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「Catch up Premier League」~2021.8.15 プレミアリーグ 第1節 トッテナム×マンチェスター・シティ ハイライト

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■試運転の機能不全を見逃さない

 開幕節随一のビックマッチが第1節の最後を飾ることになった。ケインがまだスカッドに戻ってこない中でヌーノを新監督として迎えたトッテナムは前年のチャンピオンと相まみえることになった。

 基本的にはシティの保持を受け止めるトッテナムという構図で90分間、この試合は進むことになる。シティのビルドアップはコミュニティ・シールドのレスター戦で見せたものと同じ。4バックがPA幅にとどまり狭い間隔を維持しながらビルドアップをする。あらゆるチームがGKを使い、CBが左右に大きく開きながらビルドアップをする時代においてトレンドに逆行する動きである。

 スパーズはこれに対して4-3-3で構える。3センターは3トップと連携し、六角形の中にアンカーのフェルナンジーニョを閉じ込め、中央からの前進を阻害する。昨年の対戦では4-4-2だったので形は違ったけど、トッテナム的には六角形の中に中盤中央のプレイヤーを閉じ込めながら、中央でボールを受けさせないというコンセプトは同じ。3トップはボールがサイドに出た時も、内側にボールを入れさせないような角度で相手のパスコースを切っていた。

 シティの攻め手は左サイドから。大外に張るWGのスターリングを噛ませて、インサイドハーフのグリーリッシュがエリア内に突撃していくスタイルである。突撃したIHがもともといたスペースには後方からメンディが登場。スターリング、メンディ、グリーリッシュのトライアングルでエリア内に進むスタイルだ。

 シティがさすがなのはこの3人の関係を立ち位置を変えながら機能させる部分まで昇華させていたこと。原則に沿った仕込みをするからこそなのだろう。

 しかし、シティはトッテナムを崩し切ることはできなかった。理由はいくつかある。1つはシティが大外で優位を取れなかったから。特にスターリングと対面するタンガンガがマッチアップをかなり優勢に進めたことが大きかった。そのため、グリーリッシュが深い位置に入っていくことからしかチャンスを作れない。

 さらに、ネガトラにおける脆弱性も大きな課題だ。インサイドハーフのグリーリッシュが高い位置をとるため、アンカー周辺のスペースは空いてしまう。逆サイドのIHのギュンドアンも特にバランスをとってアンカー脇まで下がるなどもしなかったので、フェルナンジーニョは広い範囲を一人でカバーしなければいけなかった。

 そのためにSBがナローに構えたのでは?とも思うけど、説明したように結局メンディは高い位置に出ていくため、アンカー脇のプロテクトはできない。どうしてナローに構えてビルドアップするのかはまだあまりピンとこない。

したがって、いちいちスパーズのカウンターは致死性のもの。ルーカスやベルフワインは中央のスペースからドリブルで容易にボールを運ぶことが出来ていた。

 スパーズはそのカウンターから先制点。たびたび脆さを見せていたシティの左サイドをソンが破壊。シティはアケとメンディの連携がうまくいかず、ソンにシュートコースを与えてしまった。

 シティは後半、スパーズの中央のプロテクトが甘くなる分フェルナンジーニョを使える場面は増えたが、IHがサイドへのチェックを強化したため、シティはサイドからの打開がなかなか難しくなる。特にこういう泥臭い仕事はあまりやりたがらなさそうなアリが黙々とプレスバックとチェックを繰り返していたのが印象的だった。

 徐々にスパーズを混乱させていた旋回も鳴りを潜め、シティは単調な攻撃を繰り返すように。最後はデ・ブライネの力に頼りやや息を吹き返した感があったが、ゴールをこじ開けることはできなかった。

 新システムの試運転感が否めないシティに対して、不具合をカウンターから90分間つき続けたスパーズ。ケインの去就や保持時の崩しのバリエーションなどの課題はあるが、まずは上々の滑り出しといっていいだろう。

試合結果
トッテナム 1-0 マンチェスター・シティ
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:55‘ ソン
主審:アンソニー・テイラー

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