■やりたい放題の両軍エース
グループBの結果を受けてまずはフランスがグループ突破を一足先に確定。ポルトガルもドイツがしっかり勝てばほぼほぼ問題なしという状況。結局ドイツがふらふらしたせいで危なかったけどね。
看板だけ見ればビックなカードだけど、両チームとも手堅く実を取りに言った試合だと思う。ポルトガルの目下の課題はドイツにぺしゃんこにされた5レーンをどう封鎖するか。その答えは片方のWGを早い段階でDFラインに下げることであった。特に献身的なプレスバックを見せたのは右のベルナルド・シウバ。この役割が彼でいいのかというのは言いっこなしでお願いしたい。
したがって撤退型の5-4-1をメインに据えたこの試合のポルトガル。撤退し、自陣のスペースを埋めることを優先をした。前進の手段はお馴染みのロングカウンター。一辺倒だとあまりに単調なのだけど、うまくそれを解消していたのがレナト・サンチェス。球持ちがよく、フランスの中盤に当たり負けがしない中盤は前進の推進力をもたらすことができる。
フランスは左はIHのカンテ、右はWGのグリーズマンが高い位置までプレスをかけにいく。パリでもそうなんだけど、こういう時に意外と前線に残されずにしっかりSHの位置まで下がることが多いムバッペ。前残りさせた方がいいんじゃないかというのは素人考えなのだろうか。攻撃の部分を見るとムバッペの左からの裏抜けに比重を置いていた。単純だけど効く。面白くないけど効く。シンプルに点が取れる形ほど正義である。
狙い目はハッキリ、だが工夫は多くなく、ジリっとした展開になったこの試合。試合を左右したのは要所に現れたPK。まずはロリスが偶発的とはいえ相手選手をガッツリパンチ。先制点を許す。
ビハインドのフランスはポルトガルの5バックを縦に割るイメージで。前半のPK奪取のシーンや、後半の逆転ゴールはポルトガルのバックスが整う前にベンゼマで攻略しきってしまうというフランスのやり方が実ったシーンだ。
しかし、フランスがベンゼマならポルトガルにはロナウドがいる。後半、左サイドからカットインのチャンスを得ると、クンデがハンド。これはなんかもうどう見てもハンド!これで得点をまた伸ばしたロナウド。PKを決めるなんて当たり前と思うかもしれないが、直前にスペインの試合を見ている自分には口が裂けても『PKは簡単』となどと易々といえることはない。
この同点ゴールで火が付いたフランス。失点に絡んだクンデは高い位置まで出ていってビルドアップの列越えを手助け。CBでも割と行動範囲は広いイメージだけど、SBだと輪をかけて動き回っていた。攻撃面では頼りになることは間違いない。
しかし、ポグバのミドルをパトリシオに防がれるなどフランスは失点直後は反撃に出た。しかし、70分過ぎると両チームともにトーンダウン。他会場の経過を把握したのかわからないが試合のテンションがグッと下がった。
試合を引き分けに終わらせることが大方合意した両チーム。ロナウドとベンゼマが音頭を取って前にボールを進めないという協定を無言で結ぶ。1人で急に相手をぶち抜いたコマン以外は言うことを聞いていた。多分コマンはあとで2人にボコボコにされたと思う。色んな意味でまさに最初から最後までロナウドとベンゼマ祭りだった。
何はともあれ、何とかGS突破を決めたフランスとポルトガル。だが、ノックアウトラウンドは初戦からイングランド、ベルギーというハードな組み合わせ。負荷の高いグループステージを過ごしてきた両チームはいきなりぶつかる強豪相手にどのようなパフォーマンスで臨むのだろうか。
試合結果
ポルトガル 2-2 フランス
プスカシュ・アレナ
【得点者】
POR:31′(PK) 60′(PK) ロナウド
FRA:45+2′(PK) 47′ ベンゼマ
主審:アントニオ・マテウ・ラオス