゼッションだった。その分、高い位置で前を向くトライは控えめ。前線や高い位置のサイドとの連携は薄く、ポゼッションからチャンスを作るのは難しかった。彼らがチャンスを作ったのはむしろ高い位置からモロッコの保持を引っ掛けたカウンターからの方が多かった。前半終了間際の大チャンスはクロアチアとしてはきっちり決めたかったところだろう。

 スコアレスで迎えた後半の頭、高い位置からプレスに行くようになったのはモロッコ。プレスを受けてもなお繋ごうとするクロアチア。近い位置でショートパスを繋いでのトライはモロッコのプレスに引っかかり、なかなか自陣から脱出することができない。後半の立ち上がりはクロアチアが中盤で捕まるシーンが多く、モロッコは敵陣内でプレーする時間が長くなった。セットプレーも含め、後半の立ち上がりはモロッコに最も得点のチャンスがあった時間帯と言っていいだろう。

 しかしながら、後半の立ち上がりを凌ぐと徐々にクロアチアがポゼッションを取り戻していく。中盤の移動は前半以上に多く、特にアンカーのブロゾビッチの左右に顔を出すことが増えるようになった。

 時間帯が進んでもバックラインが高い位置のチェイシングをやめなかったのもクロアチアの方だった。敵陣でプレーする機会を増やすための手助けになった。モロッコは試合終盤はこのクロアチアのハイラインを打ち破るロングカウンターに専念することになる。

 前後半を通じて、敵陣までは迫ることができてもそこからこじ開けることができなかった両軍。それが両チームのアタッキングサードにおける整備不足なのか、はたまたバランスが簡単に崩れない規律正しい守備の賜物なのかは残りのグループステージで答えが出るはずだ。

試合結果
2022.11.23
FIFA World Cup QATAR 2022
Group F 第1節
モロッコ 0-0 クロアチア
アル・バイト・スタジアム
主審:フェルナンド・ラパリーニ

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