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「サッカーなら嫌がらせも」~2022.8.13 J1 第25節 川崎フロンターレ×京都サンガF.C. プレビュー【延期未開催】

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第25節
2022.8.13
川崎フロンターレ(4位/12勝4分6敗/勝ち点40/得点34/失点26)
×
京都サンガF.C.(13位/6勝8分10敗/勝ち点26/得点23/失点28)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近10試合の対戦で川崎の7勝、京都の3勝

川崎ホームでの戦績

直近10試合の対戦で川崎の7勝、京都の2勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・5月の対戦で京都は対川崎戦の連敗を3でストップ。
・直近17試合で引き分けがないカード。
・公式戦直近6試合の対戦ではホームチームが5勝している。
・直近7試合の等々力での対戦で京都が勝ったのは一度だけ。

 灼熱の亀岡で行われた5月の試合は佐々木のオウンゴールで京都が勝利。川崎戦の連敗を3で止めた。

 このカードの戦績の最大の特徴は引き分けが極端に少ないこと。最後の引き分けは2001年のスコアレスドロー。以降の17試合はどちらかの勝利で決着がつく。

 ホームチームが割とはっきりと有利なのもこの試合の特徴で、特に等々力ではこの特徴が強まる。京都の等々力での近年の勝利は2008年のもの。後半に柳沢敦が決めた得点で川崎を下している。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・大島僚太はふくらはぎの負傷で6週間の離脱。
・ジェジエウは足の張りを訴え、ミッドウィークのC大阪戦で途中交代。

【京都サンガF.C.】

・荻原拓也、武田将平は前節負傷交代している。

予想スタメン

Match facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・直近6試合の公式戦で4回目の関西勢との対戦。
・敗れればC大阪に続いて2チーム目のシーズンダブルになる。
・ホームでのリーグ戦は直近4試合負けなし(W3,D1)
・今季、中2日で迎えたリーグ戦は4戦無敗(W2,D2)
・レアンドロ・ダミアンはホームでのリーグ戦で2試合連続得点中。
・現スカッドの中で京都相手に得点経験があるのは遠野大弥、家長昭博、小塚和季。

 やたらと関西まみれの直近の川崎。今節の京都以降は現状ではホーム最終節の神戸戦まで関西勢との対戦はお休みになる。

 ただ今年は関西勢との対戦成績は芳しくない。C大阪にはシーズンダブル。この試合に敗れれば京都相手でもシーズンダブルを食らうことになる。

 ホームでのリーグ戦は徐々に上り調子に。成績だけで見れば中2日という過密日程も苦手ではないが、今回は中2日の2セット。これまで以上に体力面では厳しいだろう。リーグ戦で好調なダミアンと西にゆかりのある人物ばかりが名を連ねる京都得点経験者を中心に何とかゴールをこじ開けたい。

【京都サンガF.C.】

<京都のMatch facts>
・直近5試合でリーグ戦の勝ちがない(D3,L2)。
・しかし、前回川崎と対戦時の勝利は6試合リーグ戦で勝ちがなかった。
・直近8試合のアウェイでのリーグ戦で勝ちがない(D3,L5)
・公式戦のクリーンシートは8試合連続でない。
・前節の柏戦は今季のリーグ戦唯一の逆転負け。
・シュート数、枠内シュート数は共にピーター・ウタカがリーグ最多。

 京都はここ5試合リーグ戦の勝ちがない。序盤戦は勢いがよかったものの、ここにきてやや失速が認められる兆候がある。

 しかし、思えば前回対戦時もその形だった。5試合連続で勝ちがないところで川崎から勝利を奪い取っている。今季もこの形の再現を狙ってくるはずである。

 アウェイの地は苦手で、失点にも歯止めは効かない方のチームではあるが、リードした試合においては強さを発揮。追いつかれることはあっても前節の柏戦まで逆転負けはなかった。シュート数でピカイチのスタッツであるウタカを軸に、キーになる先制点が欲しいはずだ。

予習

第22節 広島戦

第23節 G大阪戦

第24節 柏戦

展望

■5バックが本命なのか?

 ベンチ入りの人数のインパクトゆえに川崎や福岡が注目を浴びがちな第7波のコロナウイルスの影響。しかしながら、京都も直近で多くの感染者に悩まされているクラブである。

 ここ3試合のスタメンを見てもメンバー構成はバラバラ。おそらくは感染者が戻りつつあるのであろう直近の柏戦が一番ベストに近い布陣なのだろうが、正直言ってつかみどころがない。

 前回対戦時にはメインシステムだった4バックは直近の3試合では封印。ただこれも前回の対戦でコンビを組んでいたアピアタウィアと麻田のコンビが揃わないなどのメンバー構成によるものが主要因である可能性も考えられるし、直近の対戦相手が広島、G大阪、柏など5バックを主体にしているチームが多かったことで、相手とかみ合わせることを優先した可能性もあり得る。

 元々、5バックは4バックを採用している時代からオプションとして持っていた形。カジュアルに変更ができる分、どこまで本腰を入れての方向転換なのかは何とも言えないところである。

 ただ、保持においてはベースとしてかける人数は大きくは変わらない。4バックにおいて2CB+アンカーでやっていたことを3バックではCB3枚で行うだけである。強いて言えばサイドの選手はスムーズに高い位置を取れるようになった部分はある。

 より敵陣に近い位置においてはボール周りに人数をかける傾向は相変わらず強い。その面に関してはWBが高い位置を取りやすい3バックの方がいいのかもしれない。

 しかしながらより影響が強いのはシステムよりもウタカの有無。ロングボールの的として機能する彼が抜けてしまうとなると、山崎の優先順位が上がってこない現状のスカッドでは高さが不足。楽な陣地回復は難しくなる。

 柏戦のトップに入った豊川はライン間でボールを受けるべく奮闘していたが、グラウンダーの速いボールが必要な分パスコース作りには苦心していた印象がある。

 ウタカがいなければWBで相手のDFラインにギャップを作り出し、トップの選手たちが裏抜けするスペースを作ることを優先してくる。裏抜けの主戦場はハーフスペースよりやや外が多い。

 秀逸なのはこのランを繰り返せること。このあたりの粘りはさすがで、G大阪戦では足を攣ってまで力を振り絞った(最近同じような話を聞いた記憶があるが)木村がラストプレーでPKを獲得というファインプレーで勝ち点を得た経験もある。

 とはいえ、ウタカがいればこうした裏抜けよりもまずはトップに当てる形の優先度は上がるはず。まずはウタカのスタメンの有無が重要なポイントになるはずだ。

 非保持においては5バックではあるがラインは高めに設定。積極的に人を捕まえに来る傾向がある。バックラインは裏のケアも必要な状況もしばしば。GKの上福元も背後のサポートを欠かさずに行っている。

 柏戦の最後などは背後のケアが危うい場面もかなり見られた。リスクと向き合ってのライン設定といえるだろう。

■サッカーなら嫌がらせもOK

 京都がどんなサッカーをやられたら嫌なのだろうか?と考えると、柏戦の戦況が参考になるように思う。京都はあの試合で主導権を握ったが、2トップで京都の3バックを監視していた柏が中盤から1人前プレ隊を増員したことでポゼッションが不安定になった。

 また、ラストプレーとなった武藤の決勝ゴールは何度もしつこくスピードに難があるメンデスの裏を狙った形である。余談だけども、この試合で京都がうまくいっていた時間帯は逆に京都が柏にこのようなアプローチを仕掛けていた。Ifの話ではあるが京都が京都と対戦すれば結構点が取れるんじゃないかなと思う。

 よって、京都が苦手な要素をまとめると最終ラインへのちょっかい。具体的には最終ラインへのプレッシングと裏を狙った駆け引きである。京都のように前からプレスをかけてきて、京都のように抜け目なく裏を取ってくるチームが得意ではない。

 従って、川崎もそういうチームになる必要がある。横浜FMを撃破できたのは彼らが嫌がることをやり続けられたから。京都に対しても、同じような方針で振る舞うべきだ。ここ数試合の川崎の対戦相手はそこまで川崎の嫌がることをやってこなかった。だからこそ、川崎が苦しいスカッドの中で戦えた部分もある。

 だからこそ、嫌がらせは効果的。日常生活ではいざ知らず、サッカーという範疇でいえば、相手に嫌がらせのような作戦をしたって怒られはしない。柏と同じように相手の苦手分野を作動きをしたい。まずは相手を引き込んで食いつかせる、そして中盤に穴を空ける。

 サイドに狙いを設定した場合はWBを引き出す役割はWGに任せたいところ。よって、裏に抜ける役割はおなじみのマルシーニョとは別に積極的に行える選手を用意したい。ホルダーは同サイド裏と逆サイドの選択肢を両方できればベスト。前節のレビューで述べたが、サイド攻撃がうまく機能するために大外の選手には複数の選択肢を用意したい。京都の場合は裏抜けで勝負するルートは特に重要だ。

「勝負するルート」
ラインを下げる裏抜けに合わせたり、狭いコースを精度の高いパスで通すことで局面を動かすルート。

「横パスのルート」
真横に出すルート。勝負パスの準備や逆サイドへの展開が見える位置に陣取ると尚良い。

「やり直しのルート」
ルート再構築で攻める場所を模索し直すためのルート。

 ハイプレスに関するチャレンジにおいて重要なのはまずは保持で相手を押し込むことである。サンガスタジアムでの試合においては、川崎が蹴りだすタイミングがやたら早いせいで、前線のプレス意識に中盤がついてこれない部分があった。

 いいハイプレスはいい保持から。全体の陣形を上げていい失い方をしなければプレスをかけるのは難しい。保持で楽しようとすれば、非保持でしっぺ返しが来る。サッカーとはよくできている。

 まずは敵陣深くまで人数をかけて侵入する。そして京都のバックラインの裏と逆サイドの選択肢を用意しておく。役割のイメージでいうと右サイドの方がしやすいかも。家長で相手を釣りだして、脇坂と山根でハーフスペースを裏抜けする。武藤が決勝ゴールを決めたのは同サイドのCBであるメンデスとのスピードのギャップを使ったシーンからである。あるいは家長自身がPAの角から巻くクロスを入れてもいいだろう。

 非保持は京都の面々がサイドに人数をかけてくるのはハーフスペースの抜け出しは要注意。パス交換で抜け出す以外にもトップの人選次第では早めに裏を狙うケースもある。多少強引な前進でも京都のCHやWBにはそれに後方からついていける脚力は十分備わっている。やはりそう考えるとバックラインからプレスをかけてボールの供給を不安定にしたい。

 体力面では不利な分、的確に相手の嫌がることをピンポイントで行うことが求められる。5月とは違い、したたかに連戦の最後を締めくくりたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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