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「対応力を測る腕試し」~2021.2.28 プレミアリーグ 第26節 レスター×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第26節
2021.2.28
レスター(3位/15勝4分6敗/勝ち点49/得点44 失点27)
×
アーセナル(11位/10勝4分11敗/勝ち点34/得点31 失点26)
@キング・パワー・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10戦でレスターの3勝、アーセナルの4勝、引き分けが3つ。

レスターホームでの対戦成績

図2

直近10試合でレスターの3勝、アーセナルの3勝、引き分けが4つ。

Head-to-head from BBC sport

・レスターは直近4試合のリーグでのアーセナル戦で3勝。直近の対戦でも1-0でアーセナルに勝利している。
・レスターは勝てば73-74以来のアーセナル戦ダブル。
・アーセナルは直近3試合のレスターとのアウェイゲームで敗北。得点数(1)よりも退場者(2)の方が多い。

スカッド情報

【Leicester】

・ジェームズ・マディソンは臀部の負傷で欠場の見込み。
・ELで出場停止だったケレチ・イヘアナチョは復帰。しかし、アジョゼ・ペレス、ウェズレイ・フォファナ、ウェズ・モーガン、ジェームズ・ジャスティン、デニス・プラートは欠場予定。

Arsenal

・ELベンフィカ戦を欠場したロブ・ホールディングは当日判断。
・トーマス・パーティには先発復帰の可能性。

Match facts from BBC sport

Leicester

・直近のリーグ戦4試合で3勝、12試合で負けは1つのみ。
・15勝4分6敗は昨季同時期と全く同じ。
・リーグでの6敗のうち、5敗はホームゲームでのもの。
・EL直後のリーグ戦は7試合のうち6勝。
・リーグ戦で先制点を取った13試合のうち12勝。
・PK10個奪取は他チームより2つ以上多くリーグトップ。うち8得点。与えたPKは1個でリーグ最少。
・ジェレミー・ヴァーディは過去12試合のアーセナル戦で11得点。

Arsenal

・直近4試合のプレミアで3敗。
・リーグ戦10試合で無得点。05-06を除いて最も多い。
・PKを含めてセットプレーからは5失点のみ。
・ピエール=エメリク・オーバメヤンは日曜のプレミア50試合で38得点。他の曜日のすべてを合わせた得点数(56試合で24得点)より14多い。
・オーバメヤンは直近18のプレミアでの得点のうち、ロンドン以外の場所で獲ったものは1つだけ。11月のオールド・トラフォードでのPK。
・ブカヨ・サカは出場すればプレミア50試合達成。アーセナルではセスク・ファブレガスに次いで2番目の若さ。

予想スタメン

画像3

展望

■プロセス不問、仕上げはヴァーディ

 ダントツで抜け出したマンチェスター・シティの後方につけている第2集団の一角を形成するレスター。CLの舞台に返り咲くために安定感のある戦いを続けている。リーグ戦は3試合連続で勝ちを逃したことはなく、単発でチョンボをやらかしてもすぐに修正できるため、リーグ戦では高次元な戦いを続けている。ELこそ敗退してしまったが、むしろこれはリソースをリーグ戦に集中投下できるというポジティブな見方もできる。フォファナ、ジャスティン、マディソンと主力級に負傷離脱が続いている現状を考えても、リーグ戦で上位を維持する方が優先と見るべきだ。

 長期的には安定感が武器だとしたら、1試合単位で見れば万能性がレスターの武器で。ブロック守備もハイプレスも保持もカウンターも高水準でこなし、あまり苦手な展開は多くはない。誰が移籍しても、誰が離脱しても、代わりに入った誰かがその穴を埋めてチームの完成度は維持される。ロジャーズの哲学が浸透している証拠だろう。

 選手側の対応力も光る。リバプール戦のリカルド・ペレイラはジャスティンの負傷に伴って、不慣れな左サイドバックに起用された。サラーとのマッチアップは序盤は後手を踏んだものの徐々に適応。さらには攻撃の起点として、サラーの裏で受けることでむしろ攻撃の活性化をしていた。

 機能性が大きく落ちるのは唯一エースであるヴァーディがいなくなること。相手のブロック守備攻略にせよ、カウンターにせよ土台の上に乗る仕上げの部分はヴァーディの抜け出しによるもの。プロセスは問わず、レスターの攻撃の出口はヴァーディなのだ。事実、前半戦のアーセナル戦では30分の出場で見事チームを勝利に導いて見せた。直近のリバプール戦での勝利も、彼のゴールがキッカケ。リバプールをCL争いに突き落とした張本人といってもいいだろう。

 ヴァーディ不在の時期はハイプレスで精度不足をごまかそうとした結果、早いテンポが得意なリーズに返り討ちにあうなど万能性よりも自分たちのできることにシフトしたように見える。スタメン復帰したリバプール戦での我慢が効いたブロック守備を見ると、ヴァーディという存在が重石になり、地に足がついた感じがチームに戻ってくる。そんな感じの印象を受けた。

■一点突破ではなく・・・

 というわけでアーセナル戦でもある程度ボールを持たせながら序盤はブロック守備を敷いてくると予想する。これは前半戦の対戦と同じ流れである。あの試合ではレスターは5-4-1だったが、バックラインに負傷者が多い現状を踏まえれば4-5-1もしくは4-4-2のようなプレッシングで来るのではないだろうか。

 アーセナルとしては後方からズレを作りたいところ。CB+ジャカの3枚で相手のプレスの枚数に合わせて数的優位を取るのがまず一歩。2枚でプレスに来るなら3枚する。1枚でコースを切ってくるならジャカは下がる必要はない。レスターの中盤と後方は内側を締めて迎え撃つはずなので、まずはCBの振舞いは重要。スピードに難はあるが、マリとルイスで配球面に全振りするというのも一つの手だとは思う。対角、大外にあらゆる球質を蹴れるジャカ、マリ、ルイスのセットが保持に関しては最強ではあるが、他のコンビだとしてもまずはCBからレスターのブロックに対して広げる動きを見せたい。

画像4

 狙い目になりそうなのはSBの裏。負傷者の影響もあり、このポジションは選手が固定できずに流動的。ただ、アマーティを除けば、いずれの選手も攻め上がりの意識は強い。まずはここの裏から攻め込み中央のCBをつり出したい。アストンビラがレスター相手に前節取った1点は参考になりそう。タメが効くタイプというよりは軽さが身の上のタイプが多いアーセナルにとっては、少ないタッチから引き出した守備ブロックを素早く攻略してエリア内でシュートに持ち込むのが理想的である。

画像5

 外に意識がいくようになったら今度は中盤のトーマスが中に切り込むチャンスを得ることができる。大外だけでなく、ブロックに対して中に切り込む手段を持ちながら攻略するのがベター。したがって、CFにはラカゼットの起用を予想しておく。レスターのような総合力の高い相手には一点突破は難しい。

■腕試しをしてほしい

 ヴァーディ以外にレスターで気を付けたいのはバーンズ。今はドリブルが絶好調。アーセナルとしては右サイドのマッチアップからずるずる下がるような展開だけは避けたいところ。バーンズのインサイドのカットインに当たる部分のカバーは、シティ戦ではジャカやエルネニーがうまくやっていたが、ベンフィカ戦ではセバージョスがカバーできなかったところでもある。そうした形でバイタルエリアで後手を踏む形だけは避けたいところ。

 アーセナル目線での課題で言えばシティ戦のレビューで書いた部分だろう。いいプレーを3つ、4つ続ける状況に追い込まれないことがまず1つ。バーンズのドリブルやヴァーディの裏抜けなどでずるずるとラインを下げないことがまず1つ。なるべく高いラインを保ち、ミドルゾーンで構えることが求められる。

 ドリブルや裏抜けで押し下げられる場面もあるだろう。だが、そこからは押し返してラインを回復して相手を押し込む形は見たい。対応力、万能力に優れるレスターだが、負傷者が徐々に戻ってきたアーセナルのスカッドもそろそろ展開に対して手を打てるチームになりたいところ。上位に君臨するレスター相手にシティ戦で見られなかった腕試しをする試合にしてほしい。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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