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「Catch up Premier League」~Match week 16~ 2021.12.10-12.12 etc

目次

①ブレントフォード【13位】×ワトフォード【17位】

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■勇敢で彼ららしい逆転勝利

 ブレントフォードにとっては比較的手応えがある立ち上がりになったと思う。前節はハイプレスとカウンター対応に苦慮した一戦になったが、今節ではワトフォードの強気のプレッシングにも臆することなくボールを繋ぐことができたし、ワトフォードの得意分野であるカウンターの対応も問題なくこなしてみせた。

 カウンターからもチャンスを作ったブレントフォードは上々の立ち上がり。一方のワトフォードはカウンターでデニスに入れるボールがアバウトすぎるせいで、なかなか攻撃を完結させられない。

 ペースとしてはホームのブレントフォードのものだったが、それでも展開に逆らうように点を取ったのはワトフォード。カウンターが無理ならセットプレーで点を取ってしまう!というデニスは流石であった。

 後半はプレス合戦に舵を切ったブレントフォード。ワトフォードもペースを落とさなかったために、非常に落ち着かない展開になった。プレス合戦で押し切り、ペースを握ったのはブレントフォードの方。攻め込む頻度が高まり、WBも敵陣に侵入ができるように。ワトフォードはカウンターから好機を伺う形に徐々にシフトし、ブレントフォードとは異なるスタイルでゴールに迫る機会を伺うことになる。

 それでも点が入らないブレントフォードはバプティストを押し上げる3-4-3に変形してさらに前線の圧力を高める。もちろん、前に人数をかければかけるほどリスクは伴うことになる。繰り返すがワトフォードはカウンターが持ち味なチーム。そしてブレントフォードはカウンター対応はそもそも不得手なチームである。80分までにブレントフォードのバックスが全員警告を受けたというのはまさしくギリギリの対応を迫られている証拠だろう。

 それでも前への意識を止めることがなかったブレントフォード。クロス爆撃でワトフォードを脅かすと、最後はヤンソンが叩き込み84分に同点に追いつく。

 終盤までもつれた試合は白黒がつく形で決着。ここまでサイドのカバーやエリアの跳ね返しに奮闘していたトロースト=エコングが最後の最後でPK献上してしまうというのはとても悲しかったが、最後はムベウモがウイニングショットを決めてブレントフォードが勝利を決める。

 ハイプレスの克服、そしてワトフォードのカウンターを受け止め続けるギリギリの対応の連続。それでもリスクを冒しながら掴んだ逆転勝利は今季の彼らの開幕からの躍進を象徴するかのようなアンダードック精神があふれるものとなった。

試合結果
2021.12.10
プレミアリーグ 第16節
ブレントフォード 2-1 ワトフォード
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:84′ ヤンソン, 90+6′(PK) ムベウモ
WAT:24′ デニス
主審:マイケル・オリバー

②マンチェスター・シティ【1位】×ウォルバーハンプトン【8位】

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プランを壊したヒメネスと先制点

 シティに課されたミッションは明白。ウェストハム戦と同じくウルブスの守備ブロックを壊し切れるかどうかである。5-3-2で守り切る姿勢を見せるウルブスにシティが攻略に挑むという構図を延々と見続ける90分となった。

 ウルブスのシティ対策は高い完成度だったように見える。5バックはPA幅より少し広い程度に圧縮。相手を外に出すように守る。ただし、縦方向の移動に対しては最終ラインが比較的厳しくチェック。降りていくシティの選手たちに対してはある程度ついていき、前を向かせないようにタイトにマークに行く。

 横幅に広く展開できるロドリにはネベスが出ていくことでサイドチェンジを阻害。サイドを変えさせるときは最終ラインを経由させて、あくまで内側を使わせない形をキープする。

 したがって、シティの幅を使う動きはラポルテの対角フィードに頼ることに。しかしながら、この日のラポルテのフィードの精度はイマイチ。ウルブスを左右に揺さぶる形をうまく作ることが出来ない。

 というわけで愚直に5バックの裏を大外から取りに行く攻略を続けるシティ。狭いスペースからの抜け出しで奥行きを作りPAに迫る。動き出しが効いていたのはスターリング。ブロックの外からピンポイントで3次元的なパスを届けられるカンセロとのホットラインはウルブスのブロック守備に風穴を空けられる精度だった。

 一方、ウルブスの保持はトラオレ大作戦。ロングカウンターからトラオレを走らせる形で一気にシティの広いスペースを攻略しようとする。これによりディアスとロドリに警告を出させるウルブス。シティは非保持で無理にプレスに行かなかったくらいウルブスの裏を狙う攻撃を嫌がっていたので、構えて守ってトラオレ大作戦という流れは結構効いていたように思う。

 そんな状況を台無しにしてしまったのが前半終了間際に退場したラウール・ヒメネス。ファウルからのリスタート警告という合わせ技であっという間に2枚のイエローカードを集めたことでウルブスは一気に形勢が不利に。

 CBからの持ち運びとサイドチェンジの阻害が共に難しくなったウルブスに対して、後半のシティはより攻めの姿勢を強める。ひたすら跳ね返し続けていたウルブスが決壊したのは66分。非常に微妙なハンドの判定でシティにPKが与えられたことでついに均衡が破れることに。

    右サイドのカンセロから放たれるパスを起点になんとか試合を決めにかかるシティだったが、立ちはだかったのはウィリアム・サ。シティは2点目を奪うことが出来ない。

 だが、ウルブスも10人ではさすがに苦戦。大作戦のリーダーをトラオレからファン・ヒチャンに変えたり、中盤を攻撃的なメンツにシフトしたりもしたが、危険な箇所でのロストを徹底的に避けるシティの保持を前にボールを奪い返せない。

 結局試合は1-0で終了。ヒメネスの退場と先制点で万策尽きたウルブスをシティが制圧する形となった。

試合結果
2021.12.11
プレミアリーグ 第16節
マンチェスター・シティ 1-0 ウォルバーハンプトン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:66′(PK) スターリング
主審:ジョナサン・モス

③アーセナル【7位】×サウサンプトン【16位】

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■開くCBとサイドの優位でセインツを圧倒

 レビューはこちら。

 あと一歩で4位というところから連敗を重ねて、CL出場権争いから後退してしまったアーセナル。相手は前節、前々節と同じく4-4-2を使うサウサンプトンだ。

 この試合のアーセナルは前節と異なり、CBが広い幅を取りながらビルドアップ。GKのラムズデールを織り交ぜながら前進するような形を作り、サウサンプトンのプレス隊に狙いを絞らせない。

 立ち上がりこそプレスの勢いでボールを取れそうなサウサンプトンだったが、徐々にボールを運ばれるようになると苦しい展開に。左右のマルティネッリとサカへのロングボールも織り交ぜながら前進するアーセナルに対して押し込まれる。

 左右の優位を助けたのが冨安。先制点のシーンでは同サイドのサカにプレスを脱出するパスを送ると、そのままPA内まで走り込みつつ囮になってラカゼットのゴールをアシストした。

 2点目の場面では逆サイドへの大きな展開からウーデゴールの追加点に貢献。オフザボールでもオンザボールでも高い貢献を示し試合のペースをアーセナルに引き寄せる。

 サウサンプトンもサイドの三角形からの抜け出しでゴールに迫るシーンを作る場面はあるものの、アームストロングの負傷交代でポストが出来る選手が減ってしまったのが痛恨。SBの攻め上がりの機会を稼ぐことが出来ず、むしろ彼らの軽さをアーセナルに利用されてしまった形となった。

 後半にセットプレーからガブリエウが追加点をとり、試合は完全に決着。ホームでの連勝と連続無失点記録を伸ばしたアーセナルが連敗を2で止めて見せた。

試合結果
2021.12.11
プレミアリーグ 第16節
アーセナル 3-0 サウサンプトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:21′ ラカゼット, 27′ ウーデゴール, 62′ ガブリエウ
主審:ジャレット・ジレット

④チェルシー【3位】×リーズ【15位】

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■綱渡りで勝ち取った3ポイント

 まず目についたのはリーズの変則フォーメーション。4-3-1-2という個人的にはビエルサのリーズでは見たことのない形でスタートをした。

 トップ下に入ったロバーツはジョルジーニョをケアしてサイドチェンジを牽制する。2トップとIHは相手を外に外に追いやっていくイメージ。4枚のバックスは動かずにIHがサイドのケアに積極的に出ていきつつ、サイドチェンジを阻害することで同サイドに相手を限定していく。

 一方のチェルシーは3バックから前進を試みる。リーズの2トップを牽制しつつ、IHと2トップの間に入っていくようにボールを運びつつリーズの陣形を歪ませる。相手がボールに食らいついて来るタイミングが早いと感じたならば、前線からハフェルツが降りてきての間受け。丁寧にボールを運びながらリーズの守備を壊しそうとする。

 だが、先に粗が見えたのはチェルシーの方。トランジッション局面からリーズがボールを奪取すると、一気にそのままPA内に攻め入りPKを獲得する。

 チェルシーからすると非常にらしくないボールロスト。マルコス・アロンソが高い位置を取った分、低い位置まで下りていったヴェルナーが決め打ちで再び攻め上がったことでスペースを明け渡してしまった感じ。その分、トランジッションには脆い受け方になってしまいPKを招いてしまった。

 らしくない形で先制点を献上したチェルシーだったが、前半終了間際にダイレクトな展開からマウントがゴールをゲット。なんとか同点でハーフタイムを迎える。

 迎えた後半、リーズはプレスを強める。IHがワイドのCBを捕まえに行くところまで出ていくことで、前半のような保持で運ばれるシーンを阻害にかかる。だが、出てくるということは中盤のスペースも空きやすくなる。チェルシーは縦に積極的なパスを狙うことで試合のテンポがアップすることに。

 しかし、ミスが出たのはリーズの方。軽率なラフィーニャのタックルでリュディガーを倒しこちらもPKを献上。勝ち越し点を明け渡すことになった。

 勝ち越し点を得たチェルシーだが、どうも試合を落ち着けることが出来ない。むしろ、プレッシングを強めることで相手を押し込もうとすることに失敗し、リーズに前進のチャンスを与えるような場面もちらほら。

 落ち着かない状況から終盤に得点を得たリーズ。一枚ずつずらしながらの敵陣侵入でチェルシーのお株を奪う崩しでの同点劇を演じる。

 だが、試合はまだ終わらず。後半追加タイムにリーズの陣内でPKをゲットしたのはまたしてもリュディガー。同じ日に2回PKをゲットするDFとは世にも珍しい選手である。

 リーズに翻弄されて苦戦するも最後の最後で勝ちきったチェルシー。勝ち点をこぼす試合がちらほら増えてきただけに貴重な3ポイントとなった。

試合結果
2021.12.10
プレミアリーグ 第16節
チェルシー 3-2 リーズ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:42′ マウント, 58′(PK) 90+4′(PK) ジョルジーニョ
LEE:28′(PK) ラフィーニャ, 83′ ゲルハルト
主審:クリス・カバナフ

⑤リバプール【2位】×アストンビラ【10位】

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■凱旋で見えた成長の跡

 就任以来、好調な成績でアストンビラを引っ張るジェラード。そんな彼が今節に立ち向かうのは彼の体と心に刻まれたクラブであるリバプール。中立のプレミアファンはもちろん、リバプールファンですら楽しみな気持ちになるであろうジェラードのアンフィールド凱旋となった。

 ジェラードのアストンビラはサイドの多角形を形成しつつ、それを壊すことで前進。この試合もそのやり方を踏襲。保持に傾倒したスタイルをアンフィールドでも見せようとする。

 だが、保持において強さを見せたのはアストンビラではなく、リバプールの方。サイドから優位を作り、抜け出す状況を作るのが非常に上手かった。トップに入ったオックスレイド=チェンバレンは抜群の抜擢!というわけではなかったが、ボールサイドのボール回しに加わったりなど、役目を無難にこなしていた印象。まぁ、こんなものだろうなといった感じだろうか。

 リバプールは後方のチアゴとファン・ダイクがひたすら対角にパスを出すことを徹底。アストンビラの3センターの背後を取るような場所を常に狙うことで守備者を外しながらの前進を狙う状況を作るのが上手かった。

 サイドに人数をかけて崩すという点では似たような方向性のようには見えたが、完成度で言えば明らかにリバプールの方が上。アストンビラはPA内でのスライディングでなんとかするケースが散見。リバプールよりも水際での対応を迫られる機会が多かった。

 体を当てることさえできれば対応できる姿勢は見せたアストンビラだが、抜け出されてしまうと捕まえられない。相手に体をぶつけることなく敵陣に侵入するリバプールの巧みさが光った展開だった。それでもマルティネスを軸に堅守が光るアストンビラを前に得点には届かない。

 後半にはサラーへの依存を高めることでよりゴールに迫るリバプール。よりギリギリでの対応が迫られるアストンビラはミングスがついにPKを献上。前半から強いられていたPA内でのギリギリの対応がついに決壊してしまった格好だった。

 ここから攻勢を強めていくアストンビラだが、ファン・ダイクやファビーニョが立ちはだかりなかなかシュートまでは辿り着けない。リバプールは見事にアストンビラをシャットアウトしての完封勝利をもぎ取ってみせた。

 とはいえ、アストンビラは従来の弱点であるカウンター対応でプレミア屈指のカウンターマシンが勢揃いのリバプールと十分渡り合ってみせたのは好材料。勝ち点は得ることはできなかったが確かな成長の跡をみせたアンフィールド凱旋となった。

試合結果
2021.12.10
プレミアリーグ 第16節
リバプール 1-0 アストンビラ
アンフィールド
【得点者】
LIV:67′(PK) サラー
主審:スチュアート・アットウェル

⑥ノリッジ【20位】×マンチェスター・ユナイテッド【6位】

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■順位に反した拮抗した接戦に

 フォーメーション的には4-3-3で幅を取りながら攻めたいノリッジと4-2-2-2で中央を圧縮しながら攻めたいユナイテッド。対抗する概念が激突した両チームだった。

 順位的にはユナイテッドの方が大幅な格上の対戦ではあるが、試合としてはなかなかに拮抗していた。ノリッジの攻撃は幅を取りながら。ユナイテッドの守備は相手が攻撃をサイドから行うと必ず最終ラインが偏る。同サイドにSBとCBが集結するくらいグッとスライドがかかる。

 それゆえ、逆サイドは人数が足りなくなる。例えばユナイテッドの左サイドから攻められたとしたらPA内はリンデロフとダロト。このダロトの外側は相手にとってはかなり狙い目。ピッチを横断するように攻撃を行うことができればノリッジには十分チャンスがあった。

 ノリッジはピッチを横切るようにボールを動かせば、逆サイドからチャンスがあることはどうやら理解している様子。同サイドからの脱出さえすることができれば横断から相手のラインを押し下げることができていた。後方では時にはギルモアのサリーから数的優位を確保し、サイドに展開して横断するというパターンから相手陣に攻めいる。

 一方のユナイテッドはサイドの縦関係で攻略を狙っていく。SB-SHの2人で縦に進みながら一気に攻略することでエリアに迫っていく。ユナイテッドの攻撃のチャンスはほぼほぼ縦方向への強いベクトルのパスが2回連続し繋がったもの。逆にいえばそれができないと効果的な攻撃ができていなかった。

 ラングニックのユナイテッドは縦方向のベクトルが非常に強く、サイドを変えながらの前進は稀。同サイドの圧力を高めながらグイッと縦に進むことでゴールに向かう。ノリッジは基本的には受けに回るが、縦に奪いに出ていったタイミングをミスった状況において、ユナイテッドがチャンスを作ることができる。

 逆に構える守備ブロックに対してはユナイテッドはかなり攻めあぐねた印象。ノリッジは4-5気味で中央に人が多めに構えている状況で、中央からは高いは難しい。サイドで相手が食いつくチャンスを待ちながらの展開になった。

 拮抗した両チームの流れは後半も継続。どちらに試合が流れてもおかしくはなかったが、終盤にPA内で相手を引き倒してしまったことでユナイテッドにPKが与えられる。なかなか決着しなかった一戦は僅かなチャンスからPKを得たユナイテッドが逃げ切り。きっかけを掴めないながらも見事に勝ち点3を掴んでみせた。

試合結果
2021.12.10
プレミアリーグ 第16節
ノリッジ 0-1 マンチェスター・ユナイテッド
キャロウ・ロード
【得点者】
Man Utd:75′(PK) ロナウド
主審:ダレン・イングランド

⑦バーンリー【18位】×ウェストハム【4位】

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■沼から抜け出しきれず

 ともにフィジカルに傾倒した両チームの対戦。似たような毛色のチームとの対戦はよく実力差がくっきり出やすいというのだけども、この試合は上位であるウェストハムペースというわけではなかったように思う。

 おそらくだが、体のぶつけ合いに関しては少しバーンリーの方が分があったのだろう。ロングボールとフィフティーのボールの競り合いの連続はバーンリーの得意なだらっとした展開。全体が間伸びしても気にせずに、この沼にハマっていくとバーンリーの思い通りに試合が進んでいるということになる。

 そんな中で互いにチャンスがあったのはセットプレー。バーンリーはグズムンドソンが、ウェストハムはアントニオが惜しいシーンを迎えるなど、立ち上がりからセットプレーだけはチャンスがあった試合だった。

 ウェストハムはゲームのリズムを掌握しようとライスのサリーからボール保持でテンポを引き戻そうとする。押し込みながら大外をSBに任せエリア内に4枚揃える形でのクロスから打開を狙う。だが、ここは高さのあるバーンリーのバックスの面々。なかなか簡単にはこじ開けさせない。

 30分を過ぎると、バーンリーがハイプレスを敢行して再び試合は落ち着かない展開に。落ち着こうとするウェストハムを再び沼に引き摺り込もうとする。

 後半になるとようやくウェストハムが試合の展開を握れた感じに。ドリブラーでなくても前を向いて対峙できればバーンリーのバックスを揺さぶれるということに気づいた様子。ここでも効いていたのはライス。ライン間に入り込む動きや後方からのボールの持ち運びでスルスルと前まで上がっていき、バーンリーを押し込んでいく。

 逆にバーンリーは正対での対人になると活路を見出せない。おそらく一番戦えるのはマクニールだろうが、それでもサイドでの1on1はほぼ完敗。後半は前半以上にチャンスの匂いがしない展開が続いていく。

 ただ、ウェストハムも押し込む形はそもそも得意ではない。彼らの最大の持ち味であるスピードに乗ったロングカウンターはこの試合ではほぼ見られることがなかった。逆に終盤にはオープンになったところをバーンリーに叩かれかけてあわやというシーンも。バーンリーのFWに決め手が欠けたことに救われた形である。

 結局は試合はスコアレスドローで決着。バーンリーの沼から脱出しきれなかったウェストハムはまたしても強豪相手の勝利の後の停滞を経験することになった。

試合結果
2021.12.11
プレミアリーグ 第16節
バーンリー 0-0 ウェストハム
ターフ・ムーア
主審:グラハム・スコット

⑧レスター【11位】×ニューカッスル【19位】

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■先制点で開幕したオープン合戦でワンサイドに

 やたらと因縁が生まれてしまった感のあるナポリ相手にEL最終節で敗退。失意のECL行きを命じられてしまったレスターにとっては再起の一戦となる。

 今節のレスターは比較的保持の成分が高め。前節と比べるとつなぎながらボールを前に送っていこうとする。そんな立ち上がりでいきなりエバンスが負傷。ヴェスターゴーア、フォファナ、アマーティとCB陣に怪我が多い中で再びCBに離脱者が出てしまう。

 こうなるとレスターは厳しい。今季パフォーマンスが安定しないンディディを最終ラインに回るが、怪しい感じは否めない。ニューカッスルの高い位置からのプレスは退けたものの危うい場面もちらほら。

 だが、縦に速い攻撃を織り交ぜることで徐々にニューカッスルを押し込むようになるレスター。すると、今度はブロック守備において攻めあぐねてしまうようになってしまう。

 しかし、ニューカッスルもこの試合は苦戦。保持成分を減らしながらロングカウンターで反撃を狙うが、サン=マクシマンの位置がいつも以上に低いため、クリティカルなダメージをレスターに与えることが出来ない。

 そんなちぐはぐな展開だけにレスターが得た先制点は千載一遇。プレスから得たチャンスからPKを得てティーレマンスがこれを沈めて見せる。

 後半はレスターが強度を上げたことで試合はさらにレスターペースに傾く。早い展開になるとニューカッスルはどうしてもCHの軽さが前面にでてしまい、ジョエリントンが低い位置でのプレーを余儀なくされてしまい、相手の圧に屈する節がある。

 レスターが2点目を決めたところで試合は決着を見たといっていいだろう。マディソンのパスに抜け出したバーンズ、ダカとつなぎ見事な追加点を演出した。

 そこからはオープンな形を活かしての追加点を重ねていくレスター。4得点と久しぶりの大量得点で余裕を持った勝利を挙げることが出来た。

 ニューカッスルとしては前半を考えるとここまで大差がつくほどの質の差があったようには思えなかったのだが、やはり後半にテンポアップでニューカッスルの脆さを突くという解決策を提示することが出来たレスターの方が一枚上手といっていいだろう。

   CHの軽さに2列目が下がってしまい、保持時に余裕がなくなってしまう問題をエディ・ハウはどのように解決するのか。ニューカッスルの現有戦力にとってはタイムリミットとなり得る冬の移籍市場はもうすぐそこまで迫ってきている。

試合結果
2021.12.11
プレミアリーグ 第16節
レスター 4-0 ニューカッスル
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:38′(PK) 81′ ティーレマンス, 57′ ダカ, 85′ マディソン
主審:ピーター・バンクス

⑨クリスタル・パレス【14位】×エバートン【12位】

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■優勢に進めて仕上げはギャラガー

 ホームのパレスは久しぶりに保持にのんびりした形で臨むことが出来た。3-2-5を基調にした変形はもうお馴染みのもの。前線から+1としてあらゆる場所に顔を出すことができるギャラガーが保持を落ち着ける役割をこなすことで、相手のプレスに屈することなく前進をすることが出来る展開に。

 エバートンは高い位置からプレッシングに行くものの、ピッチを広く使ったパレスのビルドアップに肩透かしを食らう。特にアランに代わってCHでドゥクレとパートナーを組んだデルフはあまりに広い守備範囲を丸投げされるというエバートンのCHが日常的に陥っているワーカーホリック気味の状態にやや戸惑っているかのよう。

 プレスをかけ切れないとみるとエバートンは4-1-4-1気味に構える形に変更する。パレスは敵陣に押し込んだ後は右のギャラガーを中心としたハーフスペースの裏抜けでPAに入り込もうとするも、やや一本調子の感が否めず停滞気味になる。だが、この日のエバートンは方向も強さもやたらクリアが甘く、パレスにセカンドチャンスを不用意に与えることが多かった。

 パレスが得た先制点はエバートンのクリアが中途半端になったところを強襲したもの。セカンドチャンスから攻め込んだパレスが一歩前に出ることに。

 後半もパレスは保持で落ち着いて試合を進める。プレス強度を上げたドゥクレの裏から無理なく前進することが出来ていた。62分に決めたセットプレーでの追加点でエバートンを追い詰める。

 追加点と若干時間は前後するが、カウンターからの光が見いだせなかったエバートンはリシャルリソンを諦めてロンドンとゴードンを投入する。

 こうなると前半よりはややマシになったエバートン。ただ、パレスも押し込まれる機会こそ増えたものの、体のぶつけ合いでわかりやすい後手を踏むまでには至らず。反撃としてのカウンターの策もザハがいれば用意できるし、問題なく対応していく。

 70分、エバートンが1点差に迫る追い上げを見せるが、試合終盤に再びパレスが突き放す。格の違いを見せつけたのはギャラガー。この冬にもカムバックしてほしいとチェルシーファンが願ってもおかしくない活躍を続けるギャラガーのダイナミックなゴールで試合は完全決着。

 エバートンは反撃の兆しを見せたものの、試合全体を通してみれば勝利にふさわしいのはパレスの方だった。

試合結果
2021.12.11
プレミアリーグ 第16節
クリスタル・パレス 3-1 エバートン
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:41′ 90+3′ ギャラガー, 62′ トムキンス
EVE:70′ ロンドン
主審:アンディ・マドレー

⑩ブライトン【13位】×トッテナム【8位】

■先導役で関所を突破

 16節の延期分は今現在延期されているカードの中で最も古いもの。前半戦に開催されるはずだったこのカードはようやくこの時期に開催。3月にしてシーズン初めての対戦となるレアケースで顔を合わせることとなったブライトンとトッテナムの一戦である。

 連敗中でなかなか結果が出ないブライトン。この日は高い位置からボールを追いかけまわし、トッテナムの時間を奪いにいく形でプレッシャーをかけていく。序盤はこのプレッシングに苦しんだトッテナム。ブライトンはボールを奪ったところからリズムをつかみ、トッテナムを攻め立てていく。

 だが、ブライトンのプレッシングには徐々にトッテナムは慣れてきた様子。20分もすれば落ち着きながらボールをもてるようになる。攻撃においてトッテナムの打開策となったのは縦方向へのパス。特にケインの降りる動きで列を超えるケースがだんだんと増えていくように。

 ブライトンはビスマを防波堤にしつつ対抗しようと試みる。ここをスムーズに超えれば一気に攻撃の道が開けただけにトッテナムにとってはブライトンの中盤は関所のようなものだった。

 立ち上がりはトッテナムのプレスに屈してあわや失点の場面もあったブライトン。だが、ブライトンの前進も20分を越えると徐々に落ち着く。こちらも相手の中盤という関所をどう超えるか勝負。しかし、関所を越える先導役となるケインの立ち位置の選手が不在。その分、中央からのクリーンな前進は難しい。

 そうした中で先制したのはトッテナム。クルゼフスキのミドルが間に入っていたロメロに当たりゴールイン。前半のうちの先制点確保に成功する。

 後半、ブライトンは立ち上がりから反撃。左サイドのククレジャを軸にサイドからのクロスで攻勢を強める。サイドは人をかけずにシンプルに。その分、中は手厚くという形で一気に反撃に出る。モペイを囮にマック=アリスターが詰めた場面はゴールに迫ったが、シュートは枠をとらえない。

 となるとここから先は我慢比べ。カウンターのトッテナムか、それとも押し込んで崩し切りたいブライトンか。ブライトンはランプティ、ウェルベックと次々に引いた相手に動きを付けられる選手を投入して攻勢を強める。

 だが、試合を決めたのはトッテナムの方。ベンタンクールの持ち上がりから裏に抜けたケインが仕留めて試合を決定づける。

後半は攻め立てる機会を得たブライトンだったが、シュートだけではなく崩しの質ももう一声といった感じ。さすがに降格までは距離はあるが、調子の上がらなさは心配でもある。

試合結果
2022.3.16
プレミアリーグ 第16節
ブライトン 0-2 トッテナム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
TOT:37′ ロメロ, 57′ ケイン
主審:ロベルト・ジョーンズ

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