■デ・ブライネのギアチェンジ
週末のFA杯のリバプール戦では、流石に疲労が色濃かったマンチェスター・シティ。アトレティコとリバプールのサンドイッチという嫌がらせのような日程は欧州屈指の完成度であるシティにとってもハードなものであり、FA杯の敗退は仕方ない部分だろう。
CL準決勝に向けて一息入れたい、けどもリーグを落としたら、よりコンディションがいいリバプールに先を行かれる。シティにとってはそうした難しい状況で臨むブライトン戦となった。
立ち上がりからボールを持つのはシティ。ブライトンはマンマーク色は強いが、陣形を維持することも大事にしていた印象。例えば、トップのウェルベックとグロスはアンカーをケアしながらCBを見る形。アンカーに余裕がないことを確認できないまでは強引なプレスには行かず。ロドリをフリーにしてまでは前に出ていかない!というスタンスだった。
サイドの守備はWBが難しい舵取り。低い位置で関わろうとするアケや縦横無尽に動き回るカンセロをどこまで追いかけていくかは悩ましいところだった。けども、基本的には後方優先。WGにボールが出たら挟めるようなポジションを重視していく。
いわば静的に試合を進めようとしていたブライトン。シティは38分のプレッシングのように瞬間的な強度は感じるものの、試合を通してはブライトンの強度低下戦略に巻き込まれた状態になっている。
それでもシティはバックラインから駆け引き。SBが動いたり、ラポルトが持ち上がったり、ロドリが1つ前の列に移動したりなど、強度を上げない以外の解決策を模索できるのはシティの良いところだし、勝ち点を落とさない理由だと思う。
ブライトンは非保持のやり方は悪くないが、保持に転じた途端に精度がガクッと落ちるのが残念。日頃のボールスキルが伴っていれば、もう少しシティのバックラインを脅かすことができたのだろうが、この日の出来ではカウンターが悉く引っ掛けてしまう。サンチェスがプレゼントパスしたマフレズが慌てなければ前半のうちにシティにゴールが入っていたはずだ。
後半になり、先制したのはシティ。ククレジャはどこまで前に出ていきながらプレスを仕掛けるかを前半から非常に試行錯誤していたが、先制点の場面ではデ・ブライネを逃してしまった。逃走成功したデ・ブライネはそのまま敵陣までゴールを運び切ると、なんとかつながったボールはマフレズの元に。これが先制点になった。
シーズン序盤は出遅れたが、やはり調子が整っていればデ・ブライネは別格。運ぶところや、敵陣に押し込んでからの左右に振るドリブルの精度がこの試合では圧巻だった。シティは徐々に惜しい場面を作るようになる。
ここから試合は圧倒的にシティペースに。シティの2点目はフォーデン。エリア内から撃ち抜くトライのご褒美。シュートが人に当たったせいでサンチェスには防ぐことができなかった。そして仕上げの3点目はブライトンのミス起因。サンチェスのフィードが敵に渡るという重いミスはシティ相手だと2回も許してはもらえないだろう。
デ・ブライネが入れた一瞬のギアチェンジをきっかけに試合を決めたシティ。強度を落としても引き出しの豊富さがブレないところにこのチームの土台の頑丈さを感じる内容となった。
試合結果
2022.4.20
プレミアリーグ 第30節
マンチェスター・シティ 3-0 ブライトン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:53′ マフレズ, 65′ フォーデン, 82′ ベルナルド
主審:マイク・ディーン