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「推進力を味方にできるか」~2021.3.21 プレミアリーグ 第29節 ウェストハム×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第29節
2021.3.21
ウェストハム(5位/14勝6分8敗/勝ち点48/得点42 失点32)
×
アーセナル(10位/12勝5分11敗/勝ち点41/得点37 失点29)
@ロンドン・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

 2016年以降の対戦でウェストハムの1勝、アーセナルの8勝、引き分けが2つ。

ウェストハムホームでの対戦成績

図2

 直近10戦でウェストハムの1勝、アーセナルの7勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

・ウェストハムは49試合のプレミアでのアーセナル戦で8勝9分32敗。
・ウェストハムはホームでのリーグのアーセナル戦で24戦3勝。
・アーセナルが勝てばプレミアにおいて12回目のダブル。プレミアでもっともダブルを決めている相手。

スカッド情報

【Westham】

・マンチェスター・ユナイテッド戦は規約上の理由で出場不可だったジェシー・リンガードは起用可能。
・パブロ・フォルナルス、アンジェロ・オグボンナ、アルトゥール・マスアク、アンドリー・ヤルモレンコは負傷欠場。

【Arsenal

・ハムストリングを負傷したブカヨ・サカは当日判断。
・ノースロンドンダービーを規律上の理由で欠場したピエール=エメリク・オーバメヤンは先発の見込み。

Match facts from BBC sport

【Westham】

・開幕戦以来の連敗の可能性。その時の2敗目の相手はアーセナルだった。
・2021年のプレミアで8勝。マンチェスター・シティを除けば最も多い。
・直近6試合のホームでのプレミアで5勝、現在は3連勝中。
・ホームでの4連勝を記録すれば2002年5月以来。
・アーセナルより上の順位で直接対決を迎えるのはこれで4回目。過去3回はいずれも勝てていない。
・デビッド・モイーズはアーセナルとのリーグ戦31試合で4勝のみ(D8,L19)

【Arsenal】

・アウェイでの20ポイントは昨季トータルと同じ。
・10位で迎えたマッチウィークは14戦で8敗(W5,D1)
・直近7試合のリーグ戦はいずれも失点を喫している。
・12月以降、直近5試合のリーグ戦の負けはいずれも1点差。
・ロンドンダービーで13ポイント、リーグ最多。
・アレクサンドル・ラカゼットは直近5試合のウェストハム戦で4得点。直近2試合はいずれも得点。

予想スタメン

画像3

展望

■後ろに重い陣形が成り立つ理由

 ウェストハムはどういうチームかを一言で説明しろ!といわれた『重心の低い守備とカウンターの破壊力の両輪を持っているチーム』と答えるだろうか。

 重心が低くなりすぎているだけのチームはよく見かける。だが、スペースを埋めているだけで、人数の多さを守備の堅さに昇華できているとはいいがたいパターンが多い。ひどいチームの場合は人数がいることで気が緩んでいるのか、マークが甘くなることも多い。人数が多いことで無責任になるチームが一番状態がしんどいなと思う。

 そんな中でウェストハムは人数の多さを守備の堅さに昇華できているチームとは言えそうである。エリア内には高さがあり、単純なクロスは無効化できる。5バックの強度だけでなく、献身的な2列目のプレスバックにより同サイドのスペースを埋める。相手としてはカットインする間もない印象を受ける。中盤中央のライスとソーチェクのコンビも攻守にすっかりおなじみだ。

 前節のマンチェスター・ユナイテッド戦などややセットプレーでの脆さを見せることは気になるが、それを除けばプレミアにおいての撤退守備の信頼度はトップクラスのチームである。

 後ろに守備を重くするチームの一般的な問題点として、重心が低くなりすぎて攻撃に打って出れないということがある。その点を担保しているのが1トップのアントニオ。強靭な体幹の強さを活かしてキープ力とスピードで、圧倒的な陣地回復力を見せている。

 アントニオの負傷離脱中はアレ(現アヤックス)が1トップを務めていたが、サポート役にトップ下を置いて2列目を増員するなどの工夫をしなければいけなかった。フォルナルス、ボーウェン、ランシーニ、ヤルモレンコ、ベンラーマ、そしてリンガードなど優秀な2列目をそろえていることは明らかだが、5バックに戻してもなおアタッカー陣が機能するのはアントニオの存在があってこそだろう。

 2列目のキャラクターの中で異彩を放っているのがリンガード。撤退守備のことに就いたばかり話してきたが、決してウェストハムは撤退守備だけのチームではない。特に高い位置からのプレッシングはリンガードが入ってから幅が出てきた印象で、前線の3枚を1トップ+2シャドーや2トップ+トップ下など柔軟に変更しながら、相手の可変ビルドアップに対抗する。内に絞るSBの代名詞であるシティ相手にも運動量と柔軟性を活かしたプレスで一番進めたくないルートからは進撃を許さなかった。

 遅攻の中ではクレスウェルのクロスが大きな武器。甘くなりがちなファーへのクロスに対抗しながら自陣を固める必要がある。

■高い位置で止める+そのあとの手順

 相性的にはウェストハムはお得意様ではあるものの、やはり今の彼らはアーセナルにとって非常に手ごわい相手といえるだろう。守備の部分で言うと、クロス爆撃に耐える系はどちらかと言えば得意分野。今のアーセナルならばここから崩されたくはない。アントニオに注意して、中盤からスルスル上がってくるソーチェクに抜け出されるパターンも共に警戒しなくてはならない。

 懸念となるのはロングカウンターだろう。ここの頻度が上がってくると厳しい。ルイスとガブリエウのコンビは対人には非常に優れているが、アントニオ相手だとどこまでやれるかどうか。どちらかと言えば左に流れる機会が多いので、マッチアップするのはルイス。どの選手がスタメンで出てきても右のCBはスピードの部分で言うと多分後手を踏むので、なるべく前を向く前に止めたい。そして競り合いでは負けたくないところ。

 ウェストハムがロングカウンターが武器だったとしても、今のショートカウンターがレパートリーにあるウェストハム相手にはゆったりとした保持から押し込む姿勢は見せたいところである。得意でも自陣深い位置からの方がロングカウンターはエネルギーを使うのも事実なので。

 攻撃においてはウェストハムの撤退守備が整うまでの間を利用したい。撤退守備はお手の物だが、撤退守備が整う前に守備対応の局面が訪れると、枚数が多いこともありラインが乱れやすいのが、彼らの守備の難点である。

 したがって、ELで見せた前線のサイドへの誘導からのショートカウンターを狙うのはアリだろう。ビルドアップで多彩なバリエーションを見せるタイプではないので、中盤より前でひっかけて手早く終わらせる形を意識したいところ。

 ELのオリンピアコス戦で課題となったのはスピードアップした際の仕上げのクオリティ。オーバメヤンのフィニッシュもそうだが、それ以前のシュート局面を迎えるまでに無駄にガチャついてしまったり、時間がかかってフィニッシュまで行けないシーンが散見されるのは気になった。

 現状のアーセナルにおいてはこの最後の局面でのスピードアップした際のクオリティが課題になる。遅攻においても、トーマスからの縦へのキーパスを通した次の一手以降のスピードが重要。ここまで課題となっている縦パスより先の手順の推進力を意識して、難敵ウェストハムの撃破を狙いたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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