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「理屈の証明」~2020.11.21 J1 第28節 大分トリニータ×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第28節
2020.11.21
大分トリニータ(12位/9勝6分11敗/勝ち点33/得点29 失点37)
×
川崎フロンターレ(1位/23勝3分2敗/勝ち点72/得点74 失点24)
@昭和電工ドーム大分

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年間の対戦で大分の1勝、川崎の7勝、引き分けが2つ。

大分ホームでの成績

図2

直近10試合で大分の5勝、川崎の3勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

<Head-to-head①>
・直近4試合の川崎戦で大分は全敗。
・直近12試合の公式戦における大分戦で川崎は1敗のみ。

 通算でみれば大分の11勝、川崎の14勝とほぼトントンだが直近の対戦成績は川崎が優位。直近4試合の川崎戦で大分は全敗。しかもこの間大分は僅か1得点。唯一の得点は2019年の等々力におけるオナイウ阿道のものだ。

 川崎にとって大分戦は直近12試合でわずか1敗のみ。それでも古参サポにとってその傷がぬぐえないのは2009年に喫したその1敗が大きいからだ。フェルナンジーニョの決勝点で降格が決まっていた大分に敗れて初優勝を逃したことは当時のサポーターにとっては忘れられない傷。俺はそのころを知らないファンなのだけども。ちなみにその当時は大分に家長昭博が在籍していた。

<Head-to-head②>
・大分ホームでの試合において、直近2試合は川崎の連勝中。
・2007年を除けば大分ホームでのリーグ戦で勝敗がついた試合はすべて1点差。

 大分のホームにおいても直近の試合は川崎が連勝中。近年はこの地でも結果を残している川崎だが、それ以前のリーグ戦8試合においては川崎は未勝利(D2,L6)。かつては鬼門としている地であった。

 スコアを見ると互いにぼろ負けという結果はあまりないカード。特に大分ホームにおいてはより接戦になる傾向が強い。

<Head-to-head③>
・J1での大分ホームの川崎戦において、両チームの合計スコアが3点以上だった試合はまだない。
・J1において川崎とのホームゲームにおいて、日本人選手の得点がまだない。

 接戦なだけでなくロースコアに決着するのがこのカードの特徴。わずかな得点を奪い逃げ切る結末になることが多い。

 特に大分はまだJ1のホーム川崎戦で日本人選手が得点を決めていない。2002年のJ2時代に高松が決めて以降、川崎相手にホームで得点を決めた選手は18年間出てきていない。

スカッド情報

【大分トリニータ】

・香川勇気は右ひざ半月板損傷で欠場。
・小林成豪は中足骨骨折で欠場。
・右足関節捻挫の前田凌佑は欠場が続いている。
・知念慶は契約条項の関係で出場不可。

【川崎フロンターレ】

・山村和也は鹿島戦で負傷の情報アリ。
・ジェジエウは累積警告による出場停止。

予想スタメン

画像3

Match facts

【大分トリニータ】

<大分のMatch facts①>
・勝てば今季四度目の連勝。
・今季の11敗のうち、10敗が現トップハーフ相手に喫したもの。

 少し間は空いてしまったが勝てば前節の横浜FC戦に続く連勝となる。ちなみに勝利した次の試合で勝利がなかったのは今季一度だけ。波に乗りやすいチームである。

 一方で今季は対戦相手の順位で勝敗がくっきり分かれている。トップハーフ相手にはほぼ敗戦を喫しているが、ボトムハーフ相手にはホームで無敗という成績を残している。

<大分のMatch facts②>
・ホームゲームは直近2試合無得点
・片野坂監督は就任以降の川崎戦で3戦全敗

 ホームゲームでは直近2試合無得点とやや停滞気味。久しぶりの得点をホームのサポーターに届けられることだろうか。

 J1で2季目を迎える片野坂監督はこれまでの川崎戦は3戦全敗。現J1所属チームの中で唯一勝ち点を取ったことないチームである。来季は徳島が昇格してきそうだが、彼ら相手にも片野坂監督は勝ち点を取ったことがない。

<大分のMatch facts③>
・高山薫は川崎相手に通算6得点。最もゴールを決めている相手。
・田中達也は今季決めた8得点中5得点が決勝点。

 川崎キラーと名高い高山薫は通算6ゴールと川崎が最もゴールを奪っている相手。しかし、最後の得点は2015年。ここ5年は川崎戦で得点を決めていない。

 勝負強さで言えば田中達也がダントツ。5点が決勝点というクラッチシューターぶりはさすが。彼より多いのはパトリックだけ。小林悠とは同じ数字である。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts①>
・勝てば2年ぶり3回目のリーグ優勝。
・勝利すれば2016年の浦和を抜いてJ1史上最多勝ち点となる。

 勝てば優勝である。5試合残してのリーグ優勝になれば史上最速。これまでの最速記録は3試合残しの2010年名古屋。更新の可能性は大いにある。同時に勝てば年間最多勝ち点記録の更新も。勝てば記録ラッシュになりそうだ。

<川崎のMatch facts②>
・アウェイゲームは6連勝中。
・前後半の追加タイムにおける失点がない唯一のチーム。

 アウェイゲームは好調を維持。6連勝中でこの間にはわずか3失点。複数失点もなしである。

 前節はどったんばったんの終盤になったが、今季ここまで前後半の追加タイム中に失点のない唯一のチーム。最終盤におけるクローズは成功するケースが多い。

<川崎のMatch facts③>
・三笘薫は今季リーグ戦12得点。小林悠に次いで多い。
・車屋紳太郎がCBとして先発した試合は直近4連勝中。

 前節MVP級の活躍を見せた三笘薫。これでリーグ戦今季12得点目。あと1点決めれば渡邉千真、武藤嘉紀に並ぶルーキーイヤー最多得点を記録することになる。ちなみに出場時の90分換算の平均得点は3.63。チーム平均(2.73)と比較して0.9多い。三笘が出ているときは0.9得点増しである。

 ジェジエウの出場停止に伴い、この試合では車屋の先発が見込まれる。直近でのCB先発時の戦績は良好で4連勝中。この間13得点3失点と特に攻撃において好循環になることが多い。

展望

■ズルをさせないのが第一関門

 FC東京、札幌、鹿島、そして横浜FM。ここ直近の対戦相手はそれぞれスタイルは違えど、高い強度でのデュエルに向かってくるチームだった。次に対戦する大分は少しその傾向から外れるチームだ。

 昨シーズンほど極端ではないが、やはり今季も攻守の切り替えの回数はなるべく減らす方針。守備時は5-4-1と後ろが重いフォーメーション。とりわけ、重労働を強いられているのはシャドーストライカー。彼らは前方へのプレスと外に進出するSBのケアを兼務。前の5枚の守備が五角形にもフラットな4-1の並びにも見えるのはシャドーがそれだけ広い範囲をカバーしているからでもある。

画像4

 その分、5バックは前に出ていかずに後方の枚数を確保する。後ろに重いフォーメーションとはいっても、ローラインで引きこもるのがベースではない。基本はミドルゾーンに構えて、相手が中につっかけて引っかけてくれればカウンターに転じることができるという流れだろうか。

 サイドに深く侵入された時はWBに加えて同サイドのCBもスライド。ただし、陣形全体ではスライドは行われず。したがってニアゾーンを取られる形はなし、クロスは致し方なしという所だろう。

画像5

 前線にはプレスバックを要求するため、ボール周辺の人口密度は高くなることが予想される。川崎としてはロストの仕方に注意したいところだ。

 ビルドアップにおいて、浦和戦では主体となったように知念や伊佐などのロングボールもレパートリーの1つ。しかし、彼らは無敵のエアバトラーというわけではないので、ここ頼みというよりはここが機能するならば、まずはCFに当てるというイメージだろう。

 というわけでまずは大分のCFがどこまでボールを収めることができるか?というのが1つの指標になる。ここを起点として使えなければ大分は地道につないでいく形になるだろう。基本的に理屈に沿って前進するチームなので楽に押し上げを許したくはない。ロングボールが使えない時の大分のビルドアップはズルがないなという印象。CHの片方が最終ラインに入り、CBと共に4枚でビルドアップ隊を形成する。

 攻撃の手法は大外のWBを使う形が多い。ワイドの多角形でパスコースを複数作って攻略する形が1つ。シャドーが同サイドに集結して打開を試みることもある。内側に起点ができれば大外のWBのオーバーラップ独走も使える。川崎のSBをうまく釣りだすことができれば一気に大外WBからのクロスも可能である。ここから逆サイドのWBも飛び込んでくるパターンも。重心を高めることができれば横浜FC戦のような波状攻撃も可能である。

 大分が5-4-1の非保持をローラインではなくミドルゾーンで組むのは、クロスを雨あられを受け止めるほどのDFラインの強度がないのに加えて、ビルドアップにおける地道さも起因しているのではないだろうか。陣形を置いていって前進していったときに点を取れる強引さは大分にはあまりない。ボールと一緒に陣形を前に進めていかないと、攻撃に厚みが出ない。だからこそ、なるべく高い位置で相手を食い止めて、奪取後の前進の負荷を少しでも軽減したいのではないか。

 驚異的なのは前線で起点になりつつ、守備の高負荷な仕事をこなすシャドーストライカー。野村と田中の横浜FC戦の貢献度は圧巻で、最も負荷が高いといっていいポジションながらも90分間通して出場。最後の時間帯にも攻撃面で起点となる役割を担い、終盤の大逆転勝利を導くことができた。

 川崎としてはオープンスペースにおいて彼らに1対1を簡単に制されてしまえれば、単騎でのカウンターが成立してしまう。そうなれば押し上げてくる後方の選手を待たずに好機を作ることが可能になる。まずはここで優位を確保し、彼らに「ズルを許さない」展開を強いていきたいところ。そしてボール保持時は裏を狙う動きを織り交ぜて、大分を自陣に帰陣させるようなボールの動かし方を意識したい。

 大分との試合は自分たちの理屈は正しいか?ということを問われる内容になることが多い気がする。開始後、プレスを早々に撤回して構える形で守ることになった2019年の等々力の試合が代表例である。

 今の川崎のスカッドは前半戦の対戦時に比べれば物量で殴ることが難しくなっている。ダミアン、家長など優秀ながらもひとくせあるタレントをどのようにこの相手にぶつけるのか。連戦が続く中で、90分の中で優位に立つタイミングを見極めての選手起用を求められる。現状のスカッドの運用の仕方が問われる試合になりそうだ。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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