MENU
カテゴリー

「Catch up Premier League」~2022.2.13 プレミアリーグ 第25節 バーンリー×リバプール ハイライト

■仕込まれたリバプール対策

 バーンリーが上位対決をやるという試合はエンタメ性に欠ける展開になりがちなのだけど、個人的にはこの試合はとても楽しめた。いいプレーがたくさんあった!とかそういうわけではないのだけど、なんで試合がこういう展開になったのか?に至るまでを考えるのが楽しかった。

 試合の内容としては当然リバプールの方がボールを持つ展開にはなっているけども、極端に支配的な展開にはならなかった。むしろ、中盤に締まりがないダラっとしたロングボールが飛び交うバーンリーの得意な展開になった。 従ってバーンリーにもチャンスは十分。前半でいえば、肌感覚としてはバーンリーの方がややチャンスが多いように思えたくらいである。

 試合がそういう展開になったのには個人的には2つ理由があると思っている。1つ目はバーンリーの攻め方の話。この試合のバーンリーの保持はかなり周到に準備をされていたように思う。

冬の移籍市場でCFがウッドからベグホルストに代わったことで、直近のバーンリーは相手の最終ラインの前でポストプレーを行うことが増えていた。しかし、この試合は明らかな例外。最終ラインから前線に出されたボールはほとんど裏へのもの。それに合わせて選手が抜け出す形である。

 選手の抜け出しには十分な数が用意されていることが多かった。今季ほとんどの試合で先発しているマクニールを外し、SHにコルネとレノンという今季最前線でも起用されている選手を置いたこともリバプール相手に本気に点を取りに行っている証拠。常に3人近くが抜け出しており、リバプールのDFラインが危うい形で受けることもしばしばだった。

 バーンリーはボールを出すタイミングも相当図っていたように思う。後方からせーの!で蹴るのではなくて、外から内側にバーンリーの中盤が横パスを受けたタイミングでワンタッチで前に蹴りだすことが多かった。これに何の意味があるかというと、リバプールの中盤が食いついたタイミングになるので、彼らとしてはラインを押し上げたタイミングで裏を取られることになる。

 特にバーンリーはファビーニョが食いついた時を狙っていたように思う。アンカーの彼が前がかりになれば、裏を取られて背走するDFラインをカバーできる役割は実質不在になる。軽い守備が散見されるリバプールのIHを1枚剥がして、ファビーニョがカバーに出たタイミングで裏に蹴る。これがこの試合のバーンリーのチャンス創出パターンだった。点にはならなかったけど、ここ数試合で断トツに点が入りそうだった。

 もう1つ、この流れを作った原因はリバプールのスタンスにある。バーンリーのこのやり方を封じるだけなら対策は非常に簡単。彼らにボールを持たせて、裏に抜けるスペースを埋めてしまえばいい。けども、リバプールはそういうことをしないチームである。

シーズンの雌雄を決する首位決戦や、ラウンドが進んだCLの決勝トーナメントならば、そうした細かいスペースのマネジメントにもこだわるだろうが、基本的にはオープンな展開はどんとこいである。当然、勝つ自信があるから。1つのミスの代償が高くつくCLとは異なり、バーンリーという相手を踏まえれば、リバプールがオープンな蹴りあいを制御しないのは当然のように思える。

 ダイチが仮にそこまで計算してこのやり方で得点機会を増やす奇襲をかけたのなら見事なものだし、その誘いを受けながら勝ちきるリバプールも見事。セットプレーのスラしに飛び込むファビーニョは技ありであった。

 試合自体はエンタメ性の高いものではないけども、その展開を作った背景まで見てみるとおもしろいという非常に興味深い試合だった。

試合結果
2022.2.13
プレミアリーグ 第25節
バーンリー 0-1 リバプール
ターフ・ムーア
【得点者】
LIV:40′ ファビーニョ
主審:マーティン・アトキンソン

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次