■ロングボールの不発と朝鮮を阻んだ大雨
福岡といえば4-4-2！というイメージがあったのだが、広島や磐田など3バックを基調とするチームに対して、3バック始めました！という感じらしい。この試合の相手である湘南も3バック。ということで噛み合わせる形での迎撃である3バックをこの日も選択した福岡であった。
率直にこの試合の感想を述べれば、なかなか戦術的な見どころは見にくい試合だったということになるだろう。特にはっきりしたやり方をとっていたのは福岡。湘南が高い位置からプレスをかけにいったことも理由の1つかもしれないが、福岡はとにかく前線のルキアンに蹴っ飛ばす形。特に中盤でゲームを作りながら進めていきたいという意思は見えなかった。
一方の湘南も前線に蹴る意識が強い。福岡はトップのルキアンがアンカーをケアするなど、湘南ほどは前からのプレスの意識は強くなかったが、こちらも前に蹴りながら進んでいくことになる。
互いに蹴り合うことで試合は全く落ち着かない展開に。個人的には湘南のロングボール体勢の高さは意外なところであった。体格的には少し不利なセットだと思うので、ルキアンへのロングボールをそこまで友好度が高い手段にしなかったのは素晴らしい。福岡はサイドから縦関係を使ってのクロスを上げたいところだが、高い位置での起点を作ることができず、敵陣に迫っていくことができない。
同じく湘南もロングボールでの有効打を打つことができず。ピッチで幅を使いながら両WBを生かす形を作れずに苦しむ。
迎えた後半も同じ展開。ひたすらロングボールの応酬が続くアバウトな流れが止まらない形。福岡はハーフタイムにクルークスを投入し、サイドからのクロスの手段を増やし、ハイボールを効果的に使う方向性に進んでいく。
少し変化をつけようとしたのは湘南の方。ショートパスから敵陣奥深くをきっちり取る形を作ろうとする動きを見せる。福岡が後半にプレス意識を高めたこともあり、前半よりは前進するきっかけを掴むことができていた。これを阻んだのは雨。後半途中から急激に強くなる雨のせいで、ショートパスでボールを繋いでいくことのリスクが高まってしまう。
こうなると再び試合は大味な展開に。福岡はトップにマリやフアンマを入れるなど、徹底した筋肉に傾倒した策を講じていく。だが、雨が止んだ終盤数分を除けば、後半はサッカーどころじゃない雨の強さにゴールに迫ることができなかった印象。決め手にかける両チームの一戦はスコアレスドローで幕を閉じた。
試合結果
2022.7.16
J1 第22節
湘南ベルマーレ 0-0 アビスパ福岡
レモンガススタジアム平塚
主審:飯田淳平