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「Catch up Premier League」~Match week 11~ 2022.10.14-10.16

目次

①ブレントフォード【11位】×ブライトン【7位】

■「らしい」ブレントフォードが3試合未勝利をストップ

 リバプール、トッテナムと就任直後から強豪との試合が多いデ・ゼルビ。今節も難所であるブレントフォードのホームに乗り込んでの試合になる。メンバーは前節と同じである一方で、フォーメーションはマーチを前に押し出す4-4-2になっていた。

 ブレントフォードの今季は高い位置まで出ることができれば比較的やれる。しかし、実際にはブロックを組むことが多く、持ち味が出にくくなってしまっている試合が多い印象だ。

 この試合のブレントフォードは高い位置からブライトンを捕まえる意識が強かった。ブライトンはアンフィールドで善戦したにもかかわらず、トッテナムに苦戦した理由は縦パスを刺す場所をことごとく封じられていたからである。よって、ブライトンにとってはブレントフォードによって前節の課題を突きつけられている形になる。立ち上がりはイェンセン、オンエカというブレントフォードのインサイドハーフの潰しが好調。ブライトンはなかなか前進することができなかった。

 15分経つとなんとか前進ができるようになったブライトン。左サイドからエストゥピニャン、トロサールを軸にエリア内に迫っていく。

 しかし、先にサイドの崩しで結果を出したのはブレントフォード。右の大外からムベウモがマークを外し、オンエカが奥をとる。マイナスのクロスをおしゃれに決めたトニーが先制点を奪う。ブライトンとしては左サイドのエストゥピニャンが簡単にムベウモを外してしまったのが手痛かった。

 ここからはしばらく一進一退。ボールを持ち続けるブライトンに必死に食らいつくブレントフォードの構図は延々と続く。ブレントフォードのリードに風穴を開けそうだったセットプレーからのフェルトマンの決定機はラヤのファインセーブに阻まれる。

 後半、ブライトンは三笘を投入。今節は右サイドでの投入となった。ワイドから縦に進んでクロスという点では左サイドと遜色はないのだが、内側に入り込んできてからの凄みというのは若干右サイドに比べると劣る感じがする。最後は三笘は左に戻ったけども。

 個人的には少し1on1で強い選手に解決策を依存している感じがブライトンらしくないかなと思う。三笘、マーチあたりに後半は負荷がかかっていて、ララーナやグロスあたりが消えてしまうのが切ないところ。三笘のプレータイムが増えているのは個人的には嬉しいけども、ブライトンが苦しんでいる裏返しのような気もしないでもない。

 最後までファイティングポーズを下げずに勇敢に戦ったブレントフォード。「らしく」戦えたのはこの試合では彼らの方。小競り合いのあったトニー×フェルトマンのマッチアップからPKを得て追加点を奪うと、最後は5バックにしてクローズに成功。前節不振だったラヤもスーパーセーブ連発でシャットアウトに貢献。就任3試合勝ちなしとなったブライトン相手にブレントフォードが4試合ぶりの勝利を挙げた。

試合結果
2022.10.14
プレミアリーグ 第11節
ブレントフォード 2-0 ブライトン
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:27′ 64′(PK) トニー
主審:マイケル・サリスベリー

②レスター【20位】×クリスタル・パレス【15位】

■保持での手打ちが光る前半の応酬

 衝撃的なアマーティのバックパスミスや、両チームの立ち上がりの落ち着かない中盤でのロストの繰り返しを見れば「あれ、これアレな感じの試合?」と思うのも無理はない。少なくとも、立ち上がりはバタバタしており、両チームとも試合を掴みきれないまま展開がふわふわ宙を浮いていた。

 試合が引き締まったのはどちらのチームもある程度保持で解決策を見つけることができたからである。先に落ち付け所を見つけたのはパレスだった。4-1-4-1からデューズバリー=ホールが高い位置に出ていく4-4-2に変形するレスターの守備を利用。デューズバリー=ホールが前に出ていくことで空きやすいスマレ周辺のスペースに縦パスを刺していく。

 アンデルセンは抜け目なくパスを刺していき、エゼとシュラップのIHがそのパスを引き出す。パレスの保持はこのバックラインからIHの縦パスで攻撃のスイッチが入るように。

 しかし、レスターは中盤を前に出していくプレスを諦めず。その前がかりな姿勢に応えたのがバックライン。前節はオーバーフローしていたファエスは前向きに狙いどころを定めたボールハントで活躍。高いラインを維持する貢献を見せていた。

 もう1人、重要だったのはカスターニュ。キーマンのザハを徹底的に封じることでパレスのフィニッシュの精度を鈍らせることに成功する。パレスはエゼがザハにきつくマークがきている状況をうまく活用。ザハとレーンを変えて大外でフリーで受けたり、ザハに2枚マークがきていることを利用してミドルを放ったりしていた。

 序盤はバタバタ気味のボール回しが目立ったレスターだが、ティーレマンスが徐々に真価を発揮することで反撃に出る。バックライン付近に降りると、横の大きな展開でエドゥアールの1stプレスを外す。これによって持ち運びができるファエスの前のスペースを開けることができたレスター。シュラップを中盤から引っ張り出すと、そのズレを利用して左サイドからいい形の前進を重ねていく。

 パレスがシュラップを早めに出して4-4-2気味にするタイミングを早くすると、今度はティーレマンス自らがライン間に縦パスを刺す。右サイドから絞ったマディソンがその受け手に。保持における打開と対応力は近年薄れていたロジャーズのチームらしいものであり、とても優れた修正だったといえるだろう。スコアこそ動かないが見応えのある前半だった。

 後半は前半に比べるとややレスターよりのペースで流れた形なのかなと思う。バーンズが裏への駆け引きを見せるようになれば、パレスのバックラインは決めうちで前に出て行った潰しをするわけにはいかず。こうした駆け引きも含めて、徐々にレスターが敵陣深くまで入り込む。

 パレスは後半最初の交代でドゥクレとミッチェルという前半に負傷の素振りを見せていた面々を下げる。代わりに入った2人はやや安定感にかけるパフォーマンス。ミリボイェビッチは早々に入れ替わられてしまい、リーデヴァルドはSBという不慣れなポジションに収まる。対面がマディソンということもあり、リーデヴァルドをボール保持の起点として使うアイデアは面白かったが、いささか不安定感が否めない。

 エドゥアールのタイミングを外した形での決定機などパレスにもチャンスはあったが、より得点の匂いがしたのはレスター。バーンズとダカのワンツーでの抜け出しや、入り込むマディソンなどシュートを打つ機会は十分に作ることができていた。

 しかしながら、最後まで仕留めることができなかったレスター。決めきれなかったマディソンが審判を見ながらのシミュレーションで次節累積警告で不在になるというなんとも力が抜ける幕切れで、試合は幕を閉じることとなった。

試合結果
2022.10.15
プレミアリーグ 第11節
レスター 0-0 クリスタル・パレス
キング・パワー・スタジアム
主審:アンディ・マドレー

③フラム【9位】×ボーンマス【8位】

■停滞ゆえの撤退で手堅く1ポイント

 昇格組同士の試合となった一戦は序盤からいきなり試合が動く。決めたのはボーンマス。2トップのソランケとビリングが左サイドからのレーン交換を繰り返しながらエリア内に侵入。一気にゴールまで陥れることに成功する。

 先制ゴールの場面で見られたボーンマスのトップの可動域の広さは試合全体を通して効いていたといっていいだろう。特にソランケの動き出しに周りが合わせるように動く形は徐々にボーンマスの形として試合の中でも存在感を発揮できるようになったように思う。

 しかし、フラムも保持に回れば好調。バックラインからのキャリーなどの前進するためのビルドアップの意識はこちらのチームの方が上、リームが運んで、SHの裏のロビンソンにボールを渡したりなどして、1つずつ慎重に前進していたのが印象的だった。

 ボーンマスはフラムの前進のキーマンであるパリ―ニャをうまく受け渡すことが出来ていない感じだったので、押し下げられる機会もしばしばである。たまにやりすぎて中央に刺しこんだパスがロストにつながってしまったことでカウンターを食らうこともあったフラムだが、ボールを持ちながら押し込むトライが出来ていたのは悪くなかったように思う。

 保持から敵陣に入り込む機会を作ったフラムは同点となるゴールをゲット。セットプレーからディオプのゴールで前半の内に同点に追いつく。

 しかしながら、ボーンマスは前半の内に追加点をゲット。サイドに流れたソランケが作ったスペースに入り込んできたレルマが勝ち越しゴールを奪って再びリードする。

 ハーフタイムにより前目でプレーができるケアニーとあらゆる位置でボールに関与できるウィリアンを投入することで反撃に出たフラム。ボールをもって再び押し込みながらチャンスをうかがう。特にウィリアンは非常に実効性が高い交代だったといえるだろう。

 すると好機はひょんなところから。競り合いからミトロビッチを引き倒したレルマがPKを献上し、フラムに同点のチャンスが巡ってくる。これをミトロビッチ自ら決めて同点。復帰弾で試合を振り出しに戻す。

 同点後は早い展開になったこの試合。ゴール前のシーンが増えてくるように。どちらかといえば、前線の動き出しなどの連携で優位を取っていたのはボーンマスの方。だが、交代選手を入れる勇気をなかなか持つが出来ず、徐々に能率が下がっていってしまう形になる。

 結局、前線を躊躇なく入れ替えたフラムに対して、最後は5バックにシフトしたボーンマス。試合をクローズして現実的な路線に向かっていったボーンマスの方針を捻じ曲げるパワーはフラムにはなし。互いに勝ち点1を分け合うドローで終わった。

試合結果
2022.10.15
プレミアリーグ 第11節
フラム 2-2 ボーンマス
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:22‘ ディオプ, 52’(PK) ミトロビッチ
BOU:2‘ ソランケ, 29’ レルマ
主審:グラハム・スコット

④ウォルバーハンプトン【18位】×ノッティンガム・フォレスト【19位】

■「システム」は今節も継続

 アストンビラとのドローゲームで前節最下位を脱出したノッティンガム・フォレスト。最近はレスターと1節ごとに交代で最下位を担当するシステムになっている。

 今節の相手はその2チームよりも得点が少ないウルブス。今季、ここまで3得点しかしてないのに降格圏に足を踏み入れていないというのは逆にめっちゃ健闘しているのではないか?という説もある。

 試合は順位が上のウルブスが優勢に試合を進めていく。フォレストはサイドにボールを付けられると簡単にプレスの重心が下がるという悪癖を前節から改善できていない。これによって、ウルブスのサイドチェンジのキーマンであるネベスにプレッシャーをかけることが出来ず、さらなるピンチを招く形になってしまう。

 フォレストにとって最も怖いのはやはりスピードのあるトラオレ。カットインからポデンスを経由し、逆サイドのアイト=ヌーリまで運ぶ形は有効。定番のパターンを作りながらエリアに迫っていく。

 スペースがある状態でボールが渡るとグイグイ侵入してくるトラオレを止める術がなかなか見つからないフォレスト。だが、ボールが渡る前の段階もケアすることが出来ず、受けに回る展開が続いてしまう。できれば間で受けるポデンスに自由を許したくないところなのだが、そこも制限することができない。

 フォレストはボール保持においてピッチを広く使いたい意識は伝わってくるのだが、ネベスのように深い位置でドンと構えるような司令塔がいない分、停滞感が否めない。デニスが動き回ったり、ジョンソンが裏抜けしたりなどフリーランはちょくちょくみられるのだが、なかなか前線の動きを有効に使うことができない。

 サイドチェンジのスムーズさもウルブスに比べると一段落ちる感じが否めない。それであるならばせめてプレスを頑張ろうと前がかりになるフォレスト。しかし、そうなればひっくり返されるリスクは高まる。トラオレがいる中で不慣れな前がかりなプレスを行うのは厳しい部分もあるだろう。

 ボール保持の機会の差は後半に決定機となって両チームに跳ね返ってくる。トラオレのアタックからトフォロがハンドを犯し、ウルブスはPKを獲得。これをネベスが決めて先制する。ゴールを決めたネベスの髪ひもが味方によって勝手にほどかれるという謎テンションでお祝いされるくらい、貴重なゴールをウルブスが生み出す。

 あとがなくなったフォレストはリスク覚悟でハイプレスを敢行。後方からのドリブルのキャリーも増やしながら何とか同点ゴールを目指す。すると、フォレストにもPKのチャンスが到来。しかし、このキックはジョンソンがジョゼ・サに止められてゴールはならなかった。

 セットプレーも含めて攻勢をかけていくフォレスト。しかし、1点の壁とPK失敗が重く最後までフォレストにのしかかってしまう。結局、試合はそのまま終了。「最下位は1節ごとに交代で」というジンクスは今節も継続。レスターと入れ替わるようにフォレストは最下位に転落してしまった。

試合結果
2022.10.15
プレミアリーグ 第11節
ウォルバーハンプトン 1-0 ノッティンガム・フォレスト
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:56‘(PK) ネベス
主審:トーマス・ブラモール

⑤トッテナム【3位】×エバートン【12位】

■5バックの壁破壊までの紆余曲折

 メンバー表だけ見ればエバートンのフォーメーションはいつも通りの4-3-3だなと何の違和感もなく受け入れられる面々。しかしながら、蓋を開けてみればこの日ランパードが採用したフォーメーションは5-3-2。マクニールとコールマンをWBとした後ろに重心を固めるプランを採用した。

 これにより、この試合の流れは非常にはっきりした。エバートンの撤退守備に対してトッテナムが解決策を見つけられるかという展開である。エバートンはプレスの位置を下げることでトッテナムは自由にボールを持つことができる。

 立ち上がり、トッテナムは自由にエリア内にクロスを上げることができていた。大外から抉る形をエバートンがなかなかケアできない状態で、入ってくるボールに合わせる選手もフリー。トッテナムからすると得点が入るのは時間の問題のはずだった。

 しかしながら、トッテナムは無駄なファウルが多く、波状攻撃の流れを簡単に切ってしまうのがもったいなかった。エバートンからすれば重心を低くした代償として、跳ね返しても結局トッテナムの選手に拾われるという状況に圧力を感じているのに、アタッキングサードやボールを奪い返す局面でトッテナムが自らファウルを犯すことで流れを切ってくれたことでむしろ助けられた部分もあっただろう。背負って反転して前を向いて相手を振り切れるグレイにはだいぶトッテナムは手を焼いた印象も受けた。

 ボール保持においても徐々に強引な縦パスを入れる形を増やしたことでボールを引っ掛ける場面が増えるトッテナム。ならばと前に出て行ったハイプレスはエバートンに交わされてしまい、徐々にボールを持たれるシーンも増えていく。どちらのチームも順番にボールを持っては崩しの方向性を模索する。一緒に見ていたフォロワーが「ターン制バトルのよう」と言ったのは言い得て妙だったと思う。

 それでも、トッテナムは徐々に外側のレーンでの裏抜けを増やしながらペースを取り戻していく。エバートンは苦しい状況が再び出てくるようになるがバックラインが奮闘。38分のオナナのスーパーなタックルは圧巻であった。

 後半、リシャルリソンの負傷でトッテナムは5-3-2という形に。中盤の枚数は噛み合う形にはなったが、重心の低いエバートンに対して深い位置に陣取るビスマを捕まえるのはなかなかに難しい。カウンターの防波堤も一枚増えた感覚でエバートンの攻撃が停滞するようになった。

 同じく、後ろに重くなったトッテナムだが、背後へのランを維持することで何とか前線の動き出しの量を担保する。決定機を逸し続けたソンにはヤキモキしたファンも多いだろうが、ミドルシュート攻勢からこぼれ球に詰めたケインがPKを獲得する。

 欲しかった先制点を何とか手にすることができたトッテナム。エバートンはバテてしまったグレイが推進力を出せなくなり苦しい後半に。スタンドで虚ろな表情をしていたゴードンがベンチにいればとエバートンファンは思っていたはずだ。

 最後は前節と同じキャルバート=ルーウィンとロンドンを投入した2トップでパワープレーを敢行するエバートン。しかしながら、これを跳ね返したトッテナム。見事なカウンターからホイビュアが2点目を決めて勝負あり。エバートンが課した5バックという命題を跳ね返したトッテナムが連勝を伸ばすことに成功した。

試合結果
2022.10.15
プレミアリーグ 第11節
トッテナム 2-0 エバートン
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:59′(PK) ケイン, 86′ ホイビュア
主審:ポール・ティアニー

⑥アストンビラ【16位】×チェルシー【4位】

■ミングスの憂鬱な一日

 少々並びが読みにくかったチェルシーだが、蓋を開けてみると3-4-3。スタートで右のWBに入ったのがスターリングというのは少々驚きだろうか。

 チェルシーの保持はかなり慎重なものだったといえるだろう。外循環を軸にボールを動かしながら、じっくりとアストンビラの4-3-3と対峙。無理に縦パスを入れてカウンターを食らうような真似を避けるかのようにボールを動かしていった。

 アストンビラの守備はバックラインに3トップでプレスをかけつつ、背後を3センターでカバーしてもらうという昨シーズン後半に定番として見られた形だった。チェルシーのポゼッションのスピードはそこまで早いものではなかったので、ビラはワイドのカバーに間に合っている印象である。

 チェルシーの本命は中盤の守備を広げた状態を作り、インサイドで呼吸ができるようになったタイミングでコバチッチやロフタス=チークにボールを渡すこと。しかし、ビラのスライドが間に合っている状態が多く、なかなかチェルシーは前進ができない。

    我慢比べになるのか?という試合の展望をぶっ壊してしまったのがミングスだ。明後日の方向に決めてしまったクリアをマウントに拾われて失点。これで凌ぐというビラのゲームプランは壊れてしまった。

 失点で前に出て行く必要が出たビラ。バックラインからの繋ぎで前に強気で出てくるチェルシーのプレスを外していく。狙い目としたのはお馴染みの左サイド。この日はワトキンスのスタート位置が開いていたこととSBがヤングであることからかなりこちらのサイドの攻撃は効く感じである。

 大外からのヤングとスターリングの1on1も有望だし、ハーフスペースの走り込みに縦パスを使ってエリア内を空けるのもいい。左サイドを軸にビラは保持からチェルシーを攻め立てることが出来た。

 しかし、そこに立ちはだかったのはケパ。ポッター就任と同時に正守護神の座と自身を取り戻したスペイン人GKは立て続けのセーブでチェルシーのピンチを救い続ける。

 後半はクリバリ、アスピリクエタを投入し、後ろの手当てを図るチェルシー。ビラの攻勢を前半よりは抑えることに成功する。

    逆にビラは中盤のコンパクトさを徐々に維持できなくなってくる。コバチッチをフリーにできるようなボール回しも前半よりは増加し、チェルシーが落ち着いてボール保持を進めることができる展開が増えていく。

 試合を動かそうと攻撃的なカードを切るビラだが、前半のような一気呵成の攻めを再現するところまではなかなか至ることができない。そんなビラを尻目にコバチッチからボール運び続けるチェルシーはマウントのFKで試合を決める追加点をゲットする。

 いい時間帯を作ることは出来たが、仕留めることが出来なかったビラ。ミングスにとっては先制点の扉を開けてしまった上に、終盤には負傷してしまう(最後までプレーはしていたが)など、散々な一日になってしまった。

試合結果
2022.10.16
プレミアリーグ 第11節
アストンビラ 0-2 チェルシー
ビラ・パーク
【得点者】
CHE:6‘ 65’ マウント
主審:ロベルト・ジョーンズ

⑦リーズ【14位】×アーセナル【1位】

■テクノロジーが救世主に

 レビューはこちら。

 VARとGLTの通信トラブルという何とも今時な理由で40分弱の中断が発生したこの試合。そんなイレギュラーな状態にもかかわらず、両チームは普段通りにはつらつとプレーした立ち上がりとなった。

 試合はまずアーセナルのボール保持から。SBがリーズのSHと駆け引きしながら2列目に穴を空けつつ前進する。アーセナルはリーズのSHが空けたスペースに前線の選手が入り込むことで縦パスのルートを確保する。リーズはバックラインからアーセナルの前線についていくことが多かったため、アーセナルは高い位置でパスを止められることが多かった。

 そのため、多用したのはサイドチェンジである。トーマス、ウーデゴール、ジャカなどにフリーでボールを渡すことにより、逆サイドまでのスムーズな展開が約束されるアーセナル。これにより、前を向いた状態でより手薄なサイドでマルティネッリやサカが勝負できる状況が整うようになった。

 一方のリーズはハイプレスからチャンスメイクする。狙い目としたのは冨安のところ。アーロンソンとハリソンが挟む形を作り、ショートカウンターの機会を確保する。アーセナルのバックラインに阻まれてしまい、決定機にまではたどり着くことが出来なかったリーズだが、十分アーセナルを脅かすことができていたといえるだろう。

 リーズのアタッカーの中で目立っていたのは左サイドに入ったシニステラ。前でボールを持つ機会が最も多く、カットインからのシュートなど推進力のあるプレーでチームを牽引する。

 アタッカーにどういい形で持たせるかを模索する両チームの一戦は意外なところからスコアが動くことに。右サイドの良い位置でボールを受けたサカにパスを出してしまったのはなんとロドリゴ。プレゼントパスを受けたサカはウーデゴールとワンツーで抜け出しからメリエのニア天井をぶち抜くゴールを決めて先制する。ロドリゴにとっては手痛い代償を払うミスになってしまった。

 ビハインドのリーズは後半にバンフォードを投入しプレスを強化。サリバをはじめとするアーセナルのバックラインにさらなるプレッシャーをかけてパスミスを誘発する。加えて、アーロンソン、ロカ、シニステラを左サイドに集約。ここからクロスを上げることで決定機の創出に成功する。

 リーズのプレスに対してあくまでボールをつなぐ形で解決を目指したアーセナル。だが、放った縦パスがことごとくリーズの餌食になってしまう。積極的に高い位置を取るホワイトのプレーも裏をシニステラとアーロンソンに取られまくるという副作用の方がむしろ大きいように見えた。

 だが、リーズはバンフォードが仕上げで波に乗れない。サリバのハンドで得たPKを外すなど、この試合で何回かあった決定機を全て決めることが出来ず。9試合連続ノーゴールという肩書きが重くのしかかることになってしまう。

 後半追加タイムにはバンフォードへの報復としてガブリエウの退場とリーズにPKが与えられかけたが、この場面はOFRで取り消しに。冷や汗をかいたアーセナルは何とかリードを守り切り辛勝。あわやの場面でアーセナルを救ったのは2時間前に故障していたテクノロジーであった。

試合結果
2022.10.16
プレミアリーグ 第11節
リーズ 0-1 アーセナル
エランド・ロード
【得点者】
ARS:35‘ サカ
主審:クリス・カバナフ

⑧マンチェスター・ユナイテッド【5位】×ニューカッスル【6位】

■魔法をかけられずドローで足踏み

 上位争いにはつけてはいるが、得失点差はマイナス。波の多いシーズンを送っているマンチェスター・ユナイテッド。対するは手堅いが決め手に欠けるしぶといチームから勝利を重ねて脱却を図っているニューカッスルである。

 マンチェスター・ユナイテッドのこの試合のテーマはエリクセン不在をどう乗り切るかである。これまでチームの舵取り役として心臓を担ってきたエリクセンがいないことで不安が募るのはゲームメイクである。

 カゼミーロをアンカーの位置に据えるマンチェスター・ユナイテッドはバックラインが大きく開きながらのゲームメイクを狙っていく。横に揺さぶりながらニューカッスルの3トップの背後にボールを入れていくマンチェスター・ユナイテッド。しかしながら、ニューカッスルの3センターは可動域が広く、列を越えそうになったマンチェスター・ユナイテッドの選手をことごとく潰していく。数試合スタメンから離れていたジョエリントンはさすがの潰し屋としてのパフォーマンスだった。

 盾にパスを入れるチャレンジも行っているマンチェスター・ユナイテッドだが、デ・ヘアが強引にフレッジにボールを付けたりなど、逆にニューカッスルのボールの取りどころに縦パスを入れたせいでカウンターを食らってしまうシーンもしばしば。なかなか穴を突くことができない。このあたりはエリクセン不在を感じる部分といえるだろう。

 マンチェスター・ユナイテッドの攻撃で一番うまくいったのはニューカッスルの3トップを外し、相手の中盤の可動域を広げたところで、前線が最終ラインと駆け引きするようなフリーランを入れるパターン。ボットマンとシェアの間を狙うロナウドの老獪さからあわやというシーンが見られるようになる。

 ニューカッスルもバックラインからの保持でマンチェスター・ユナイテッドのプレスを外す作業に入る。WGのアントニーは積極的に前にプレスに出て行くが、フレッジとカゼミーロという2人の潰し屋がいる中盤はニューカッスル以上に可動域が広い。

 ボールを動かして相手を動かすことはできていたニューカッスルだが、マンチェスター・ユナイテッドの中盤に全て間に合わされていた感覚だ。手早い攻撃やセットプレーからの方が得点の匂いを感じることが出来た。

 どちらのチームもWGになかなかクリーンにボールを付けられない展開だったが、前半終了間際にアントニーに2連続で仕掛けるチャンスが到来。だが、いずれも精度の部分で物足りなかった。少ないチャンスではあるが、もう一声クオリティが欲しかった場面である。

    後半、ニューカッスルは撤退の意識を強めて4-5-1ブロックを敷くと、マンチェスター・ユナイテッドは攻めあぐねてしまうように。ならばとプレスを強めるマンチェスター・ユナイテッドだが、これはニューカッスルに外されてしまう。同点を嫌い、試合を動かそうとするマンチェスター・ユナイテッドの力を利用して、ニューカッスルがしたたかに試合を進める後半という感じだった。

 それでも、後半終了間際にはマンチェスター・ユナイテッドにチャンス。ラッシュフォードの裏抜けからのフレッジ、そしてカゼミーロのクロスを合わせるラッシュフォード。どちらも決定機だったがシュートは惜しくも枠外。苦戦を勝ち点3に変える魔法をかけることができなかったマンチェスター・ユナイテッドはドローで足踏みすることとなった。

試合結果
2022.10.16
プレミアリーグ 第11節
マンチェスター・ユナイテッド 0-0 ニューカッスル
オールド・トラフォード
主審:クレイグ・ポーソン

⑨サウサンプトン【17位】×ウェストハム【13位】

■CB不在も内容は「勝ちきれなかった」

 前節、フラムと対戦した時のズマとドーソンが並ぶウェストハムの布陣を見て「ケーラーがSBに戻ることができるくらいCBに人がいて良かった」と胸をなでおろしてから一週間。今節のウェストハムのDFラインはクファル、ジョンソン、ケーラー、クレスウェル、エメルソンと見渡す限りのSBである。ってかよくこんなにSBいたな。

 というわけで非常事態感がとても強いウェストハムは3-4-3でサウサンプトンを迎え撃つ。こちらもチームとしてはなかなか上昇気流に乗れないサウサンプトン。今節の並びはメイトランド=ナイルズをアンカーに据える中盤ひし形の4-4-2である。

 序盤、ボールを持つことになったのはホームのサウサンプトン。ウェストハムのプレスは控えめ。もともとプレスをかける意識が強いチームじゃないし、その上このバックラインである。サウサンプトンにとりあえずボールを持たせる判断は妥当といえるだろう。

 サウサンプトンのボール保持はなかなか難儀なものだった。バックラインの横パスが延々と続き、なかなか縦にボールを入れるタイミングを見つけることができない。ボールを持つことは出来ていたが、ポゼッションを局面打開にスムーズにつなげられたかはまた別の話である。

 それでも右サイドはウォーカー=ピータースを軸に複数人の連携で奥を取ることが出来ていた。中央ではアダムスが奮闘し、ウェストハムのDFライン相手にポストや裏抜けで起点となる。

 そうした中央から右寄りの奮闘を得点につなげたのは左サイドの選手だ。プローのミドルはやや力のないものではあったが、ファビアンスキの守るゴールに吸い込まれて先制点をゲット。中央に絞ってのフィニッシュに貢献する。ウェストハムのボーウェンが主審に邪魔されたという意見も理解はできるが、ソーチェクのクリアミスが大きく響いたことは認めなくてはならない。

 失点後にボールを持てるようになったウェストハムは相手の守りが手薄なワイドから奥行きを作ることが出来た。しかしながら、こちらも安定したポゼッションではあるが、大外からだとアタッキングサードに攻め込むクオリティには疑問符が残る。

 むしろ、ウェストハムが好機を見つけられそうだったのはスカマッカやパケタなどのアタッカー陣に縦パスが入った時。ポストから前を向く選手を作り、急戦的に攻めることが出来たパターンの方が可能性を感じることができた。スカマッカのポストからパケタなんてシーンはこの試合のチャンスメイクを象徴しているかのようだった。

 後半はさらにウェストハムが攻勢を強める。パケタの裏抜けで立ち上がりからゴールに迫ると、ボーウェンを旗手としたカウンターやベンラーマ投入での4バック移行など次々と攻撃の手段を披露する。

 同点弾を呼んだのはベンラーマ。深さを作るドリブルでサウサンプトンのラインを押し下げるとミドルシュートをライスが決めてスコアを振り出しに戻す。

 なかなか後半はゴール前まで向かうことができないサウサンプトン。ハーゼンヒュットルは怒りの4枚替えを発動するが、それでも打開が個人頼みになってしまっているのは否めず、流れを引き戻すことができない。

 同点弾後もシュートを重ねていたウェストハムも最後の一伸びを欠いて結果はドロー。バックラインに人が揃わなかったウェストハムだが、この試合はあと一歩で勝ちを逃した試合といえそうだ。

試合結果
2022.10.16
プレミアリーグ 第11節
サウサンプトン 1-1 ウェストハム
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:20‘ プロー
WHU:64’ ライス
主審:ピーター・バンクス

⑩リバプール【10位】×マンチェスター・シティ【2位】

■息の詰まる後半に決着をつけたのは

 近年のプレミアでは双璧をなす両雄の一戦。だが、今年は例年と異なり、無敗のシティにボトムハーフで不振にあえぐリバプールが胸を借りるという構図での激突となった。

 前節のサウサンプトン戦からシティはバックラインのメンバーはいじらなかったものの並びを変更。左に入っていたカンセロを右に移し、アケを左に出す形でリバプールを迎え撃つ。中盤の構成はIHの2人が比較的フラットに並ぶ形。ギュンドアンがエリア内に突撃していく機会の多さを踏まえると、デ・ブライネのトップ下を採用しているとはちょっと言いにくい感じである。4-3-3と捉えるのが自然だ。

 ビルドアップはカンセロを押し出す形での後方3枚が主流。右サイドから作る形がメインでデ・ブライネにボールが入ると一気に攻撃は加速する。仕留める形は右からハーランドと入り込んでくるギュンドアンに直接入れ込む形か、逆サイドのフォーデンまで展開し、抉る形を作ってからエリア内に折り返すかの二択。どちらを使うかはデ・ブライネ次第!といった感じであった。

 今季のリバプールですでにおなじみになったが、前線からのプレッシングでリズムを掴むことはこの試合もできない。それに対してプレスを効かせていたのはシティ。デ・ブライネとギュンドアンがハーランドを追い越す形でCBにプレスをかけてまでハイプレスを敢行していたのは印象的だった。

    ただし、リバプールのバックラインの踏ん張りはこの試合ではよく効いていた。負傷直後にベンチに入ったアレクサンダー=アーノルドの代わりにスタメンを張ったミルナーを含め、バックラインはパフォーマンスが安定していたのは救いである。シティが30分以降にさらにゴールの気配を強めてもエリア内では完全に主導権を渡すことはなかった。

 保持においても見せ場は十分あったといえるだろう。アリソンを使ってハイプレスを超えることができれば、ロドリの周辺にはスペースは十分にある。この日の主役はサラー。アーセナル戦では外に張ることで他の前線の選手たちが裏に抜ける手助けをしていたが、この日は完全なメインディッシュである。自身が裏抜けをしながら、エリアに迫っていく役割を担い、ゴールをダイレクトに脅かす振る舞いを徹底する。リバプールが途中から4-2-3-1にして、サラーを中央に移動させたのも彼自身がゴールに向かう機会を増やすためであろう。

 当然、その分ワイドに開く人は減るわけだが、このあたりはSBのミルナーがオーバーラップで見事にカバー。アレクサンダー=アーノルドに比べるとできることは少ないが、着実にタスクをこなしているのは好印象である。

 後半の頭はシティが4-2-3-1に変更。手早い攻撃でリバプールとの打ち合いに挑む。エリア周辺のパスワークでの流麗さでいえば明らかにシティに軍配。しかしながら、リバプールは降りてくるフィルミーノがカウンターの起点になっており、シティはここをなかなか咎められなかった。

 サラー、ジョッタ、ハーランドなど両チームともエース級の選手が決定機を得るが、互いになかなかゴールを割ることが出来ず。アリソン、エデルソンの美技も飛ぶかう中でゴールという結果になかなかたどり着くことが出来なかった。

 先にネットを揺らし、歓喜を上げたのはシティ。しかしながらこれはゴールまでのプロセスの中でハーランドのファウルがあったため取り消しになってしまう。

 首の皮1枚で助かったリバプールは再三決まらなかったサラーの抜け出しがようやく火を噴き先制。サクッと入れ替わられたカンセロとやけに淡白なFKでアリソンにリスタートの機会を与えたデ・ブライネにとっては痛恨だったといえるだろう。

 最後まで猛攻をかけるシティ。カンセロにとっては汚名返上となりそうなスーパーな折り返しもリバプールの最終ラインに防がれてしまう。試合自体がヒートアップする機会が増えて、クロップも退場したリバプールだが、DF陣の集中は最後まで継続。シャットアウト勝利を決めた。

 今季3勝目は宿敵相手挙げた貴重な一勝。ジョッタの怪我は気がかりだが、勢いに乗って上位を目指せるための足掛かりにしたいところだ。

試合結果
2022.10.16
プレミアリーグ 第11節
リバプール 1-0 マンチェスター・シティ
アンフィールド
【得点者】
LIV:76‘ サラー
主審:アンソニー・テイラー

今節のベストイレブン

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