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「お蔵入りになるくらいなら」~2022.7.16 J1 第22節 名古屋グランパス×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第22節
2022.7.16
名古屋グランパス(11位/6勝7分8敗/勝ち点25/得点16/失点22)
×
川崎フロンターレ(3位/11勝4分5敗/勝ち点37/得点31/失点22)
@豊田スタジアム

戦績

近年の対戦成績

 直近5年間で川崎が7勝、名古屋が2勝、引き分けが3つ。

名古屋ホームでの戦績

 名古屋ホームの試合では直近10試合で名古屋の2勝、川崎の6勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近の対戦は川崎の4連勝中。
・名古屋は直近4試合の川崎戦で3試合が無得点。
・直近の勝敗がついた7試合のうち、6試合は勝利チームがクリーンシートを決めている。
・名古屋での公式戦において川崎は直近5試合で1勝しかあげていない。

 この対戦は近年は川崎が優位。等々力の対戦では前半戦ベストバウト級のパフォーマンスで最少得点差ながら名古屋を下している。直近4試合で名古屋は川崎相手に1回しか得点を取れていないなど主に攻撃面で苦しんでいるイメージ。今のチームと少し状況は似ている。

 この試合はクリーンシートでの決着が多い。点の取り合いというよりはコントラストがくっきり!という印象になりやすい。名古屋戦全体で見れば得意な川崎も名古屋に乗り込む形だと勝率は下がる。

 川崎が名古屋で勝利した直近の4勝はいずれも相手を無失点に抑えたもの。やはりクリーンシートに抑え込めるかどうかはここでも問題になりそうだ。

スカッド情報

【名古屋グランパス】

・吉田豊は前節の退場処分により出場停止。
・すでに加入が発表されている重廣卓也、レオナルド、永木亮太、永井謙祐は今節から起用可能。
・酒井宣福は左膝内側側副靭帯損傷で欠場。
・甲田英將は左膝外側半月板損傷で離脱中。長澤和輝は右足に同じ負傷を抱えておりこちらも離脱中。
・ヤクブ・シュヴィルツォクは活動停止中。
・7/14にトップチームの選手1人とスタッフ3名がCovid陽性反応。これにより木曜日は全体トレーニングができなかった。

【川崎フロンターレ】

・離脱者は長期離脱中のジェジエウのみ。

予想スタメン

 名古屋はCovid陽性者発生に加えて、新戦力の大量加入でメンバーが読みにくい。プレス強化を念頭にコンディションに不安がなさそうな永井を先発起用。CBは藤井とチアゴの二択だったが、直近の天皇杯(チアゴはレンタル元のC大阪戦でプレー不可)のメンバーからチアゴにした。

 川崎は押し込める想定なので大島をアンカーに起用することも考えたが、対人の観点から左SBに佐々木を置きたいこと、IHのチャナティップを動かしたくないことから、アンカーは橘田を予想した。

Match facts

【名古屋グランパス】

<名古屋のMatch facts>
・リーグ戦直近6試合で1勝(D2,L3)。
・16得点はリーグで最も少ない。
・直近6試合のリーグ戦で2得点のみ。いずれもマテウス・カストロが決めたもの。
・セットプレーからの7失点は柏に次いで多い。
・稲垣祥は今季ここまで全試合スタメン。J1においてMF登録で彼より長くプレーしているのは前寛之と三丸紘の2人だけ。
・長谷川健太監督は川崎とのリーグ戦で6連敗中。ホームチームとして勝利したのは2014年のG大阪時代が最後。

 リーグ戦では直近6試合で勝利は1勝のみ。4分の先制点を元手に逃げ切った柏戦が直近のリーグ戦唯一の勝利だ。苦しむの要因は得点力の低さ。シンプルにリーグで最も得点が取れていないチームであり、直近6試合のスコアラーはマテウスのみ。これでは勝てないのは当然である。

 失点はセットプレー由来のものが多く7失点。これは横浜FM、鹿島、神戸、C大阪と同数。これより多いのは柏だけである。ちなみにセットプレーからの失点は川崎もここにきてやたら積んでおり6失点だ。

 長谷川監督は前任者よりはメンバーの入れ替えに躊躇はないタイプではあるが、稲垣のヘビロテ傾向は同じ。彼ほどの実力があれば当然かもしれないが、にしても当たり前のようにプレータイムを重ねているのはさすがである。余談だけど、ピーター・ウタカが彼より長いプレータイムなのは驚いた。

 長谷川監督にとっては川崎戦は鬼門。勝てば2014年以来8年ぶりのホーム川崎戦の勝利となる。彼個人で見れば6連敗と相性の悪い相手だが、ここは何とかふんばりたいところだ。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・勝てば今季初めてのシーズンダブルを達成。
・リーグ戦で連勝になれば2カ月ぶりのこと。
・アウェイでの公式戦は直近3試合勝ちなしで2連敗中。
・アウェイでの勝利は全てクリーンシート。
・G大阪戦では今季最多のシュート数(21)を記録。
・アウェイゲームの直近2得点はいずれも谷口彰悟が決めている。

 名古屋に勝てば今季初めてのシーズンダブル達成となる。さらには2ヶ月ぶりのリーグ連勝とおめでたいこと続きに。

 だが、アウェイは鬼門だ。直近3試合は勝ちなしで現在2連敗中である。アウェイで勝った4勝は全てクリーンシートであり、ここでもクリーンシートのジンクスが登場する。

 アウェイで課題になっているのは得点力である。直近のアウェイでの得点は神戸戦とC大阪戦の1点。いずれも決めたのはセットプレーからの谷口である。オープンプレーからの得点は2カ月以上さかのぼる必要があり、だいぶご無沙汰である。G大阪戦で見せた今季最多の21本のシュート数を生かし、何とかこの試合は得点を挙げたいところだろう。

予習

第19節 湘南戦

第20節 柏戦

第21節 清水戦

展望

■大きな展開とSB裏からバイタルを狙い撃ち

 7月15日にJリーグは夏の移籍市場が開幕。すでに各クラブがマーケット開幕を前に新戦力獲得を続々と発表しているが、起用ができるのはこの週末からである。

 例年夏の移籍が少ない川崎にとっては関心の薄い話かもしれないが、今節の相手である名古屋にとっては大いに関係のある話。ここまでの戦力入れ替えは国内でも屈指と言っていいだろう。齊藤と阿部という元川崎の2人を放出した代わりに永井、レオナルド、重廣、永木などJ1経験が豊富なメンバーを続々と獲得。CF、CHを中心に多くのメンバーを迎え入れた。

 というわけで今節の名古屋はメンバー、戦い方が共に読みにくい状況にあるということを前提に読んでもらえるとありがたい。これまでの戦い方が参考にならない可能性も大いにある状況ということである。

 基本のフォーメーションは5-3-2。バックラインは3枚であり、ショートパス主体の攻撃を好む。CBはボールを持つ時間は長いが、持ち運びながら相手を動かそうとする動きは物足りない。そのため、インサイドにボールを刺せずに外循環のパスワークになってしまうことも珍しくはない。

 天皇杯のC大阪戦が典型だが、CFにボールを入れられる状況を作れれば、柿谷や仙頭などインサイドには細かい連携やパスワークが得意な選手がいる。縦パスが入れば攻撃の幅は広がるのだがそれができない!という状況。

 ということでCBからはロブ気味にCFに長いボールをつけるか、WBにボールを流してつけるかの二択を選ぶことが多く、ドリブルで相手を引っ張り出す動きは少ない。湘南など単純にインサイドを固めるのが上手いチームが相手だったというのもあるが、時間をかけるのならば名古屋側ももう少し相手を動かすことには取り組みたいところだ。

 バックラインはプレスに対する個人個人の耐性も高いとは言えず、3バックでゆっくりと後ろから組み立てるというコンセプトのポテンシャルを十分に活用できていないと感じる部分も多い。

 そんなチームを前に押し上げることにおいて大きく貢献しているのがアンカーに入るレオ・シルバ。フリーになれば大きな展開ができる彼に相手チームが時間を与えてしまうと、前がかりなプレッシングは一気に崩壊する。名古屋にとってはレオ・シルバが前を向いてボールを持てるか否かで戦況がガラッと変わる。

 前線でボールを引き出すのは2トップの一角に入るマテウス。右サイドに流れながら、オーバーラップした相手のSBの裏を取り一気に相手陣地を押し下げる動きが得意。川崎も例に漏れず、SBが高い位置を取ることを好むチームなので警戒が必要だろう。

 逆サイドの突破口はWB起用が定着しつつある相馬。正対した状態であれば相手を置き去りするドリブルを見せて、サイドを打開することができる。その一方でボールを受ける段階においての駆け引きは物足りない部分が多く、1対1の状況を周りにお膳立てしてもらう必要があるのは否めない。仙頭やレオ・シルバの手助けが必要だ。

 というわけで得点のパターンは大外を使った形が多い。右サイドに流れる森下orマテウスと左サイドを突破できる相馬からクロスを上げることでゴールに迫っていく。

 ただし、酒井が離脱している現在の陣容ではハイクロスからのエアバトルによる競り合いは期待できない。むしろ、狙い目になるのは抉った際のマイナスのスペース。この場所への折り返しから、レオ・シルバ、稲垣などミドルレンジからのシューターを使うパターンでの得点パターンが多い。つまり狙いはバイタルだ。

 守備は2トップがプレスに強気に出る機会は少ない。ある程度アンカーを受け渡しながら守りつつ、CBには時間を与えるのが基本。ただし、横の大きな移動に対しては離してしまうこともしばしば。リードした場合には下がっての守備は要求されるが、インテンシティ的に重たいタスクを求められている感じはしない。

 中盤はマンマークの志向が強く、相手についていく意識が強い。5バックなのでそれでも後ろは余らせて迎撃できるのがフォーメーション上の強みということになる。中盤での迎撃からトランジッションからのカウンターは名古屋の得点パターンの1つになる。

■名古屋攻略に意識したい3ヵ条

 川崎からすると狙いたい場所がはっきりしている相手だ。まずは守備においてレオ・シルバを誰が監視するのか?基本的にはトップの選手が消す形で名古屋のCBにボールを持たせる展開でいいと思うが、相手のプレス耐性を考えればハイプレスのスイッチを入れることもあるだろう。そうした場合にはレオ・シルバに関しては必ず受け渡しを行いたい。

 もう一つのポイントはやはりマテウス。密集でも広いスペースでも打開力を有する彼に対してはそもそもいい形でボールを持たせたくない。ハイプレスやレオ・シルバを消すことで供給元を断ち切るのが最優先だ。SBを引っ張り出された局面から裏を取られれば一気に押し下げられてしまうことは避けられない。

 サイドから押し下げられてしまえば、全体で下がって対応しながら受けるのは覚悟しなければならない。その状況ではどうやってもミドルのゾーンは空いてしまうこともあるだろう。だからこそ、その前段階をケアしたい。レオ・シルバを締め出すことはこの観点においても重要。名古屋の攻撃を相手陣に近い段階で止められるかが川崎の失点の危険度に大きく関連すると言えるだろう。

 保持においては名古屋のCFによって時間を奪われるイメージはそこまでない。予想スタメンに記したように永井を抜擢しての急激なモデルチェンジ等はあり得ない話ではないが。

 キーとなるのは中盤。5-3-2ブロック攻略は川崎はあまり得意ではないけども、名古屋は人がついてきてくれるのである程度動かしながら探ることができる相手だと思う。

 まずは中盤は動きながら相手がどこまでついてくるかをチェック。特に3センターはこれが重要。どこまでくるのか?タイトさはどうか?マークは受け渡すのか?を精査しながら、穴を開けれる場所のイメージをはじめの10分でつかみたい。相手の様子を観察しながらプレーを選択するという点ではここ数試合のチャナティップは冴えている。信頼したいところだ。

 逆に慎重になりたいのは前線の降りる動き。名古屋のバックラインは伝統的に前への迎撃が強い、ラインを押し上げながらボールを奪われてしまえば、名古屋のカウンター発動を誘発してしまう。

 それを避けるためには川崎はサイドのスペースを積極的に使っていきたい。WBの背後を狙うために、彼らを手前に引き出して裏を狙う。この時に動きたいのは中盤。中盤の内→外の動きで名古屋の中盤を吊り出したい。

 理想的なのはレオ・シルバを中央から退かすこと。特にカウンター局面に多いが、名古屋がレオ・シルバがサイドの裏のスペースをケアする頻度はかなり高い。これが定点攻撃でも再現できれば最高。アンカーではあるが、食いつきの良さがある彼の習性を利用したい。

 彼をどかしたら折り返してバイタルを狙いたいところ。もしくはハーフスペースの裏を狙い、マイナスの折り返しクロスを入れる。

 あれ?この攻撃の流れどこかで?と思ったあなた。メソッドは少し異なるが、バイタルを狙い撃ちにするのは名古屋の攻撃のパターンと同じである。というわけで狙い目にしたいのは同じバイタル。

・誰がどこまでついてくるか?
・内→外、外→内のレーンの入れ替えを増やす
・レオ・シルバを中央から吊り出す

 これが名古屋の攻略する上で頭に入れたい3か条である。その上で11人を相手に3点を奪って勝つこと、自分たちの時間を伸ばしていくことは引き続き意識しながらの90分にしたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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