■らしくない試合運びの大きすぎる代償
勝てば突破、負ければ3位で待機という運命を決めるグループCの大一番である。やや有利な状況にあるのはウクライナ。総得点で有利な分、引き分けでもオーストリアを上回ることが出来るという状況である。
というわけでより死に物狂いで臨まなくてはいけなかったのはオーストリア。この大会のオーストリアは、アラバを中央に置いた3バックを基本線として、終盤の得点が必要となった時間帯にはアラバを左サイドに解放し、クロスをバシバシ上げさせるという二段構えだった。
だが、この試合では頭からアラバを左サイドで起用。加えて、これまでの試合ではあまり見られなかった高い位置からのプレッシングを解禁し、立ち上がりからウクライナに奇襲をかけた。
ウクライナはドローでOKな分、少し構える姿勢だったのだろう。確かにカウンターに打って出ることが出来る前線のメンバーではあるし、オーストリアの左サイドはアラバとザビッツァーが上がり目なポジションを取る。この裏はカウンターの狙い目としてなりえただろう。実際にカウンターによる進撃は散発的ではあるが見られた。
しかし、守備時にWGを下げないウクライナの非保持の方針はやや受けに回った状況でも継続。これが保持でサイドに人をかけるオーストリアとの相性が悪かった。深い位置に押し込まれるとCKなどのセットプレーの機会を多く得ることに。これが先制点につながる。バウムガルトナーの先制点で不利だったオーストリアは状況をひっくり返す。
ビハインドで迎えた後半。シェフチェンコは前半にあまりいいところがなかった中心選手であるマリノフスキを下げるショック療法的な交代を実施、さらにはプレス強化で前に出てくる機会を増やす。だが、威勢がよかったのは立ち上がりだけ。60分過ぎからはチャンスが作れずに停滞するように。アルナウトビッチがロングカウンターをとっとと仕留めていれば試合の決着はもっと早く着いたはずである。
終盤は意外と持つことが出来るオーストリアに時間を使われウクライナは敗戦。シェフチェンコは受けに回った序盤にマリノフスキの交代というらしくない試合運びのツケをまんまと払わされる羽目になった。
試合結果
ウクライナ 0-1 オーストリア
ブカレスト・ナショナル・アレナ
【得点者】
AUS:21′ バウムガルトナー
主審:ジュネイト・チャキル