■スクランブルドイツに捉えられたグッドルーザー
ドイツは引き分け以上でグループステージ突破が確定。死の組とされたグループFの突破まであと一歩である。この日のドイツも平常運転。3バックがベースだが、ギンターにSBの役割を与えることで右サイドを押し上げる。
どちらかと言えば変更を施したのは勝たなければいけないハンガリーの方。これまでのハンガリーはWBが守備時に高い位置を取ることでラインを下げずに対応することが特徴だった。だが、この日は純粋な5バックで裏を簡単に取られないようにしながら最終ラインをコントロール。WBが出ていくときは、CBとWBの距離感を大事にしながらなるべく隙を出さないようにする。
左右満遍なく攻めるドイツだが、決め手に欠ける状況が続く。そんな中で先制点を奪ったのはなんとハンガリー。エリアに向けたクロスで出し抜いたサライが貴重な先制点。ドイツはゴセンスがラインを下げた影響でクロッサーがフリーに。リュディガーが出ていくも間に合わなかった。
得点後の雨もハンガリーにとっては恵みだろう。明らかにドイツの崩しがワンランク停滞した。ハンガリーのサポーターの席だけ雨が降られないで騒いでいる様子はまるで前半の象徴だった。
雨が止んだ後半のドイツは右サイドに狙いを絞る。狭いスペースでの駆け引きができるハフェルツを軸に右サイドに奥行きを作ることでハンガリーをサイドから抉る。逆サイドでスタートしたサネも右に集結。ただしこちらは大外で相手を引き付けるフリ。本命は間でも裏でも受けられるハフェルツにいい形で渡すことだ。
攻め立てるドイツはその勢いで同点に。右サイドからのクロスに飛び出したグラーチがはじけず。最後はハフェルツが押し込んだ。ここまで積極的な飛び出しでチームを救ってきたグラーチだったが、この試合では痛恨のミス。大きなミスとなった。
だが直後にハンガリーが再度勝ち越し。意識が前に前に行ったドイツの右サイドをあっさりと裏を取られる。右サイドで最後に体を投げ出していたのがサネというのは結構ハードモードである。
再び敗退の危機に晒されたドイツ。左右にさらにガンガン攻撃のタレントを投入し、サイドの偏重を解消し、再び左右両方から攻める。そんな中で結果を出したのが左サイド。左のWBというわけわからないポジションで投入されたムジアラがサイドからクロスを入れたのが決勝点に。最後に決めたのはほぼフェライニの役割で投入されたゴレツカだった。
バランスぐっちゃぐちゃで残りの時間を過ごさなければいけないドイツ。ムジアラ、クロース、ミュラーのトライアングルで根性で左サイドで時間を鬼のように空費していた。ハンガリーも最後の最後まで食い下がったがここまで。ドイツ、フランスの両雄に勝ち点をもぎ取ったハンガリーの旅路はここで終わり。だが、グループステージを最も盛り上げたチームの1つであることは間違いないだろう。
試合結果
ドイツ 2-2 ハンガリー
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
GER:66′ ハフェルツ, 84′ ゴレツカ
HUN:11′ アダム・サライ, 68′ シェーファー
主審:セルゲイ・カラゼフ