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「Catch up UEFA Champions League」~2022.5.3 UEFAチャンピオンズリーグ Semi-final 2nd leg ビジャレアル×リバプール

■2つ目の変身が試合を流れを変える

1st leg

 アンフィールドではリバプールの圧力に屈し続け反撃の機会を与えてもらえなかったビジャレアル。2点のビハインドを持ち帰り、ホームでのリベンジに挑むことになる。

 ここまでのCLノックアウトラウンドでのビジャレアルの戦い方は基本的に試合を静的に落ち着かせるものだった。プレッシャーを無理にかけずに相手にボールを持たせて試合の強度を下げつつ、得意のビルドアップの局面から相手のプレッシングをいなしながら前進する。それが今季のビジャレアルだった。

 だが、2点のビハインドを背負ったビジャレアルはこの試合ではこれまでの姿を捨てた積極策でリバプールを迎え撃つ。キックオフと同時に高い位置からのプレッシングを開始。リバプールに安全なボール保持を許さない。

 高い位置からボールを奪ったビジャレアルはそのまま素早く攻撃に移行する。試合開始早々の先制点になったのはライン間に顔を出したジェラール・モレノをリバプールが咎められなかったところから。右サイドからの侵入で逆サイドに大きく振ると、左サイドから再び上がったクロスに対して飛び込んだのはカプエ。抜け出したカプエの折り返しをディアが押し込み、3分でビジャレアルが先制される。

 失点シーン、リバプールの左サイドはだいぶ振り回されてしまった印象。特にロバートソンはかなり混乱した印象だ。モレノにライン間で受けることを許し、抜け出すカプエに競り負けてしまいアシストをさせてしまう。ビジャレアルのゴール前の攻撃は前の4枚がポジションを入れ替えながら動くし、中盤から飛び込む選手もおり守る方からすると不確定要素も多い。ビジャレアルのそうした部分にリバプールはうまく対応できなかった。

 勢いに乗るビジャレアルは以降もプレスでペースを握る。リバプールの保持は左で作り、右に大きく展開することでエリア内に迫っていく形がデフォルト。しかし、ビジャレアルの圧縮してくるプレッシャーにうまく対応できずに大きな展開を使えない。

 いつもほど落ち着いて保持ができないリバプールは前半の途中から前線がダイレクトに裏を狙う形にシフトチェンジ。オープンな土俵に持ち込むことでビジャレアルを打ち合いに引き摺り込もうという算段である。火力であればリバプールが優位。このやり方は一見理にかなっている様に思える。

 しかしながら思ったより試合はリバプールペースに流れず。彼らにとって誤算だったのはロングボールの後のボールを奪い返す局面で思ったほど優位を取れなかったことだろう。

裏へのロングボールは手軽にビジャレアルのバックラインに突っ掛けることができる一方、全体を押し上げての即時奪回に移行することができない。ビジャレアルはある程度の数的優位を担保できれば、リバプールだろうとプレッシングを回避できるポテンシャルがあることは1st legで示している。この日もパレホを中心にリバプールのハイプレスをいなし、安定したポゼッションを示していた。

 ある程度の効果があるシフトチェンジで強度を上げて得点を奪いたいリバプール。だがその意図に反し、次のゴールを決めたのはビジャレアルの方だった。先制点と同じく右サイドに流れたカプエに対して、ロバートソンが再びクロスを許してしまう。すると逆サイドのアレクサンダー=アーノルドに突っ掛ける形で飛び込んだのはコクラン。前半のうちにトータルスコアが同点に追いつく。

 勢いそのままに後半も襲いかかるビジャレアル。リバプールはジョッタに代わりディアスを投入する。攻撃の流れとしては再び幅を使うことを意識する形で保持を行うリバプール。ビジャレアルのハイプレスは逆サイドにボールがあるときに絞るSHが圧力の源になっていたので、サイドを絞らせないようにボールを動かすことにトライする。

 そして左はディアス、右はアレクサンダー=アーノルドに大外を託して、それぞれの方法でエリア内に迫ってもらう。リバプールはこのボールの動かし方でまずは後半10分ほどでビジャレアルのプレッシングをトーンダウンさせる。

 こうなれば試合はリバプールの土俵だ。右サイドのアレクサンダー=アーノルドが大外を取るのとセットでリバプールは右のハーフスペースからの裏抜けを積極的に狙う。試合の均衡を破った勝ち越しゴールのシーンでここに抜け出したのはファビーニョ。抜け出したファビーニョ自らシュートに向かい、ルジにボールをぶち当てながらゴールを破り、トータルスコアで前に出る。

 さらにはその5分後に再びリバプールに得点が。またしても右サイドの仕掛けから逆サイドのディアスが抜け出してゴール。大外の攻め手として後半流れを一変させた功労者によって、リバプールは再び2点のアドバンテージを奪うことに成功する。

 後半の修正と2点で一気に試合を飲み込んだリバプール。カウンターからマネの抜け出しでトドメを刺したリバプールには前半に勢いを見せていたビジャレアルも沈黙。後半に変身を残していたリバプールが、スタジアムに集ったビジャレアルファンの希望を後半の30分で握りつぶす圧巻のパフォーマンス。健闘したビジャレアルを乗り越えての決勝進出を決めた。

試合結果
2022.5.3
UEFAチャンピオンズリーグ
Semi-final 2nd leg
ビジャレアル 2-3 リバプール
エスタディオ・デ・ラ・セラミカ
【得点者】
VIL:3′ ディア, 41′ コクラン
LIV:62′ ファビーニョ, 67′ ディアス, 74′ マネ
主審:ダニー・マッケリー

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