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「恩返しを阻止すべし」~2019.7.31 J1 第16節 サンフレッチェ広島×川崎フロンターレ プレビュー

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Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第16節
サンフレッチェ広島(8位/勝ち点29/8勝5分6敗/得点25 失点15)
×
川崎フロンターレ(3位/勝ち点38/10勝8分1敗/得点31 失点12)
@エディオンスタジアム広島

戦績

近年の対戦

直近5年間の10戦で広島の4勝、川崎の5勝、引き分けが1回。

広島での直近10試合の対戦成績

広島の4勝、川崎Fの4勝、引き分けが2回。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦の対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去40戦で広島が12勝、川崎が19勝、ドローは9つ。
・直近6試合の対戦で広島は川崎相手に1勝のみ。
・昨季の対戦では共にアウェイチームが勝利しているカード。

 直近の勢いも通算成績も若干川崎が広島に対してリードしているカード。直近で挙げている広島の勝利は川崎ホームのものであり、広島ホームでは川崎の3連勝中である。昨季は共にアウェイゲームが勝ったというレアなカードでもある。広島は直近の6試合の川崎戦で2得点のみと若干得点が湿りがち。チーム状況と照らし合わせてもやや気になるところだ。

Head-to-Head②
【広島ホームでの戦績】
・広島ホームでの対戦成績は広島の7勝、川崎の8勝、引き分けが6つ。
・直近3試合のエディオンスタジアムでの川崎戦で広島は1得点。それ以前の4試合では10得点。

 広島ホームでも川崎が勝ち越している戦績。近年の連勝によって巻き返している。数年前までは川崎相手には複数得点が普通だった広島だが、ここでも得点力のしりすぼみが顕著。要因として考えられるのは佐藤寿人だろうか。彼が川崎相手にキャリアで決めたゴールは16点。半年間のプレビューを書いてきたが、同一カード内での得点数としては非常に多い部類だろう。現役屈指の川崎キラーが不在になったことで、やや近年の広島は川崎戦の得点で伸び悩みを見せている。

Head-to-Head③
【水曜日の対戦】
・水曜日のJ1での対戦は過去に3回。いずれも川崎は勝利を挙げたことがない(D1L2)

 そんな川崎有利のデータの中に、影を落とすジンクスがこちら。水曜対戦でのもろさである。4年前はドウグラスの抜け目ない一発で仕留められ、6年前は例の佐藤寿人にハットトリックをかまされるなど、いい思い出がない。「水曜日の広島」の悪い記憶はできればこの機会に塗り替えたいところだ。

Head-to-Head④
【終盤まで気を抜きません】
・このカードで生まれた直近の14ゴールのうち、12ゴールは後半に記録されたもの。

 この対戦における特徴は後半における得点が特異的に多いことである。14ゴール中12ゴールというのもなかなかな偏在ぶりだが、後半の12ゴールのうちの7ゴールは終盤15分に決まったもの。ロースコアで決まることが多い近年の対戦だが、今年も終盤まで目が離せない展開になるだろうか。

【サンフレッチェ広島】

選手情報

・野上結貴は累積警告で出場停止。井林章が今季初先発の見込み。
・サロモンソンは欠場。

Match Facts

広島のMatch Facts①
【直近の公式戦】
・直近5試合のリーグ戦で負けなし。公式戦でも6試合負けなし。
・直近5試合のホームでのリーグ戦で1勝のみ。

 公式戦6試合負けなしの広島。川崎戦に負けなければ今季2回目の7戦無敗達成だ。この6試合は勝ちと引き分けを繰り返しており、順番でいえば川崎戦は勝つターンである。しかし、ホームの成績はやや不安。川崎戦に限らずホームでの得点は振るわず5試合で3得点である。

広島のMatch Facts②
【ホームゲームの特徴】
・ホームでの失点5はC大阪に次いでリーグ2番目に少ない。
・ホームでの得点8は松本と浦和に次いで少ない。

 今季のエディオンスタジアムでの試合の特徴はとにかくロースコアであること。広島のホームでの失点の少なさは2位。クリーンシートを連発しているロティーナ・セレッソに次ぐのは立派な成績である。しかし得点の少なさも3位。鳥栖など得点力不足に苦しみがちなチームよりも少ない結果になっている。

広島のMatch Facts③
【PKの話、ジンクスの話】
・FC東京、鹿島とともにリーグ戦で今季PKによる失点がない。
・直近の川崎戦で挙げた4得点はすべて川崎に所属経験のある選手によるもの。

 今季未だにPKを与えていない3チームのうちの1つ。エリア内での守備があっさりしすぎているのか、そもそも侵入されないのかまではわからないが、無謀なチャレンジはエリア内で仕掛けていないということだろう。

 もう1つ面白いジンクスは直近の川崎戦のスコアラーである。直近の4得点を決めたのはパトリック、柴崎、柴崎、山岸。すべて川崎に所属経験がある選手だ。現在の広島における川崎所属経験のある選手は柴崎に加えてハイネル。新加入WBが恩返し弾の系譜に名前を連ねることになるだろうか。

広島のMatch Facts④
【個人成績】
・柏好文は現所属選手ではチームで最もゴールを挙げているが、ホームゲームでは5試合連続でゴールに絡んでいない。
・城福監督はキャリアを通じて川崎相手に9敗。これより多く敗れているのは浦和のみ。

 5ゴールを挙げている柏好文。パトリックが移籍した現在は彼が得点部門のチームリーダーである。しかし、ここ5試合のホームゲームでは得点からもアシストからも遠ざかっている。WBでしょ?得点を求めるの?と思うかもしれないが、広島の戦い方を踏まえれば彼の得点かアシストはそろそろほしいところだ。

 城福監督のキャリアにおける川崎戦の成績はあまり芳しくはない。1試合の平均勝ち点は1.07で、これより悪い対戦相手は浦和と広島の2チームだけである。川崎ファンにとってVS城福監督は解任の契機になった多摩川クラシコが記憶に新しいかもしれない。昨年は等々力で勝利を挙げて記憶を塗り替えた城福監督。今度はホームで川崎相手の連敗を止めたいところだ。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・奈良竜樹、藤嶋栄介、大島僚太は欠場の見込み。

川崎のMatch Facts①
【アウェイゲーム】
・アウェイでのリーグ戦は7連勝。
・直近8試合のアウェイでの公式戦でクリーンシートが5つ。

 アウェイでの快進撃は目を見張るものがある川崎。アウェイ初戦の神奈川ダービーのドローの後は7連勝。J1でのクラブ記録を塗り替えるだけでなく、今季の唯一のアウェイ無敗のチームという称号も維持している。得点も失点もリーグ首位でアウェイに限れば堂々の勝ち点1位だ。

川崎のMatch Facts②
【過密日程】
・中3日のリーグ戦は今季4戦して1勝のみ。
・昨季は水曜日のリーグ戦は7戦して2勝のみ。

 初優勝を決めた年は終盤の過密日程を連勝街道で逆転したこともあり、あまり苦手な印象はないかもしれない過密日程。しかしながら、今季は数字を見てみると若干成績は落ちる。アウェイの鳥栖戦は勝利を挙げたものの、勝利はそれだけ。そして今季唯一の敗戦のG大阪戦も中3日で迎えた試合だった。

 水曜日も若干苦手で昨季の7試合は2勝のみ。あえて勇気づけるデータを差し込むなら勝利した2試合はいずれもアウェイゲームであるということだ。

川崎のMatch Facts③
【7月+アウェイ=最強?】
・7月のアウェイゲームは直近8試合負けなし。

 アウェイで強い川崎だが、こと7月に限るとさらにその強さは増す。直近8試合は7勝1分。勝利した試合はすべて複数得点でうち6試合は3ゴールを決めての景気がいい勝利を挙げている。7月最後のアウェイゲームだが、再び3得点を挙げての勝利を挙げることはできるだろうか。

川崎のMatch Facts④
【アウェイ仕様のストライカー】
・小林悠は直近3試合のエディオンスタジアムでの広島戦で4ゴール。
・レアンドロ・ダミアンは今季先発したアウェイゲーム5試合で4ゴール2アシスト。

 前々回のプレビューでアウェイでのゴール数を取り上げて「人の庭が大好き」と表現し、前回のプレビューで7月開催の直近14試合で17得点に絡んでおり「驚異の夏男!」と表現した小林悠。前節でも得点を挙げており、夏の彼は止まるところを知らないといっていいだろう。7月+アウェイは彼にとって絶好の舞台だが、最も多くの得点を挙げているアウェイスタジアムであるエディオンスタジアムでの戦績はそれに拍車をかけるものになる。7月+アウェイ+エディスタの3拍子がそろった小林。今節も得点を決めることができるか。

 チームにフィットしていないといわれるダミアンもアウェイでは好調を維持。チェルシー戦でも示したように、得点が必要な終盤における信頼感は絶大といっていいだろう。前節は個人技でアシストも記録。終盤で試合が決まりやすい広島×川崎においては不可欠な存在だ。

予想スタメン

展望

■ジンクスだけではないハイネル

 1か月前の鹿島戦を参考に見てみた。その時は「やべ、これパトリックいないじゃん。いたら戦い方変わりそう」って思ったのだが、パトリックはレンタルで移籍してしまったため、たまたまいい試合をチョイスしたことになる。ラッキーだな。

 広島の試合を見た感想としては真っ先にWBへの攻撃の依存度が非常に高いことが挙げられる。後方はCB3枚でビルドアップする。ほとんどすべての攻撃がWBを経由しているといってもいいくらいの依存度だった。フィニッシュやラストパスに至るまでWBへの要求は多く、パトリックが移籍したとはいえ柏がチーム内得点王というのは頷ける内容だった。後方の3枚でのビルドアップもWBに安全にボールを運ぶための手段としての意味合いが強いように思う。

 警戒したいのはWBを起点に逆サイドのWBにめがけてクロスが上がるパターン。両ワイドの柏やハイネルは共にスペースがある状態では、非常に強力なプレイヤー。彼らに突破を許し、川崎のDFラインがボールサイドにスライドしたところに逆側からWBが飛び込んでくる動きは要注意だろう。

 川崎は直近の大分戦ではまさしく再就職面でのWB→WBで危ないシーンが見られた。WBへの攻撃の依存度を考えると広島の方がおそらくこの攻撃の試行回数は多いはず。大分戦と同じく、WBへのマークが序盤に定まらなければ、早い時間に先手を許して苦しい試合運びになることも大いにあり得る。ジンクスでいえば元川崎所属のハイネルによる恩返し弾にも警戒したい。オカルト的な要素だけでなく、広島はWBがフィニッシュ局面にダイレクトに絡む動きが多いので、大真面目にハイネルの恩返しを阻止することは川崎の勝利に近づく一歩だ。

連戦、出場停止による連携がカギ

 川崎としては注目なのはメンバー構成。前節はWBを相手に齋藤学と阿部浩之が奮闘していたが、中3日で彼らを再度負荷が高いWB封じに臨ませるのか、ターンオーバーをするのか。鬼木監督の決断も気になるところだ。

 広島の非保持は5-4-1で後方に数的優位を持たせつつ、ボールが自陣側に入ってきたら飛び出して捕まえに行くというのが大まかなコンセプト。やや気になるのは、後方から飛び出した選手の空けたスペースをカバーする意識が薄いこと。周りの選手のスライドが素早くなく、人についていく傾向が強いので、選手を密集させて相手の基準点を乱しつつ、空いたスペースを使った抜け出しは可能だろう。ここ数試合の川崎を見る限りは密集地帯からのコンビネーションの質はシーズン序盤戦よりも向上が見られる。大分戦で見せたような中盤の入れ替わりが見せられれば、広島が対処するのは難しいのではないだろうか。

 要注目は初先発が予想される井林。ここまでフルタイム出場を続けた野上の出場停止の穴を埋められるかどうか。連携に難があるようだと、川崎を止めるのは一層難しくなってしまう。

 若干川崎目線でいえば楽観的な展望になっているが、体力面での不利は否めない。ボールを動かしながらの持久戦に持ち込んでも、勝ち目があるかは不透明。当然、ターンオーバーも視野に入ってくる。広島の特徴を考えると人に強い知念とダミアンを組ませるよりは、空いているスペースを見つけるのがうまく、行動範囲の広い脇坂で相手のマークを混乱させたいところ。

 DFラインは入れ替えが難しいがここしばらくフル稼働が続いている車屋と登里にはそろそろ信頼できるバックアッパーが欲しいはず。チェルシー戦で復帰した馬渡がオーバーラップで攻撃に厚みをもたらすことを期待したい。車屋や登里とは違う持ち味でレギュラー争いに殴り込みをかけたいところだろう。

 逆襲の7月をいい形で締めくくりたい。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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