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「EURO 2020 チーム別まとめ」~トルコ代表編~

目次

チーム情報

監督:シェノル・ギュネシュ
FIFAランキング:29位
EURO2016⇒GS敗退
W杯2018⇒予選敗退

招集メンバー

GK
1 メルト・ギュノク(イスタンブール・バシャクシェヒル)
23 ウギュルジャン・チャクル(トラブゾンスポル)
12 アルタイ・バユンドゥル(フェネルバフチェ)

DF
18 ルドヴァン・ユルマズ(ベジクタシュ)
13 ウムト・メラシュ(ル・アーヴル)
2 ゼキ・チェリク(リール/フランス)
25 メルト・ミュルドゥル(サッスオーロ/イタリア)
22 カーン・アイハン(サッスオーロ/イタリア)
3 メリフ・デミラル(ユヴェントス/イタリア)
4 チャグラル・ソユンク(レスター・シティ/イングランド)
15 オザン・カバク(リヴァプール/イングランド)

MF
14 タイラン・アンタルヤル(ガラタサライ)
8 ドルカン・トクズ(ベジクタシュ)
21 イルファン・ジャン・カフヴェジ(フェネルバフチェ)
6 オザン・トゥファン(フェネルバフチェ)
11 ユスフ・ヤズジュ(リール/トルコ)
5 オカイ・ヨクシュル(ウェスト・ブロムウィッチ/イングランド)
10 ハカン・チャルハノール(ミラン/イタリア)
19 オルクン・コクチュ(フェイエノールト/オランダ)

FW
17 ブラク・ユルマズ(リール/フランス)
16 エネス・ウナル(ヘタフェ/スペイン)
9 ケナン・カラマン(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)
7 ジェンギズ・ウンデル(レスター・シティ/イングランド)
20 アブデュルカディル・オミュル(トラブゾンスポル)
24 ケレム・アクトゥルコール(ガラタサライ)
26 ハリル・デルヴィショール(ガラタサライ)

各試合振り返り

GS第1節 イタリア戦

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■後半に顕在化した脆さを一網打尽に

 立ち上がりには組み合う様子を見せたトルコ。しかしながら、ミドルゾーンで構えてしまうと最終ラインのコントロールが不安定になってしまうという難点がすぐに露呈。ということで、トルコはひとまず撤退。今大会は保持寄りに傾倒したメンバーで臨んでいるイタリアがトルコを攻略するという構図に落ち着いた。

 中を固めるトルコに対して、イタリアはなかなか解決策を見いだせない。どちらかと言えば兆しがあったのは左サイド。最終ラインの表と裏のそれぞれに顔を出せるインシーニェの存在が大きかった。それに右サイドから斜めに走りこんでくる逆サイドのベラルディのランも効果的だった。

 一方で大外からのクロスの威力は限定的だった。フロレンツィやスピナッツォーラが抉れないでただ上げるだけではニアサイドから跳ね返されるばかりで打開策にはならず。結局はインシーニェに頼む!の様相が強かったイタリアだった。

 イタリアのポゼッションが不完全だったのは即時奪回のフェーズが含まれないからというのもある。加えて、トルコのビルドアップが安定していたからというのも大きい。GKのチャクルを中心にバックラインの精度が高かった。局面の転換を素早く回せずに停滞するイタリア。だが、トルコのカウンターの精度も高くなくゴールに迫ることもできない。

 膠着して迎えた後半、焦れてしまったのかトルコがやや前に出てきたことがイタリアにとって奏功した。前半の立ち上がりと同様、サイドの裏を取り放題になったイタリアがトルコのゴール前に迫る場面が徐々に出てくるように。すると先生は53分。サイドの深い位置までえぐられたトルコはデミラルがクリアしきれずにオウンゴール。続く2点目も同様にサイドを崩してのもの。スピナッツォーラの逆サイドからの走りこみという攻撃的な用兵が効いてインモービレの得点を呼び込んだ場面だった。

 仕上げとしてカウンターからインシーニェが3点目。ここでは前半に強みとなっていたトルコのビルドアップにミスが出てしまった。前に出て不安定になった上、ミスをしたトルコの脆さを一網打尽にしたイタリアが開幕戦を大勝で飾った。

試合結果
トルコ 0-3 イタリア
スタディオ・オリンピコ
【得点者】
ITA:53′ デミラル(OG), 66′ インモービレ, 79′ インシーニェ
主審:ダニー・マッケリー

GS第2節 ウェールズ戦

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■『ぱなし』のツケ

 イタリアに後塵を拝し、まずは2位浮上を狙う両チームの対戦。前節イタリアと対戦したトルコは、イタリアには明け渡していた大外のレーンをこの日は止めにかかる。イタリア戦よりは相手と組み合って渡り合う意識が強く出ているように見えた。

 一方でウェールズはスイス戦と似たアプローチ。同サイドに相手を閉じ込めて食い止めるように試みる。したがって、トルコは大きな展開でウェールズの誘導から脱出を狙う。イタリア相手にはボール保持の時間そのものを作れなかったトルコだが、ウェールズならば保持の時間は作ることができる。左サイドから逆に振る大きな展開で大外のチェリクを使い、ウェールズを左右に揺さぶる。

 しかし、右サイドのチェリクが決定的な動きができないこと、そして中央でのタメができないことからトルコの攻撃は停滞する。どちらかと言えば攻撃に鋭さがあったのは、カウンター主体のウェールズの方。特にベイルとラムジーのコンビは強力。受け手として優秀なラムジーと、タメが作れる上に自らがロングカウンターの旗手となれるベイルの2人がウェールズの核である。

 この日、より効いていたのはラムジー。間受けに裏抜けにトルコのバックラインを翻弄。特に裏に抜ける動きはそのまま決定的なチャンスにつながっている。が、なかなかそのチャンスを決められないじれったい展開に。ようやく手にしたのは42分。3回目くらいの決定機をようやく沈め、ウェールズが前に出る。

 巻き返しに出なくてはいけないトルコ。空中戦では優位に立ってはいるものの、どうしても決め手に欠く状況が続く。停滞した展開になったトルコはユルマズのポストを活用しながら中央に起点を作る方向にシフトチェンジ。ウェールズは時間が経つにつれ、ラムジーの戻りが遅くなってしまっており、中央にスペースはできるように。

 ただ、トルコは攻守にきめ細かさがやや欠けていた。中央でのポストを使うにも動き直しが少なく、連携が完結しない。守備においてもラインの制御や守備のフォローが見られない。ベイルが失敗したPKのシーンも安易な飛びこみが引き金になっている。

 押し込む状況は続くトルコだが、だんだんと攻めっぱなしの状況に。終盤は逆にウェールズのロングカウンターからの決定機が徐々にできてくるように。ラストプレーでロバーツの追加点が生まれたシーンでも、ベイルへのトルコのマークがあまりにも甘すぎる。攻勢に出るも攻守に集中力を欠いたトルコをウェールズが手堅く仕留めた一戦となった。

試合結果
トルコ 0-2 ウェールズ
バクー・オリンピック・スタジアム
【得点者】
WAL:42′ ラムジー, 90+5′ ロバーツ
主審:アルトゥール・ディアス

GS第3節 スイス戦

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■立ち上がりからの殴り合いの代償は・・・

 最終節における両チームの狙いは同じ。なるべく多くの得点を奪って相手に勝つことである。2位通過を狙うスイスはウェールズを得失点差で逆転する必要があるし、3位通過を狙うトルコは勝ち点3での得失点差をなるべくプラスに傾けておきたいという思惑がある。

 したがって、この試合がオープンになることに両チームとも全く抵抗はなかったといっていいだろう。試合が立ち上がって早々に仕掛け合いを見せる。左サイドに人を集め打開を狙うトルコをあざ笑うかのように先制点を決めたのはスイス。この大会はここまで沈黙を続けてきたセフェロヴィッチが豪快なミドルを突きさし、一歩前に出る。

 トルコの攻めは左右対称。左の攻めはCFのユルマズを中心に人を集めるのに対して、逆サイドはウンデルに広いスペース勝負での打開を託す。右サイドに人が集まっても、あまり互いの様子がわからなかった動きをしていたので、このアプローチは正しかったように思う。

 対するスイスも押し上げは左サイドから。今日は3バックの左に入ったリカルド・ロドリゲス。攻撃時にはSB可視、同サイドのツバーの攻撃参加を促す。ツバーはほぼWGとして前線を駆け上がっていた。

 狙いはサイドだけでなく中央も。トルコのアンカー脇に縦パスを刺すのも前進の手段の1つ。今大会、ここまで厳しいマークを受けてきたジャカやフロイラーはやたらオープンになった一戦でようやく機能したというのはなかなか皮肉な感じである。ってことはより堅い展開が予想されるノックアウトラウンドではまた機能しなくなりそうということでもあるので。

 前半のうちに追加点を得て一気にまくしたてるスイス。トルコは後半に1点を返すも、スイスに3点目を決められて試合は終わってしまった感。スイッチを勝手に切るのはトルコの終盤の悪い癖である。攻守に動きなおすことをやめてしまい、サボりまくってしまうモードに突入する。一方のスイスも90分間殴れるガソリンはなし。終盤は偶発的にもたらされた好機にそれぞれが取り組むという最終ラウンドのボクサーのような展開となった。

 終盤はスコアは動かず、勝ったのはスイス。他グループの結果次第での3位通過に望みを託すことに。トルコは3戦全敗での敗退となった。

試合結果
スイス 3-1 トルコ
バクー・オリンピック・スタジアム
【得点者】
SWI:6′ セフェロヴィッチ, 26′ 68′ シャキリ
TUR:62′ カフヴェジ
主審:スラブコ・ビンチッチ

大会総括

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■見せられなかったアンダードックの意地

 下馬評通り、イタリアの2番手を争う形になったグループA。FIFAランク的に言えば最もアウトサイダーなのはトルコだった。そして、FIFAランク通り、トルコにとってはもがき苦しみ続けたEUROとなってしまった。

 初戦のイタリア戦は組み合うもすぐにこれでは破られると判断したのか撤退。大外を開けて中を固めるやり方にシフトする。しかし、これはイタリアの進撃を遅らせる以上の効果は見込めず結局3失点の大敗。続くウェールズ戦ではより組み合うスタンスで立ち向かうがカウンターからラムジーに決定機を誘発し続け連敗。最終戦となったスイス戦では撃ち合いに出るもの、先手を取られていいところがないまま3連敗で敗退が決定した。

 3試合、いずれも異なる戦い方で挑んだのだが、正直これといってハマる戦い方が見つからなかった。撤退守備にもそこまでの堅さはないし、組み合えば裏を取られた時の脆さで後手を踏んでしまう。

 攻撃パターンもハマらず。ウェールズ戦では同サイド圧縮を試みる相手に対して、逆サイドに大きく振るやり方を試してはいた。だが、逆サイドを担当したチェリクは単体で攻撃を完結させるほどの威力はない。カウンターの際に先頭に立つユルマズにも同じことは言える。

問題は彼らのサポートとなるべき周りのキャストの不振だ。ウンデルはクラブと変わらず周りとかみ合わない状況が続いているし、チャルハノールはミラン→インテルの移籍にまつわるピッチ外のゴタゴタの方がピッチ内よりも存在感があるというありさまだった。

 加えて、致命的だったのは試合終盤の集中力の欠如。ウェールズ戦の2失点目に代表されるように、「あぁ、あきらめたんだな」と傍目からわかってしまうプレーが非常に多い。ソユンクがラインをコントロールしようとあれこれ試行錯誤しても、他のDFラインがガン無視というのはなかなかに辛い。一度先行されたらアンダードックの意地すら見せることはままならず、グループAの草刈り場になってしまった。

頑張ってた人→ウールジャン・チャクル
 トラブゾンスポル所属のGK。すぐに集中を切らす守備陣を前にして気苦労は絶えなかっただろうが、好セーブで相手チームの最後の砦として立ちはだかった。キックの質も高く、プレミア方面から引きがあるという噂もちらほら。

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