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「等々力に虹はかかるか?」~2021.3.13 J1 第4節 川崎フロンターレ×柏レイソル BBC風オカルトプレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第4節
2021.3.13
川崎フロンターレ(1位/4勝0分0敗/勝ち点12/得点12 失点3)
×
柏レイソル(14位/1勝0分2敗/勝ち点3/得点2 失点4)
@等々力陸上競技場

戦績

直近の対戦成績

図1

直近10回の対戦で川崎の6勝、柏の3勝、引き分けが1つ。

川崎ホームの対戦成績

図2

直近10試合で川崎の5勝、柏の4勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近6試合のリーグ戦の対戦において川崎は無敗(W5,D1)
・直近7試合のリーグ戦でいずれも川崎は複数得点を挙げている。
・直近の公式戦での対戦で柏が勝利した2回はいずれも等々力で行われた試合。
・川崎にとって柏は通算成績の得失点差のマイナスが最も多い相手(-10)

 一番下のデータが表すように柏は川崎にとって天敵。だが、直近の成績を見ればむしろ柏戦の戦績は好調な部類に入る。川崎はオルンガに全勝したクラブだ!

 直近7試合はいずれも川崎は柏相手に複数得点中。直近3試合に限ればいずれも3得点を挙げており、得点力で差をつけている印象だ。

 ただし、直近の柏の勝利はここ2試合とも等々力で挙げたもの。近年では日立台より成績良好な敵地で勝ち点奪取を狙う。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・大島僚太はふくらはぎの負傷で離脱中。

【柏レイソル】

・高橋祐治、戸嶋祥郎は長期離脱中。

予想スタメン

画像3

Match facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・開幕5連勝のクラブ記録更新を狙う。
・直近7試合のホームでの公式戦で全勝。
・今季の公式戦の15得点のうち11得点は前半にとったもの。
・リーグ戦では5試合連続で複数得点者が出ている。
・今季ここまで交代選手の得点がない。
・チョン・ソンリョンが公式戦で連続でクリーンシートを達成すれば昨年10月以来。

 直近の徳島戦ではやや疲れが見えたものの、終盤まで試合をコントロールし連勝を4に伸ばした。ホームに限れば戦績は昨季から好調で、直近7試合は全勝でこの間20得点、4失点を記録している。

 今季は前半戦にある程度大勢を決めている試合が多く、後半の得点は4。家長、小林、ダミアンなど固め取りでスターターが結果を出している一方で、途中交代で出てきた選手は今季ここまでリーグ戦で得点を挙げていない。

 実は直近ではクリーンシートも少ない川崎。クリーンシートを連続で達成すれば仙台、広島、名古屋に3試合連続無失点を達成した2020年10月以来となる。

【柏レイソル】

<柏のMatch facts>
・今季の公式戦での敗戦はすべて無得点。
・リーグ戦2試合連続無得点になれば2019年4月のJ2時代以来
・昨季の公式戦の失点のうち82%は後半に喫したもの。
・直近6試合のアウェイでのリーグ戦で4勝。
・呉屋大翔は今季のチーム内唯一のスコアラー。
・ネルシーニョは直近6試合の等々力遠征で未勝利(D1,L5)

 今季の公式戦での3敗はすべて無得点。仮に2試合連続無得点になればJ2時代に記録した2019年以来2年ぶりの不名誉な記録になる。

 昨季の傾向を見ると後半の失点が多く、全体の80%超。うち最後の15分に39%が集中している。ただ、逆転負けばかりだったわけではなく、2019年以降で2点差リードで勝てなかったのは昨年最終節の日立台の川崎戦だけだ。

 もう1つ昨年の成績を見ると得意なのはアウェイゲーム。ここまでチーム唯一のスコアラーである呉屋が昨季川崎相手に点を決めたのもこの等々力である。ジンクス的には等々力の方がむしろ分があるデータが多い一方で例外なのは監督のネルシーニョ。等々力での直近6試合で5敗しており、この間17失点と大量失点を喫しての敗戦が多い。

展望

■解決策が新しい足かせに

 開幕から3試合を経過したが、柏のフォーメーションはここまではバラバラ。5-2-3もあれば、4-3-3もあり、4-2-3-1もやった。だが、いずれのフォーメーションにおいてもやりたいコンセプトは近しいもののように思う。なるべく高い位置から相手を嵌めてボール奪取する。前線から厳しくチェックし、ショートカウンターに打って出る。それが柏の目的になる。

 フォーメーションが異なるのは、相手によってコンセプトを実現するための手段を使い分けていると考えるのが自然だ。C大阪戦では退場者が出るまでの間は相手のビルドアップを破壊し、一方的に押し込む展開だった。ネルシーニョが体現したいのはあの時間帯に起こっていた流れだ。

 フォーメーションは罠で相手を誘導するというよりはフィジカルゴリゴリのプレスというイメージ。一方で前線からのチェイシングを交わされてしまうと守備の陣形は一気に間延びしてしまうという問題点がある。

 撤退時の守備においてはニアの封鎖が苦手分野。昨年の日立台の川崎戦の記憶が新しいと思うが、三笘-登里の斜め方向をできる縦関係には手を焼いた。その大まかな傾向は今季も変わっていない。だが直近の名古屋戦においては、相手のサイドアタッカーの力を考えると今季のどの試合よりもサイド攻撃の封鎖は健闘をしていた。これはSHに非常にハードな自陣までのプレスバックを要求していたからこそである。

 このやり方は一定の効果があった一方で不安要素もある。1つは体力面。SHが低い位置まで走ることを90分続けたうえで攻撃に出ていく体力を温存するのは難しい。もっとも、これは交代枠が5枠ある分、大きな問題にはならない可能性もある。

 より気になるのはもう1つの陣地回復の手段に乏しくなってしまう方である。柏の攻撃は江坂やクリスティアーノになるべく早く当てて、大きくワイドに揺さぶりクロスを主体としたフィニッシュまで持って行くパターンが多い。ある程度全体の重心を上げる時間を稼ぐ必要がある方法である。昨年はオルンガがより直線的にゴールを陥れたので、後ろの選手の上がりを待つ方法をとる必要がなかった。

 したがって、現状のスカッドでいうと大きく重心を下げてしまう名古屋戦の両SHが大きく下がりながら対応する形はありがたくはない。高い位置からのプレッシングが軸となっているのはこういった問題を覆い隠せるからだろう。

 ビルドアップも最終ラインから着実につなぐような形や個人の救世主も不在であり、昨シーズンからの自陣からのつなぎは大きな課題として残っている。フリーマンと化する江坂のタメを使った攻撃は攻め上がりが得意なWBやCHが多い柏にとっては大きな武器。だが、その武器のスイッチを押すまでに相手に阻まれてしまうことが多いというのが現状の柏の課題のように思う。

   柏目線でコンセプトと苦手分野を踏まえるとオールコートでのマンツーを主体としたやり方が理想のようにも思えるが、強度が十分ではない最終ラインが三笘やダミアン 、家長らとの同数に耐えられるかどうか?という懸念もある。

■柏キラーの系譜は継がれるか

 では川崎はどのように戦うべきか。理想でいうとこれまでと同じく前半逃げ切りが望ましい。高い位置からのプレスで柏のビルドアップを破壊し、ショートカウンターから得点につなげるスタイル。柏の現状のビルドアップの完成度であれば、ここは間違いなくネックになるはず。これまでのようにプレスを基軸として前半のうちにリードを取る形を狙いたいところ。

 しかし、気になる点もある。1つは体力。徳島戦でもプレッシングから得点をとってはいるが、プレスの圧力という意味ではここまでの3試合よりも劣っていた。単に徳島がビルドアップのうまい相手ということを考慮し、これまでよりも控えるやり方だったかもしれないが、昨シーズンよりもプレータイムは特定の選手に偏りがある印象。連戦が続く中でコンディションを落としていても不思議ではない。

 もう1つはピッチの状態だ。当日は試合の直前までは大雨の予報である。球足が遅くなったりなどのイレギュラー要素は川崎にとってはありがたくない。柏という馬力がある相手との対戦を踏まえてもコンタクトが増えそうな展開は避けていきたいところである。

 思えば、中盤を飛ばす頻度が増えた今季の形のプロトタイプを初めてお目見えしたのは昨季最終節の柏戦だった。コンタクトの強さは警戒していると考えるべきだろう。最も気をつけたいのはボールを奪った直後の一本目のパス。このパスを今季は縦に進めることが多い川崎。これを引っ掛けてしまうと柏が望んだカウンターの状況が整ってしまうことになる。

 だとしたら長いボールを駆使したい。しかし、雨の影響でスペースへのボールは足は長くなり通りにくくなると推測される。だとしたら足元にふわりと届けるようなパスが求められることになる。その部分で期待したいのはジョアン・シミッチ。受け手のどこでコントロールをしてもらうかまで計算されたかのようなパスを活用し、局面を一気に進める展開を彼に託す作戦には一考の価値がありそうだ。外国籍レフティーといえば川崎にとっては直近はネット。彼も柏戦は得意で多くのミドルシュートやサイドチェンジで柏を揺さぶることが出来ていた。

 予報ではキックオフ前に雨はぎりぎりやみそうである。前任者の系譜をついでシミッチが雨上がりのピッチに虹をかけることが出来れば、川崎は大きく得点と勝利に近づくことになる。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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