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「どこまでが思い通り?」~2018.9.15 プレミアリーグ 第5節 ニューカッスル×アーセナル レビュー

スタメンはこちら。

画像1

目次

【前半】
アーセナルファンにはおなじみの展開

 シティ戦やチェルシー戦では5バックだったが、この試合ではニューカッスルは4バックでスタート。ロングボールの的になるロンドンがいないので自陣ベタ引きを避けたかったのか、それとも「アーセナルならいける!」なのか。試合を見る限り、縦横問わずロングボールはしっかり使っていたので、おそらく後者なのだろう。

 4-4-2でプレスをかけてきたニューカッスル。非保持ではホセルとペレスは2トップの横並び。プレスのスイッチはニューカッスルのCHがアーセナルのCHを捕まえたタイミングで入ることが多かった。
ボールを取り返してからは、サイドの裏を狙うロングボールが主体。特にマーフィーを使って、ベジェリンの裏をつくパターンが多かった。

 一方のアーセナルはビルトアップの局面では、ゲンドゥージが最終ラインに落ちて後ろで3枚、その前の中央にジャカが構えるという3-1の形。もはやおなじみの形と言っていい。狙いとしてはボランチのどちらかが、数的有利を生かして2トップの脇から侵入していく形。そこからSB+もう1人とのコンビでサイドを攻略といったところか。ゲンドゥージもジャカも最終ラインに落ちるときは、CB間よりもCBの片側サイドに位置することが多かったのはそのためかもしれない。

 しかし、実際はその形で前進できたのはごくまれ。特に20分まではビルドアップで詰まった結果、ラカゼットかオーバメヤンにロングボールを蹴らされるという地獄のような形が多かった。オーバメヤンにロングボールせらせるとか。。
エジルが降りてくる場合は中央からの前進も狙えるが、ラカゼットにはボールが入る前にかなり厳しめにチェックすることで、チャンスの芽を摘んでいた。

 というわけで、前半にボールを前に進める手段がうまくいっていたのはニューカッスル。ただ、そこからの攻撃がうまくいっていたかは微妙。クロスの質がイマイチで、CKを量産するまでにとどまっている。ここが改善されればアーセナルの守備陣を脅かす場面はもっと増えただろう。CKにおいては、マイナス方向のパス→裏抜けの選手にクロスの作戦で、ラインを上げ遅れるアーセナルを慌てさせた。

 ただ、ニューカッスルにとって試合が狙い通り進んでいたかは怪しいところ。内容的には問題ないかもしれないが、放ったシュートは1つで、枠内シュートはなし。脅かす場面も多少はあったが、CK由来のシーンが多く、流れの中からの最後の崩しを見いだせなかった部分もあった。

 アーセナルの選手で前半のパフォーマンスが最もよかったのはソクラティスだろう。ニューカッスルのカウンターを体を張って止めていたのは彼がメイン。前半のニューカッスルの枠内シュートが0に終わったのは、彼による貢献が大きい。

【後半】
変わったのはアーセナル?ニューカッスル?

 うまくいかないビルドアップが前半のアーセナルのおなじみの光景ならば、後半のアーセナルのおなじみの光景は早い時間のトレイラの投入だろう。この試合ではハーフタイムにゲンドゥージに代わっての交代。ニューカッスルは同じくハーフタイムにDFの要であるラッセルズが負傷により交代してしまった。

 というわけでビルドアップは改善される。
押し込む時間が増えていくアーセナル。今季のアーセナルは押し込めると強い。思いつく理由は2つ。
・オーバメヤンのプレーエリアが内側になり、適正ポジションに近づく。
・ペナ角からのサイド攻略は仕込まれている。

 ジャカのFK、得意のサイド攻略からのエジルの2ゴールで一気呵成を強めるアーセナル。ニューカッスルはHT以降は陣形が大きく下がってしまい、前進するのに苦労していた。陣地回復したくとも、人数はPA内に割かれているし、頼みの前線も最前線のホセルには単騎でのキープを望むのは難しい。

 それでも決死の覚悟で攻めあがった終了間際にヘディングで1点を返す。アーセナルの今季初のクリーンシート達成を邪魔するという形で、意地は見せた。

わかってきたアーセナルのポゼッションメカニズム

 ここまで5試合の相手は全て4-4-2(チェルシーもシティも非保持は4-4-2)だったので、あくまで4-4-2の相手にはという注釈付きではあるものの、徐々にではあるがアーセナルのビルドアップのパターンは見えてきた。

サイド起点のビルドアップ
STEP1

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まずは基本3枚の最終ラインの1枚が、2トップの脇から侵入。

STEP2(ダメなパターン)

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ベジェリンが捕まえられてしまいエジル、ラムジー、ジャカには出せない。

STEP3(ダメなパターン)

画像4

やり直しさせられました。

じゃあうまくいくパターンはどうなるか。

STEP2(良いパターン)

画像5

 端的に言えば、ベジェリンに複数選択肢がある形がよい形。図ではトレイラに預けるという比較的セーフティな選択肢を残しながら、エジルとラムジーへの局面が進むパスを狙える状況。

 アーセナルとしては、ベジェリン(逆サイドの場合はモンレアル)に後方で1つ(ムスタフィ)、横に1つ(トレイラ)、前に2~3個(ラムジー、エジル、ラカゼットetc)のようにパスコースを選べる形でボールが渡るのが理想。アーセナルがスムーズにビルドアップできているときは、ベジェリンが少ないタッチで前方に有効なパスを送れているときが多い。

 というわけでアーセナルのボールの前進がうまくいくためには、高い位置のSBにいい形でボールを配給できているかがキー。ベジェリンやモンレアルが大外ハーフウェイラインで、少ないタッチで前に運べている場面が増えてくると、アーセナルのビルドアップはうまくいっているといっていいだろう。

  すなわちこの試合でアーセナルのビルドアップがうまくいった直接原因はニューカッスルのSBがアーセナルへのSBのチェックが時間がたつとともに遅れてきたからだといえる。

 ちなみにトレイラはジャカやゲンドゥージと比べて、SBのサポートとして受けるポジションをとるのがうまい。ビルドアップの入り口はもちろんだが、前進の際の預けどころとして機能している印象だ。

 つまり
ニューカッスルのチェックが遅れる→アーセナルのSBが複数の選択肢を持てる。
トレイラの投入→前進過程のサポートの質が向上
という2本立てでアーセナルのビルドアップは後半改善したとみる。

 エジルが下りてきての中央攻略も1試合で何回かは見られるが、頻度でいえばサイドからのビルドアップを狙う形が多い。あくまでメインはこちらということだろう。

まとめ

 ロンドンが欠場、シェルビーが故障明けのニューカッスルは自陣に押し込まれた後の前進の手段をあまり持っていないのが痛かった。守備の要のラッセルズの欠場も追い打ちになった。パット見て内容的にうまくいったように見えた前半だったが、先制点がない前半はベニテスにとって満足だったか怪しいところだ。

 アーセナルはおなじみとなる、ダメな前半を後半に改善するパターンで再び勝ち点3を獲得した。ビルドアップがうまくいっているパターン、ダメなパターンは見えてきたものの、前半は明らかにうまくいってなかった。エメリはどこまでが狙いなのだろうか。また、ELのように人が入れ替わってもシステムが機能するのだろうか。リバプールとの大一番までの残りのリーグ戦5試合で、どこまで形が作れるか。引き続き注視していきたい。

2018/9/15
プレミアリーグ 第5節
ニューカッスル1-2アーセナル
セント・ジェームズ・パーク
得点者 NEW:91′ クラーク
ARS:49′ ジャカ,58′ エジル
主審:リー・プロバート

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