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「一つ奥を狙えるか?」~2022.4.2 J1 第6節 川崎フロンターレ×セレッソ大阪 プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第8節
2022.4.9
川崎フロンターレ(1位/5勝1分1敗/勝ち点16/得点12/失点7)
×
セレッソ大阪(8位/1勝3分1敗/勝ち点6/得点8/失点7)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

 直近5年の対戦で川崎は5勝、C大阪は6勝、引き分けは1つ。

川崎ホームでの戦績

 直近10試合の対戦で川崎が5勝、C大阪が4勝、引き分けは1つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近の対戦は川崎の4連勝中。
・直近11試合、このカードにおけるクリーンシートはない。
・直近3年の等々力の試合はC大阪が先制ゴールを挙げている。
・しかし、等々力での直近4回の対戦において先制したチームが勝利したことはない。

 ルヴァンカップ決勝に代表されるようにかつては川崎の天敵の代名詞といえる存在だったC大阪。しかし、直近4試合では川崎が連勝中。2年連続のダブルとすっかり苦手イメージの払拭に成功している。いずれも3得点以上を挙げており、川崎自慢の得点力を見せつけている格好だ。

 もっとも、得点力を見せているのは川崎だけではない。このカードは撃ち合いが代名詞。直近11試合において両チームとも無得点を記録したことがないというなんとも豪快な記録が。最後に無得点を記録したのは2017年、埼スタでのルヴァンカップ決勝の川崎である。

 等々力に限定するとシーソーゲームの要素も追加される。直近3年はC大阪が先制しているが、いずれも追いつかれており、うち2試合は逆転負け。その前の年は知念のゴールを川崎がひっくり返されており、先日日産で逆転負けを喫するまでは、最も最近の逆転負けとして川崎ファンの印象に残っていた試合だった。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・チャナティップは累積警告による出場停止から復帰。
・FC東京戦で肩を負傷した車屋紳太郎は全体練習に合流。
・長期離脱中のジェジエウは引き続き欠場。

【セレッソ大阪】

・マテイ・ヨニッチにリーグ戦デビューの可能性。
・清武弘嗣は3/12の清水戦でのハムストリングの負傷で1カ月の離脱中。

予想スタメン

Match facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・5試合連続負けなし。勝てば今季初のリーグ戦3連勝。
・クリーンシートを達成すれば2021年8月以来のリーグ戦3試合連続無失点。
・直近10試合の公式戦で3得点以上の試合はない。
・今季のリーグ戦7試合のうち、シュート数が相手を上回れなかった試合は5試合。
・レアンドロ・ダミアンは関西勢とのリーグ戦において10試合連続得点中。この間13得点を挙げている。
・山根視来が川崎のリーグ戦で挙げた8ゴールのうち、7つは後半に挙げたもの。

 苦しみながらも勝ちきった広島戦の勝利によって、今季二度目の連勝。そして今季初の3連勝へのチャレンジを再び手にした川崎。打ち合いになる!というこのカードのデータとは相反するものではあるが、仮にクリーンシートを達成すれば昨年8月以来のリーグ戦3試合連続のクリーンシートとなる。

 一方で攻撃のスタッツには苦しんでいる。ノルマとして掲げている3得点以上の試合は今季ここまでない。

さらに今季は目に見えてシュート数が少ない。確かにシュートは全てではないが、昨季に比べると減り方が異常。シュート数を上回れなかったリーグ戦が5つというのは、既に昨季1年間と並んでいる。

それもそのはずで川崎の今季の90分換算のシュート数はリーグ12位である。ちなみに同データを枠内シュートに限定すると13位。数字で見れば少ないシュートを得点に結びつけているチームといえるだろう。

 得点で頼りになるのはやはりレアンドロ・ダミアン。対関西勢にはなんと驚異の10試合連続得点中という暴れまわりっぷり。特にC大阪は4試合連続で6得点を挙げているお得意様である。

 さらに代表組も順調にいけば帰還の予定。ワールドカップ行きを決めるアシストをした山根の終盤の攻め上がりは川崎ファンには既視感があふれるものだったはず。クラブにおいても苦しい終盤に力になってくれる頼もしい存在だ。

【セレッソ大阪】

<C大阪のMatch facts>
・今季ここまでリーグ戦のクリーンシートはなし。
・今季、アウェイゲームでは2試合負けなし。
・直近の公式戦5敗のうち、4敗は対関東勢とのカード。
・ここまでのリーグ戦7得点はいずれも異なる選手が挙げている。
・加藤陸次樹はオフサイドが6回でリーグ最多タイ。
・マテイ・ヨニッチはこれまでC大阪の公式戦に162試合出場。

 今季のここまでのJ1でクリーンシートがないのは湘南、磐田、そしてC大阪の3チーム。失点が特別多いわけではないが、90分守り切るという意味では苦しんでいるというのが現状だろう。

 今季ここまでは2戦負けなしと比較的相性のいいアウェイで巻き返したいところだが、関東勢との対戦は苦手。近年得意な横浜FM戦は別だが、直近の対戦で敗れているのは軒並み関東勢だ。

 リーグカップの大分戦では6得点と大量得点。これを足掛かりにここから得点力を上げていきたいところ。ストライカーではオフザボールの動きの多さが目立ち、オフサイドの数はチームとしてリーグトップである。

 バックラインには頼れるヨニッチが帰還。フィールドプレイヤーとしてはクラブで歴代最多の出場試合数を誇るバックラインの柱の復帰はチームにとって大きな原動力になるはずだ。

予習

第3節 FC東京戦

第4節 清水戦

第5節 札幌戦

展望

■昨季からのC大阪の上積みは?

 小菊監督のC大阪とはすでに昨シーズンの終盤に対戦済み。しかし、このカードの開催は川崎の優勝決定後だった。そのため、優勝したらプレビューを書かなくていい!というマイルールにより、小菊セレッソは予習なしでいきなり試合をみた。よって、昨シーズンのスタイルがC大阪の一般的なスタイルなのか、それとも川崎対策により傾倒したものなのかという区別がつかなかった。

 ただ、今節のプレビューのために予習した3試合を見る限りでは、昨シーズンに戦ったC大阪のスタイルはおそらく彼らのスタンダートなスタイルに近いのではないか?と想像する。

 非保持においては相手のバックラインに対するインテンシティの高いプレスで時間を奪っていくスタイルが基本。プレスのエンジンをかけた時はトップだけでなく、中盤もセットで追従して押し上げを図ることが多い。

 前から無理にいけない!と判断した場合はサイドに追い込みながら相手を狭い方に閉じ込めていく。中盤は横にスライドしながら圧縮に協力し、相手からスペースを奪っていく。原川、奥埜など広い範囲で動けるC大阪のCHの特色にマッチしたものといえるだろう。

 昨シーズンよりも明確によくなった点としてはFWの守備参加が挙げられる。昨シーズンも高い位置からのプレス自体は出来ていたが、自らのラインを越えられた後のプレスバックが怠慢であり、川崎の横パスを阻害できなかった。そのため、川崎はホルダーに前のパスコースがなくても、横に安全地帯がある格好だった。これでは簡単にやり直しや縦パスを入れられたりしてしまう。

 だが、今季のC大阪は自身のラインを越えられた後でもFWはきっちり守備に参加。同サイドの圧縮と横パスの阻害で、相手のポゼッションのやり直しを防いでいる。加藤、山田、北野とこうした役割をこなせるFW陣の存在は守備における大きな上積みといっていいだろう。

 保持においては川崎を長年苦しめてきたジンヒョン→SBのパスルートは健在。FC東京戦では彼らのハイプレスをいなすための安全地帯となっていた。しかし、SBにボールが出た後のポゼッションのルートが定まっていないことがほとんど。そのため、プレスは外せるけどその先は迷子!みたいなことが平気で起きていた。

 中盤はショートパスを好む割にはトラップが流れることもしばしばで相手につかまることも多い。加えて、ポゼッションの出口がわかりにくいのも問題だ。ここからこうして攻撃を作りたい!というのが保持からは見えづらい。清武、もしくは乾にボールを前向きで持たせるというのがおそらく一番の目的になるのだろうか。だけども、そこに至るまでの手段のところはなかなか最適解が見えてきていないように思う。おそらくは手段不問で押し上げたところで彼ら2人で勝負という青写真なのではないだろうか。

 ただ、前提として今季はその2人の柱のコンディションが怪しく、なかなか攻撃の主軸が定まらない。新加入の選手もいるし、ブルーノ・メンデスのような復帰組も含めてどういった序列で進んでいくのかは現段階では想像がつきにくい。今の状況でいえば、右で坂元と近い役割を託せそうな中原と汎用性の高い山田が一歩リードという形だろうか。

 いずれにしても攻撃の柱とそのサポートキャストが固まるのはまだ先の話のように思う。現段階のスカッドで川崎と立ち向かうことを考えるのならば、左は乾、右は中原の2人に勝負させる形を作るのがベターか。前線は攻守に走り回る黒子となり、ポストで彼らに舞台を整える形。特に左はクロスの精度が高い山中も含めて内外の2つの選択肢で川崎を追い込みたいはずである。

■鍵を握るヨニッチのフィット

 川崎の保持においてもっとも大事なのは呼吸ができるかどうかである。C大阪のプレスによって2CBだけでなくアンカーまで消されてしまうと苦しい。そうしたプレスに対する解決策としてしっくりくるのがない!というのが現状の川崎なので、そうなった場合はGKがエスケープの役目を果たすか、降りてくるIHが背負ってターンしてプレスを回避するかのどちらかだろう。

 もっともC大阪のプレッシングは浦和やG大阪に比べると勢い任せの感もあるので、そうした場合にはサイドに逃げ場をつくれる可能性もある。具体的には、守備においてポジションを丁寧に代えることが少ない乾のサイドでボールを落ち着いて受けられれば、川崎は安定したボール回しで試合を進める確率が上がってくるだろう。

 C大阪の懸念となるのはバックラインがあげきれないケースである。これまでの試合をみても中盤までは押し上げられるけども、バックラインが押し上げきれないゆえに、DF-MF間が空いてしまったり、逆にホルダーにプレスがかかっていないのにラインを上げて裏を取られる形は散見されている。

 注目は定着が予想されるヨニッチ。もちろん、慣れ親しんだチームではあるが、彼が活躍したころのC大阪はバックラインがより低く設定されており、よりPA内での仕事が多かった。だが、今のC大阪のスタイルはよりラインを上げるアグレッシブな形。

 ヨニッチがこの形でどれだけ馴染むのかは非常に大事な論点。ハイラインのDFにおけるヨニッチの働きがどれほどのものなのか?この試合だけでなく、C大阪の今シーズンを左右するような大きなポイントになるはずだ。

 なので、川崎の狙い目に話しを戻すと、空きやすいハーフスペースの表と裏はどちらも狙っていきたいところ。仮にラインを上げ下げするタイミングをヨニッチがつかめなければ川崎のチャンスは広がるはず。

 川崎がハーフスペースの裏が取れた場合はセットでIHにはバイタルに駆け込んでほしい。札幌戦など原川と奥埜はサイドの圧縮に出ていく分、中央のプロテクトが甘くなるケースが多々ある。ここは逃さないでほしい。脇坂には今季初の得点を期待したいところだ。

 ちなみにサイドの守備においては為田が出てくると献身性はアップ。保持の部分を考えると乾や中原を差し置いてのスタメンは考えにくいが、ローラインで守り切りたい状況になった場合はハーフスペース封鎖までプレスバックできる彼の存在は大きな助けになりそうだ。

 非保持においては、WG裏へのジンヒョンからのフィードなど多少仕組みで殴られることを引き換えにしてでも、プレスに行く価値がある相手だと思う。プレッシングで慌てるタイプのチームだし、ロストからのショートカウンターを食らう絵は見えやすい。相手が中央にこだわってくれれば、なおのことOKである。

 よって、その状況を誘発するための前からのプレスにはいくべき。ハイテンポにはある程度付き合っても勝算はあるように思う。藤田がいなくなったC大阪は保持で休める選手が見当たらないので、その土俵には喜んで乗っかってくるはずだ。基本的につかみどころがないチームだけど、ここは高確率で当たる感じはする。

 問題は川崎がリードした場合の試合運びである。本音を言えば保持しながら休みたいが、現状の川崎だと乗っかった方がお得という考え方もできる。理想は制御しつつ、バックラインと中盤のギャップを活かした一刺しで一気に局面を打開し、ゴールを陥れる形。清水戦の高橋が決めたゴールなんかはそうしたスイッチの入れ方がうまい好例である。この場面のように最終ラインを置いていける形は理想だ。攻撃においては、ボールが自陣側にある段階で最終ラインをどう動かすかのイメージをもって崩していきたい相手である。

 でもこの試合に勝つことを踏まえれば、わかっていてもアップテンポに乗っかる手もいいように思う。いずれにしても、相手に不確定要素が多いだけに、臨機応変に対応できるプランは持っておいてほしい。鬼木監督の腕の見せ所が多い試合になるのではないかなと思っている

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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