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「殉じざるを得ない哲学に対抗する」~2021.12.18 プレミアリーグ 第18節 リーズ×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第18節
2021.12.18
リーズ(16位/3勝7分7敗/勝ち点16/得点17 失点32)
×
アーセナル(4位/9勝2分6敗/勝ち点29/得点23 失点22)
@エランド・ロード

戦績

過去の対戦成績

図1

 過去10回の対戦でアーセナルの7勝、引き分けが3つ。

エランド・ロードでの対戦成績

図2

 過去10戦でリーズの2勝、アーセナルの5勝、引き分けが3つ。

Head-to-head from BBC sport

・2003年5月のハイバリーでの3−2の試合以来、リーズは直近10試合の公式戦でのアーセナル戦で未勝利(D2,L8)
・8週間前にリーグカップ4回戦で激突し、アーセナルが2-0で勝利している。
・リーズは1993年12月以来の直近12試合のホームのアーセナル戦で複数得点がない。

スカッド情報

【Leeds】

・ダニエル・ジェームズ、ジェミー・シャックルトンはそれぞれ火曜のシティ戦で負傷し、出場できない。
・ロビン・コッホは開幕戦以来の出場の可能性。しかし、ジュニオール・フィルポは出場停止。
・8人のシニアプレイヤーが出場できない。

【Arsenal】

・ピエール=エメリク・オーバメヤンは規律面で再度ベンチ外に。

Match facts from BBC sport

Leeds

・ミッドウィークのシティ戦の7-0は1934年の8-1で敗れたストーク戦以来のクラブ史上タイのトップリーグでの大敗。
・チャンピオンシップ時代の2017年11月以来のリーグ戦3連敗の危機。
・しかし、直近5試合のホームゲームのリーグ戦では負けなし(W2,D3)
・リードから15ポイントを落としている。
・ラフィーニャの7得点のうち、6得点は先制点。

【Arsenal】

・昨年10月以来、初めてトップ4で臨む試合。
・2021年は19試合のアウェイ戦での9勝。12勝した2015年以来の多さ。
・しかし、アウェイでは4連敗の可能性。2018年5月のクラブレコードの7連敗以来となる。
・エミール・スミス・ロウは直近7試合のリーグ戦の出場で5得点。
・ベン・ホワイトはリーズがチャンピオンシップをとった19-20シーズンにブライトンからレンタル移籍で46試合に出場した。

予想スタメン

画像4

展望

■結局はやり遂げないといけない

 リーズにとっては非常に受難の時期になっている。まずは日程の面。この1週間、彼らが対戦してきたのはチェルシー、マンチェスター・シティである。2試合合計で10失点とガッツリと点をむしり取られてきた。エバートンもそうなのだけど、12月に極端に厳しい日程を迎えているチームがいくつかある。リーズもその一つである。

 もう一つ、彼らにとってしんどいのは負傷者事情である。普段、以下のサイトで負傷者事情をチェックしているのだが、フィルポのサスペンションに加えてクーパー、フィリップス、ストライク、バンフォード、ロドリゴ、シャックルトン、ジェームズ辺りはまず間違いなくアーセナル戦には間に合わなさそうである。一部ではアーセナル戦で起用できるシニア選手は9人という話も。どちらにしても出れない選手で溢れかえっているのは確かである。



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 今季は開幕からずっと怪我人に頭を悩まされ続けているリーズ。その中でも今が特に多いという状況である。特にビエルサのやり方は人を固めながら熟成させていくようなチームの作り方。怪我人でメンバーを固められない現状は厳しい。

 開幕から断続的に離脱しているメンバーもバンフォード、エイリング、ラフィーニャ、フィリップス、ストライクなどの中核の面々。主力も主力というメンバーがフルシーズンで稼働できていない。層が厚いとはいえない彼らにとって、これは大きな痛手。厳しいことこの上ない状況である。

 チームの志向するスタイルとしては大きくは変わらない。ハイプレスとマンマーク、そして大きな展開からのサイド攻略が基軸になっているチームである。けども、今季はそのリーズらしさが見られない試合も正直少なくはない。前からのプレスを外され続けてしまい、リトリートに意識が行ってしまったり、大きなフィードを出せずに相手のプレスに捕まってしまったり。哲学に殉じるところまでは行ききれなかった感がある試合もしばしばある。

 前から行くかいかないかの判断で優れており、2トップのプレスを一手に引き受けているプレッシングリーダーであるバンフォードや前を向くことができれば自在に大きく左右に展開ができるフィリップスの不在はらしさが出ない一因になるだろう。要は属人性に関わる部分である。

 無理に哲学を通そうとしたシティ戦ではマンマークを外され続け、トランジッション局面でボコボコにされ続けてしまったりなど結果が裏目に出るのを見てしまうと、割り切りも一理あるのかもしれない。

 だが、結局リーズがいいサッカーになるのは哲学に殉じきれた場合。前からのチェイシングや、大きな展開が機能している時である。引きこもったり我慢の先に何かがあるチームではない。それがこのチームのジレンマである。

■奥行きは必須

 したがって、アーセナルからするとリーズが哲学に殉じた場合のことを考えればよい。おそらく、押し込みながらのワンサイドゲームに持ち込めればかなり高い確率で攻略し切れるはずである。

 攻略すべきはトランジッションとマンマークの局面。前線にギュンドアンが常駐しつつ、グリーリッシュやフォーデンが最終ライン付近まで降りてくるというフリーダムな揺さぶりでリーズを試し続けたシティほど極端にやる必要はないが、縦方向の移動で最終ラインを手前に引き出すという原則はコピーして使えそうである。

 手前に引き出す動きを有効に活用するにはその裏を取ることができる選手が必要である。今のアーセナルでその役割を担えるのはマルティネッリ。引いて受けるのが得意なラカゼットとの組み合わせはこの試合でも効くはず。ウェストハム戦での先制点の場面のような奥行きを作れる動きはリーズ戦でも必ず欲しい崩しのパターンである。

画像3

 毛色は異なるがスミス・ロウも細かい連続的な動きで最終ラインに穴を開けるのが得意な選手。縦に速い展開が続くのならば、トップ下はウーデゴールよりも彼の方が適任といえるかもしれない。

 またCBの持ち運びも必要要素の1つ。チェルシーもシティもバックラインが誰でも運べるせいで、だいぶリーズは手を焼くことに。複数人を追いかけ回すのに慣れているバンフォードの不在で前プレの質は下がっている。前を2枚で追いかけてくるチェルシー戦のようなプレスの動きが増えてくるのならば、CHが最終ラインに降りる動きを使っても良い。いずれにしても最終ラインからの持ち運びで作り出したズレを前に送るような作業が攻略には必要だ。

 リーズの攻撃はSBがズレを作りながら受ける所から始まることが多い。オフザボールで受けるのが上手いダラスとフィルポが走り出したスペースに入り込むことによってボールを前に進めたり、フィリップスに安全にボールを渡したりができる。

 だが、先に述べたようにフィルポは出場停止。リーズはビルドアップの初手の部分でもこの試合は苦しいことになる。大きく開いたCBへのパスコースを牽制しつつ、昨年のようにメリエが得意な左足の方からプレスをかけるような形を作れれば、ハイプレスからミスを誘発し、チャンスを得ることができる可能性が高い。

 前に進まれた時に一番気をつけたいのはラフィーニャ。個人で複数枚剥がせる彼にボールが渡ると厄介。前節のハマーズ戦と同じく、正対する前に封じて決着をつけたいところ。早め早めの対応で封じ込めたい。

 ラフィーニャに前を向かれてしまうとなるとアーセナルは苦手なサイド守備の連携に直面することになる。アタッカー陣+SBのダラスのフリーランでニアのハーフスペースから奥行きを作られるとピンチに陥ってしまう。

 相手の唯一と言える突破口を塞ぐことができれば、リーズは哲学に殉じ続けることは難しくなる。中1日分、日程的にはアーセナルが不利だが、スカッド事情では大幅にリーズが不利。彼ららしさを発現させることなく、スマートな形で苦手なアウェイゲームで勝ち点3を取り切りたい所だ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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