■ようやく果たしたエースの責務
冬の移籍市場の後押しを受けて1月から続けてきた猛チャージに陰りが見え始めたニューカッスル。特に前節のトッテナム戦のリードを許してからの試合運びは地力の差を感じる内容だった。
今節の相手のウォルバーハンプトンもここ数カ月はどこか元気がない。振り返ると終盤に逆転負けを喫したアーセナル戦がターニングポイントだっただろうか。共にノースロンドン勢に痛い目にあわされた両軍によるフライデーナイトの一戦である。
試合はじりじりとした立ち上がりだったが、主導権を握ったのはホームのニューカッスルの方だった。ウルブスと対峙する上でまず解決しなければいけないのは5バックをどう壊すかである。この試合において効いていたのはサン=マクシマン。中盤を斜めに切り裂くドリブルで、5バックの手前のガードである中盤を無効化することに成功していた。
プレッシングも比較的ハマったように思う。ウッドが周りにプレスを促すことで、ニューカッスルは全体のラインを上げてウルブスに対峙することが出来ていた。
ウルブスのバックラインはニューカッスルのプレス隊が時間を奪ってくることにうまく対応できず、保持でリズムを作ることができない。3バックから縦に付けての強引な突破を目論むが、中盤ではニューカッスルが反転を許さず、ショートカウンターを食らう羽目になっていた。トップがヒメネスならばとりあえず前に蹴っ飛ばすのはアリだろうが、線が細いファビオ・シルバではそれもなかなか難しい。ウルブスは前進の手段が見当たらず、ニューカッスルに握られたペースを引き戻すことが出来なかった。
試合はニューカッスル優勢で進んでいたが、前半は枠内シュートなし。まだ決定的な差まで行っていないこともあり、ウルブスは後半はプレッシングに打って出る。だが、これはむしろニューカッスルにWB-CBの裏からのカウンター攻勢を許す餌になってしまう。
そして、そのニューカッスルのカウンターがようやく刺さるときがやってくる。ウルブスのミスから入れ替わったウッドが独走してPKを奪取。これをウッドが自ら決めて先制。ウルブスからすると簡単に入れ替わられてしまったボリーのところは後悔が残る部分だった。
後半もポゼッションからペースを握れないウルブス。シュートを増やすことが出来ず、ニューカッスルの面々を脅かすことができない。80分が過ぎたところでようやく左WBのマルサウからチャンスメイクの匂いがするが、最後までゴールを奪うことはかなわなかった。
今季は苦しいシーズンになっているウッドがようやくエースの責務を果たして勝利に貢献。再浮上のきっかけを勝利でつかんだのはニューカッスルだった。
試合結果
2022.4.8
プレミアリーグ 第32節
ニューカッスル 1-0 ウォルバーハンプトン
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:72‘(PK) ウッド
主審:ピーター・バンクス