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「先制点を活用した主導権奪取」~2023.2.14 UEFAチャンピオンズリーグ Round16 1st leg ミラン×トッテナム ハイライトレビュー~

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ポイントを早々に見つけたミランが先制

 セリエAでは苦戦が続くミラン。週末にはようやく未勝利の沼を脱したが、劇的な内容の改善を果たしたとは言い難く、未だブレイクスルーがない状況にある。トッテナムとの一戦には3-4-3のミラーで臨む選択をするというのは噛み合わせの観点からも後ろを厚くする観点からも理解できる。

 ミラーフォーメーションではあるものの明確にプレスに出てくるわけではない両チーム。序盤は後ろに重たい相手の守備を崩すポイントをいかに作るかが問題となっていた。

 早い時間にポイント探しに成功したのはホームのミラン。FKのリスタートから長いボールをテオに当てる。トッテナムからするとマッチアップしたのがロメロという時点でやや後ろの構成にズレが生じていたと言えるだろう。ロメロがらしくない空中戦の競り負け方でテオにその先に行くことを許してしまうと、クロスを上げた先のインサイドにミランの選手の方が多いのはある意味必然。大外に余ったサレマーカーズと協力したディアスが7分に先制のゴールを決めてみせる。フォースターは非常によく反応しただけに悔しい失点となっただろう。

 トッテナム側の崩しのポイント探しはこの先制点によって難航することとなった。というのも、ミランのスタンスはゴールを決めたことで後ろを重心に置く形でOKという風になってしまったからである。攻撃の手段はレオンとテオの素早い左サイドが軸で後ろに重たくても大きな影響はなさそうで割り切りもしやすい。

 トッテナムは右サイドからクルゼフスキにボールを預けての打開を狙っていきたいところだが、同数で捕まえるミランに対してズレを作ることができない。それならば!とハイプレスをかけるが、この日のミランは冷静。バックラインに多少のバタつきは見られたが、動き回るトナーリや追い越す動きで味方のサポートをしたカルルなどにより、トッテナムのハイプレスを無効化する場面もあった。

 それでも、最終ラインの裏抜けを軸に少しずつトッテナムがペースを掴んでいく。ミランは先制点以降、明確なチャンスはなかったが、トッテナムにも前半終了までそこまで大きなチャンスを作らせないという相打ちに引き摺り込むことはできていた。トッテナムの危ういシーンに対してはオフサイドを取ることができており、気持ちよくシュートまではいかせることがなかった。

 後半開始後も悠々とプレーしていたのはミランのほう。前半に比べると、ミランはトッテナムのバックラインにプレッシャーに行ったり、あるいはボール保持で左右に揺さぶったりなどトッテナムの力量を見計らってのプレーが増えた印象である。

 だからこそ、57分にケインが体を張って獲得したFKは貴重なものだった。このFKは合わせることがうまくいかず、シュートまで持っていけなかったが、この時間帯はトッテナムは前線が体を張ることでチャンスを作ることができていた。

 一方でレオンを使ってのカウンターでミランが反撃をできていたのもこの時間帯。左サイドからのクロスを中心にあった2つの決定機は枠内を捉えていればゴールの可能性が高い非常に綺麗なクロスから生まれたものだった。試合はオープンで90分を通して最も両軍に得点が入りそうな時間帯だったと言えるだろう。

 前線を入れ替えることで活性化を図ったトッテナムだが、リシャルリソンやダンジュマは試合のテンポを変える役割を担ったとは言い難い。ミランの守備に対して終盤までトッテナムは光明を見出すことができなかった。体を張ってFKをもらっていた時間に比べたインパクトを80分以降はみせることができなかった。

 1stレグは早々に奪った先制点を守り切ったミランが先勝。アドバンテージを握り、ロンドンに乗り込むこととなる。

ひとこと

 ミランは先制点を活用することでうまく主導権を握る立ち回りを見せたと言えるだろう。後半頭も撤退+レオンというプランに舵を切ってもおかしくない中で、保持とプレスである程度の積極性をみせることができたのは停滞が続いたチームにとって良い兆候と言えるだろう。

試合結果

2023.2.14
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
ミラン 1-0 トッテナム
サン・シーロ
【得点者】
MIL:7′ ディアス
主審: サンドロ・シェーラー

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