■地獄からチームを連れ戻したフォーデン
ユナイテッドを倒してコマを進めたベスト8で待ち構えていたのはシティ。アトレティコはまさかの2ラウンド連続のマンチェスター遠征にやってくることになった。
アトレティコの方針はユナイテッドと対峙する時と大きくは変わらない。5-3-2で構えつつ、3センターでスライドしながら前の5枚で食い止めて跳ね返すというものである。
意外だったのはロドリに特段マンマークをつけなかったことである。左右への展開に定評がある彼を自由にしてブロックを組むという選択は個人的には驚き。むしろここをまずは抑えてから守り始めるものだと思っていた。
というわけでシティはブロックの外側からDFラインの裏に斜めのパスを差し込む形でブロックの破壊を狙っていく。ブロックを壊せる精度を担保するために、サイドでフリーの選手を作るためのサイドチェンジは怠らない。すでに述べたようにアトレティコは人をケアしてサイドチェンジを阻害するという発想はあまりなかったので、シティがサイドを変えながらフリーマンを作ることはそこまで難しくなかった。
やはり一発を狙っているのはデ・ブライネ。WGで作った深さを活かし、ファーサイドを中心にピンポイントでアトレティコのブロックを破壊できる一撃を常に狙っていた。
サイドチェンジを阻害できないことで自陣に押し込まれるアトレティコ。ユナイテッド戦ではグリーズマンを落とすことで5-4-1に変形したのだが、この試合では2トップが共に下がる5-5-0を採用。私は点を取れないけども、あなたも地獄に連れていく!という形で前半の45分を溶かすことに成功する。
後半のアトレティコはグリーズマンをトップに置く5-4-1のシステムに変化。エティハドでは後半も地獄に連れていく!スタイルでもいいのかなと思ったけど、流石に点は取れへんやんけ!と思ったのか、90分これを続けることは心が持たないのかは不明である。ちなみにアトレティコで心がもたないのならば、世界中のどこでも無理そうと思った次第。
ユナイテッド戦と異なりフェリックスを前に残さなかった理由は量りかねるが、グリーズマンを最前線に置いた形でもカウンターの推進力は十分担保できている様子。5-5-0のフリが効いているせいか『おお、めっちゃ攻撃的じゃん!』と思った人もいそう。僕は思いました。
とはいえ、ライン間のスペースも徐々に出て来たアトレティコ。53分にはようやくきわどい位置でFKの奪取に成功する。布陣もデ・ブライネとベルナルドを左に置き、左右どちらからもピンポイントクロスを狙える形に変化した。
両チームの明暗を分けたのは交代選手の出来だろう。どこか試合に入り切れなかったアトレティコの交代選手たちをよそに別格の輝きを放ったのはフォーデン。投入直後から別格の推進力でアトレティコの守備ブロックに穴を空けると、70分には先制点の起点に。素早いライン間の反転でデ・ブライネの先制ゴールを演出して見せた。その後もフォーデンはアトレティコのゴールを脅かし続けることに。
守備においては保持におけるアトレティコの対角パスを封印したアケの存在感が抜群。最後までアトレティコの反撃を許さない。
結局試合はそのまま終了。5-5-0で連れ去られた地獄からチームを引き戻したのは紛れもなくフォーデン。5バックを溶かし切った先制点を手土産にシティはワンダ・メトロポリターノでの2ndレグに臨むことになった。
試合結果
2022.4.5
UEFAチャンピオンズリーグ
Quarter-final 1st leg
マンチェスター・シティ 1-0 アトレティコ・マドリー
シティ・オブ・マンチェスター・スタジアム
【得点者】
Man City:70′ デ・ブライネ
主審:イシュトヴァーン・コヴァーチ