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「攻守両面で効く押し込み」~2021.8.9 J1 第23節 大分トリニータ×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第23節
2021.8.9
大分トリニータ(19位/4勝4分14敗/勝ち点16/得点14/失点32)
×
川崎フロンターレ(1位/18勝4分0敗/勝ち点58/得点53/失点15)
@昭和電工ドーム大分

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10回の対戦で大分の2勝、川崎の7勝、引き分けが1回。

大分ホームでの戦績

図2

直近10試合で大分の5勝、川崎の3勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・川崎が勝てば2019年以来のシーズンダブル
・当該カードはホームチームが3連勝中。
・大分ホームでの対戦は直近5試合で両軍合わせて4得点
・J1での大分の川崎戦勝利は4勝全てホームゲーム。

 川崎が勝てば2年ぶりのシーズンダブルになるが、サポーターにとってはむしろリベンジの要素が強い一戦だろう。昭和電工ドーム大分は川崎が最後に負けた試合の地。そして優勝の達成を阻まれた地である。その試合でも大分が勝利を収めた通り、このカードではホームが優位になる傾向が強い。大分がJ1に上がった以降、勝利した試合は全てホームゲームである。

 もう1つの特徴は大分ホームでの当該カードはロースコアで落ち着きやすいこと。昨年の1-0をはじめ、ほとんどの試合が最少得点差。5年間で入った得点はわずかに4つで、同カード同期間の等々力の12点と比べると1/3ほどである。さらにアウェイ側のチームは3試合連続で無得点。ちなみに大分がJ1で川崎に勝利した4試合はいずれもクリーンシート。この法則にのっとるならば、大分が勝利するためには今季初めて川崎をリーグ戦で完封するチームにならなければいけないということになる。

スカッド情報

【大分トリニータ】

・呉屋大翔、野嶽惇也、梅崎司を夏の移籍市場で獲得。
・下田北斗は前節のG大阪戦でスカッド外。

【川崎フロンターレ】

・三笘薫、旗手怜央は代表活動明けで出場は厳しいか。
・負傷中の小林悠、大島僚太はランニングを再開。

予想スタメン

画像3

Match facts

【大分トリニータ】

<大分のMatch facts>
・昨年同時期に比べて勝ち点は12減少。
・7位より上のクラブには未勝利(D3,L5)
・ホームでの公式戦は直近5試合無敗(W4,D1)。
そのうち直近3試合は無失点。
・勝ち点16の内、ホームで挙げたものが13。
・呉屋大翔は昨季ホームゲームで川崎相手に点を獲っている。
・下田北斗は未だに出場した試合での川崎戦勝利がない。

 昇格したシーズンの躍進から年を追うごとに苦しい戦いになってきている大分。昨年と同試合消化の段階でまるまる4勝分の勝ち点が消えている。数字的には厳しさが否めない。特に7位より上のチームに対してはここまで8戦で未勝利。得点はわずかに2だけと大いに苦戦している。

 ただ明るい兆しもある。天皇杯で下部カテゴリーとの対戦を含むもののホームでの公式戦は5戦無敗。かつ、今季の勝ち点のほとんどをホームで挙げているということで徐々にホームを自分たちの庭にすることが出来ている。

 昨年、川崎相手に得点を決めている呉屋や古巣相手に燃えているであろう下田を中心に降格圏から少しでも浮上するための勝ち点3がほしいところ。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・開幕以降31試合の連続無敗。
・リーグ戦は直近27試合無敗(W23,D4)
・直近4試合のアウェイゲームは2得点以下。
・8月のアウェイのリーグ戦は2試合連続で勝ちなし。
・直近2試合の大分戦の勝利はいずれも三笘薫が決勝点を決めている。
・大分アウェイのリーグ戦で川崎所属の選手として得点を取った選手は現有戦力に不在。

 開幕以降の公式戦は無敗。そしてリーグの無敗記録も昨年より継続中。ただ、繰り返しになるが最後に敗れた対戦相手は大分。谷口の退場でPKを献上し、優勝をお預けされたあの試合である。

 実際、アウェイではやや苦戦傾向。鬼木監督の掲げる3得点の勝利には4試合届いていない。加えて、8月のアウェイは名古屋、神戸と昨年から未勝利が続く難しい状況。夏男と名高い小林悠はおそらくまだ時間がかかりそうということで、得点の部分が気にかかる。

 実際、ここ2試合の大分戦の勝利はいずれもこの試合不在となる公算の強い三笘の決勝点。大分の地のリーグ戦での最後のゴールは近い順からマギーニョ(2019),大久保(2013),中村(2006)と現有戦力に得点者がおらず、得点でいいイメージを持っている選手はいない。戦力のやりくりは難しく、アウェイでの連戦は続く。中断期間での上積みを持って悪いイメージの打破はできるだろうか。

展望

■スムーズな前進には苦しんでいる

 大分の基本フォーメーションは5-4-1。フォーメーションそのものの特徴である後ろ重心という特性を素直に押し出している。ボールを保持するチームに対して、無理に前に出ていくことはない。ただし、中盤で引っ掛けることはあきらめていないという様子である。

 中盤はコンパクトに維持するのが前提。トップの長沢は保持側のアンカーくらいにプレスの開始位置を設定。中盤はこれに合わせて高さを取る。ミドルゾーンにおいてはどちらかといえばシャドーが高めになり、前の5人は五角形のような形をとるのが特徴。なるべく中を圧縮するような動きを見せて、相手の中盤から自由を奪いたいのだろう。

 一方で大きくラインを下げて守る場合は中盤の4枚は一直線に並ぶフラットな形で受けることが多い。これはサイドからクロスを上げられることを防ぐためだろう。大分のバックスはPAエリア内に人を揃えて迎え撃つが、そこまで強度が高いわけではない。なるべくならばクロスを上げるところに制限をかけながら、相手の精度を落としたい。

 いずれにしても中盤で相手をひっかけるという色気を見せつつも、バックスは人を揃える形で守備の機会を準備する。重心をしっかりと下げて、相手の攻撃を迎え撃つのが守備の基本的な方針といえるだろう。

 攻撃においてはバックスを使いながら運ぶ姿勢は変わっていない。おなじみの可変しながら後方からつなぐやり方は、以前に比べてうまくハマる回数が少なくなったというのは正直なところ。特にDFラインに可変に耐えながら高水準でCBとSBを兼任できる岩田のような存在が出てきていないのが辛いところである。

 つなぎの軸となれる選手がいない分、一つずつズラしながら運ぶという意識はやや薄く、ダイレクトに前線に当てる場面は増えたように思う。可変の部分で効くのは下田北斗。ピッチの場所に関わらず、プラス1が欲しい位置に顔を出す働き者で、最終ラインにもサイドにも数の論理でチームにプラスをもたらすべく汗をかいている。CB兼SBの可変がスムーズな三竿と共に後方からボールを運ぶ仕組みの上でのキーマンといえるだろう。

 もう少し前に目を向けると、香川と井上のWBは奥行きはもちろん、斜め方向のドリブルがレパートリーにあり、変化を付けられる存在。特に右の井上には相手をずらすことが期待される。もう1つの攻撃の武器は3トップの連携。後方から受け取ったパスを長沢のポストから落としを受けたシャドーによりスピードアップする。

   こういう細かいプレーは町田が得意。エリア内に入っていく動きのうまさも含めて、彼には要注意。シャドーのポジションでいえば直近のG大阪戦で復帰を果たした野村のコンディションも両チームのサポーターからすると気になるところ。数多く獲得した攻撃的な新戦力がどのようにフィットするかも気になるところ。

■攻守にメリットがある押し込み

 保持において川崎が狙うべきことは大分にラインの上下動を強いることである。大分のバックラインで出てきてつぶすことや、出ていったDFの分のスペースをスライドしながら埋めることはあまり得意ではない。

    だが、DF-MFラインが空いてしまったときの彼らの解決策は『DFラインが出ていってつぶす』なので、DFラインをおびき出すようにDF-MF間で川崎の選手が受ける機会を増やすのがベストだと思う。

 したがって、中盤をおびき寄せながらDF-MF間を空けることが肝要。最終ラインからボールを運びながら1列目を越えて、相手の2列目が出てきたところで、刺すようなパスを入れるのが望ましい。もしくは、大分のシャドーがやや早めに止めに来る場合はSBを使いながら角度を付けて楔を入れてもいいかもしれない。

画像4

画像5

 なので、MFをおびき寄せてDF-MF間にボールを入れる。相手のDFが出てきたところでバランスを崩している間に加速しながら一気に攻め落とす。これが最適な手段のように思う。

 大分のDFラインが上下動に脆いにも関わらず、中盤で引っ掛けるべくミドルゾーンで色気を見せているのは、カウンターに移行した時の実りが多いから。先ほど紹介した町田や野村のようなスピード豊かなシャドーはもちろん、CFの長沢もポストプレイヤーというよりは抜け出してからのワンタッチでの得点が本来の特性に近いだろう。そういったスピード豊かな攻撃の機会をリスクを引き換えに狙っているということになる。

 したがって、川崎としてはまずは押し込むことは大事。先ほど述べたように、後方から1枚ずつずらして擬似カウンターのようなスムーズなポゼッションが出来る機会は大分は減っている。自陣の深い位置まで押し込むことで長沢やシャドーの選手の得意な形での攻撃へのスムーズな移行をある程度防ぐことが出来る。

 川崎が押し込んだ際の攻撃としてはサイドを崩しつつのクロス対応を強いる形を粘り強く続ければどこかでこじ開けられるかなとは思う。ダミアン1枚ではさすがにわかり切っている感があるかもしれないが、シミッチ、谷口、ジェジエウが揃うセットプレーなら高さの面でも優位なはず。早い段階で相手の守備ブロックをこじ開けて、大分に苦しい展開に持ち込ませないことを狙いたい。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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