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「水曜日のお楽しみも最終回」~2020.9.9 J1 第15節 川崎フロンターレ×ヴィッセル神戸 BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第15節
2020.9.9
川崎フロンターレ(1位/12勝2分1敗/勝ち点38/得点44 失点13)
×
ヴィッセル神戸(10位/4勝7分4敗/勝ち点19/得点22 失点24)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

図1

 直近5年間で川崎の6勝、神戸の4勝、引き分けが4つ。

川崎ホームでの対戦成績

図2

直近10戦で川崎の4勝、神戸の3勝、引き分けが3つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・直近6試合の川崎戦において、神戸はクリーンシートなし。
・直近7試合の当カードの合計得点は32点。

 もうここまでの2試合で散々わかっていることかもしれないが、このカードは得点が多い。先週のように片方のチームが大量得点を奪う場合もあれば、リージョが等々力に見参した時のように殴り合いになることも。両チームとも過密日程のただ中ということで間延びした展開になる可能性は大いにあるだろう。

<Head-to-Head②>
・過去15試合の等々力の神戸戦において、川崎が複数得点を取れなかったのは3回。
・等々力で神戸が勝った3試合のうち、2試合は9月に行われたもの。

 得点が入りやすいカードというわけで川崎はホームで複数得点を取れた試合が多い。ただし、1点以下に終わった3試合は全敗。過去のスコアを見ても神戸側を抑えられているわけではないので、点をたくさん取らなければ勝利を逃している。

 もう1つ、川崎にとって不吉なジンクスを吐き出しておけば、等々力で敗れた神戸戦3試合のうち2試合は9月だったこと。9月のこのカードの戦績はホームとアウェイ合わせて4戦で川崎の1勝。直前のルヴァンカップが川崎唯一の勝利だ。

<Head-to-Head③>
・直近3年間のカップ戦で激突した年(2019,2015,2007)はカップ戦の勝敗と川崎ホームのリーグ戦の勝敗が一致している。

 超オカルトなデータがやってきました。オカルトって最高ですよね。カップ戦で戦った年はカップ戦の結果と川崎ホームでのリーグ戦の結果は一致するというオカルト。カップ戦の成績は神戸ホームでのリーグ戦の結果とは一致しないというオカルトもおまけでつけておく。このオカルトに従うならば勝つのは川崎だが・・・?

図3

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・長谷川竜也はフルトレーニングを消化。
・ジェシエウは前節違和感で途中交代。

【ヴィッセル神戸】

・ドウグラスの出場は不透明。

スタメン予想

画像5

Match Facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch Facts①>
・ここまで44得点はリーグ最多。
・直近3試合の公式戦で失点は1のみ。

 直近3試合の公式戦で14得点。ハマった時の爆発力はリーグ屈指であることに異論はないだろう。リーグ戦における44得点はリーグトップ。テーブルを見渡すと30得点は不在。川崎の44得点はFC東京+浦和だったり、名古屋+鹿島と同じ値だったりする。

 直近3試合は守備面も好調。特に横浜FM戦の後半はうまく試合をコントロールしつつ、撤退守備も比較的うまくいっていたように思う。出ているメンバーの質にはよるものの、守備面でも進歩がみられるのはプラス材料だ。

<川崎のMatch Facts②>
・等々力での公式戦は今季9戦8勝。
・今季公式戦で挙げた60得点の内、35得点が後半に挙げたもの。

 昨年はなかなか勝利をお届けできなかった等々力では連勝中。開幕戦の引き分け以来、7連勝と絶好調である。

 もう1つ去年お届けできなかったものといえば逆転勝利。得点の多くが後半に集中。6回のビハインドを4回勝利で跳ね返しているのは立派だ。

<川崎のMatch Facts③>
・齋藤学は川崎加入後に出場した神戸戦は3戦3勝。
・トルステン・フィンク相手に鬼木達はリーグ戦で未勝利。

 ここ1週間で調子を上げているのが齋藤学。先週も活躍したように神戸戦は大得意。川崎加入以後は出場した3戦全勝で2ゴール2アシスト。スタッツに残る活躍をしている。

 カップ戦では勝利を挙げたものの、鬼木達はリーグ戦ではまだフィンクに勝てていない。J1で現在指揮を執る監督の中で鬼木達まだ勝ったことのない監督はフィンクと金明輝の2人だけ。この試合に勝利をしてコンプリートにリーチをかけられだろうか。

【ヴィッセル神戸】

<神戸のMatch Facts①>
・公式戦直近8試合で1勝のみ。
・直近4試合の公式戦で失点が12。

 直近の公式戦は8試合で1勝のみ。週末の湘南戦も重さが残る内容だった。過密日程の疲労もピークで選手のやり繰りが難しい状況になってきている。

 失点の多さには歯止めをかけたいところだが、疲労も重なり試合の主導権をコントロールする握力がやや弱まっている印象だ。

<神戸のMatch Facts②>
・アウェイゲームの公式戦は今季8戦無敗(W4D4)。
・昨シーズンの同時期と比べて得点が1少ない。

 ホームは苦手だがアウェイには強い。アウェイは今季公式戦は無敗で、アウェイでの失点数が神戸より少ないのは名古屋、G大阪、広島のみだ。

 得失点のスタッツを見ると昨シーズンの同時期とほぼ同じ。得点が1少ないだけでだいたい同じ比率の得失点を記録している。

<神戸のMatch Facts③>
・リードから勝ち点を落とした試合は5つ。リーグ最多。
・ビハインドから勝ち点を得た試合も5つ。

 とにかく出入りが多い。リードから勝ち点を落とした試合は9試合中5試合。半分は無事に終えられていない。ただし、ビハインドからただでは起き上がらなかった試合も5つ。FC東京や川崎と同じ回数のカムバックを果たしており、これより多いのは鹿島だけである。

展望

■『構えて失敗』の第一ラウンド

 3週連続で続いた水曜日のお楽しみも今日で最後。「有吉の壁」「ホンマでっか!?TV」「水曜日のダウンタウン」という水曜日お馴染みの番組ですら、いずれもこの3週でお休みの日があったのに、川崎も神戸も来る水曜日も来る水曜日も戦い続けているのだから大したものである。

 今週は3連戦最後の試合。というわけでここまでの2ラウンドを振り返ることで展望としたい。まずは1試合目から。

 要はざっくりこれを見てくれ!という話なんだけども。川崎はこの試合で早々に撤退して4-5-1で構える形を選択した。この選択が「神戸相手にはそうしたほうがいい!」と考えたのか、「後半に力を集約したほうがいい!」と考えたのか、「90分は前からいけるコンディションにない!」と考えたのかはわからない。

 が、とにかく川崎はボールを取ることではなく、スペースを埋めることで前半を過ごす選択をした。神戸からボールを取り返すのはハードだし、個人的にはこういう選択も仕方ない日程ではあると思うのだが、それでも複数失点をしてしまってはうまくいったとはいいがたいだろう。1得点目は山口と西の連携を称賛すべきでもあるが、問題は2失点目。ダンクレーの持ち上がりも中でのドウグラスでのヘディングも抑え込めないのならば、撤退してスペースを埋める意味はどうしても薄くなってしまう。

 それ以上に想定外だったのはボール保持の部分。神戸が最終ラインまで高い位置のプレスに来たわけではなかったが、時間を与えてもらったDF陣がゲームを作ることができなかった。ジェジエウはミスも目立ち、コンディションに不安も見られた。ダンクレーが持ち上がって浮いた時間を得点まで結びつけた神戸とはこの部分で差を感じた。

 中盤より前の川崎の選手は相手選手を背負ってばかりになってしまい、前進の機会は限られていた。個人的にはボール保持はもうちょっとやれると鬼木監督は踏んでいたのではないかと思う。それでも難しい展開の中で大島のゴールが決まったのは大きい。そして後半にやってきたおそらく狙い通りのオープンなボールの行き来。決定的なチャンスで試合を決められない神戸を尻目に、川崎は限られた機会をモノにした旗手のリーグ初ゴールで追いつく。

 神戸が有利な時間帯が多かったが、川崎が何とか勝ち点を得ることに成功した試合であった。川崎としては神戸相手に試合を静的に進める難しさを感じる試合となった。

■『譲れないところでのミスを誘発』の第二ラウンド

 そして、2戦目。川崎は打って変わってハイプレスに出た。陣形としてはほぼ4-2-3-1かな。大島と守田がフラットな並びで家長はもう少し前でプレスをかける役割。

 プレス隊はマークを受け渡しつつ、アンカーの位置に入ったサンペールを家長を中心に注視しながら神戸のバックスに時間を与えなかった。CBには旗手と齋藤が外側から早めにプレスをかける。高い位置を取る神戸のSBには川崎のSBが高い位置から捕まえに行くことで対応。相手の大外への長いボールへの出足が良かった川崎のSBに加えて、藤本と古橋を前を向かせる前に潰し続けたジェジエウを見れば、この日の川崎は前がかりにプレスで行くようにビジョンが共有されていたように思う。

 川崎が後方を捨てて高い位置からプレスに行けたのはドウグラス不在の影響もあると思う。1回目の対戦では、川崎が前からプレスにくる場面の対応策として、神戸はドウグラスが降りて受ける形で前に起点を作ることができた。

画像4

 しかし、この日のCFの藤本は最後の仕上げの場面でDFラインと勝負するタイプ。組み立てで貢献できるタイプではない。というわけでこの日の神戸には長いボールを前線に当てて前進する手段がなかった。加えて左のCBに入った大崎は左への展開がまだぎこちなく、大外に開いているSBを使うことができなかった。

 こうして神戸の選択肢は1つ1つ削られていった印象。そうした中で頼みのサンペールのボールさばきがこの日は全くさえなかった。1失点目は相手に囲まれた山口にパスを出してしまったし、2失点目は本人のミスでカウンター。選択肢が1つずつ絞られていったサンペールのミスが起点で川崎がペースを握った。

 古橋と小川は前プレ時の役割がやや曖昧。前回対戦では酒井と西が捕まえていた川崎のSBにこの日は自由を与えていた。古橋も小川も献身的ではあるので、押し下げられた後にプレスバックは行う。そうなってしまうと、神戸が仮にボールを取り返しても、カウンター発動時の重心がかなり後ろ向きになってしまう。

 ロスト直後の川崎のイケイケドンドンのプレスにボール回しで活路を見出すことができなかった神戸。縦に急ぐパスをつけると、川崎のプレスに簡単につかまってしまい、整っていない状態でのカウンターを食らうという悪循環にはまっていってしまった。1戦目の川崎の中盤のように、この日は安井や山口が相手を背負ったまま受けて、周りの状況を把握できずにロストの繰り返しだった。

 広いスペースを享受できた時の川崎の攻撃陣の破壊力はすでに今季証明済み。この試合はプレスで神戸のビルドアップを上回り、自分たちの得意なショートカウンターの局面が数多く見られた。アンカーのサンペールが裸のまま受ける場面も多く、この局面になってからの挽回は難しかったように思う。

 個人で見ると清水戦でも好調だった齋藤学のオフザボールも引き続き好調。この試合では受けた後のプレーのクオリティも高く、WGのポジション争いに堂々参戦といっていいだろう。

■強気プレス濃厚な川崎をどういなす?

 というわけで振り返ってみると第1戦は引いたプランで迎え撃った川崎を相手に神戸が主導権を握る展開。そして第2戦は強気に出た川崎が高い位置から神戸を封じ、ミスってはいけないフェーズでミスを引き起こしたことで優位に立った展開ということがわかる。おそらく、川崎は第2戦のプランを継続するのではないだろうか。ローテーションの順番でいえば小林や齋藤、旗手などのプレスに長けているメンバーが先発に名を連ねる可能性は高い。

 神戸としてはプレスを引きはがして川崎を空転させて試合を手中に収めたいところ。長いボールの逃がしどころになるドウグラスの出場可否は試合展開を左右しうる部分。川崎としてはラインを下げられた後の守り方の部分は神戸相手に後手に回りうる弱み。第2戦は前から行くことでこの部分を覆い隠してしのいだ印象だ。神戸がプレスを脱出してリトリートを強いられる局面が増えれば当然ピンチも増える。

 ルヴァンカップや週末の試合を経て、一気に川崎が有利な風潮はあるものの、初戦の出来を考えれば神戸に付け入るスキは大いにある。ただし、コンディション面やスカッドのやりくりで川崎に分があるのも事実。先制はされても90分でどう上回るかがうまく設計された神奈川ダービーのように、選択肢を適切に選んで戦うことが出来れば川崎が優位に運べる確率は高まるはずだ。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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