■四面楚歌で堂々たる立ち回り
1st leg
ジュゼッペ・メアッツァでの一戦は下馬評を覆し、ホームのインテルが大いに善戦するという内容だった。ただし、それでもゴールまでは届かなかったし、スコアで言えば2点のアドバンテージがリバプールにあるという状況。アンフィールドという四面楚歌の状況でインテルはこの上ない難しいミッションに挑むことになる。
しかし、難所にもかかわらずインテルは堂々たるパフォーマンスだったと言っていいだろう。プレッシングでは2トップが2人のCBをマーク。中盤も使わせないように3センターが待ち構える。
インテルのプレスのいいところはホルダーに対して周りの選手と囲い込むように一気に取り切れるところ。この工程にゴーサインを出す段階でほぼミスがない。
ある場所に人をかけるということはその分、ほかのところが空いてしまうという意味でもあるけども、そのリスクをとっていい箇所を見極めることにとても優れている。なので時には撤退もする。けども、後ろに重くはなりすぎない。その匙加減が絶妙だった。
ただ、リバプールもさるものである。こういう場合の心得は十分。CBが普段より幅を取りながらアリソンを交えたビルドアップを行うことでインテルの2トップのマークを分散させる動きを見せる。これにより、出てきた中盤の噛み合わせのズレに縦パスを刺していくことで前進を狙う。
リバプールがやや物足りなかったのはインテルのバックラインに対して裏を狙う動きが乏しかったことか。その分、インテルの中盤にコンパクトに守ることを許してしまい、スペースを生むことはできなかった。SBが低い位置でのボールタッチを増やしたり、ジョーンズがファビーニョと位置を入れ替えたりなど、工夫はしていたものの、前線に奥行きが欲しかったのも事実である。
一方、インテルの組み立ては1stレグ同様にブロゾビッチ中心だった。バックラインの選手と位置を交換しながら自身は縦横無尽に動き回りながらフリーになる。浮いたところで相手のMF-DFラインのギャップ、もしくは大外の裏のどちらかを使いながら一気に前進する。
WBで裏抜けは前の試合も同様にできていた部分ではある。ペリシッチのフリーランは見事。だけど、この試合で光っていたのはライン間で受けるアレクシス・サンチェス。彼がターンして前を向くことでインテルの攻撃のスイッチが一気に入る。
後半、ブロゾビッチはさらに凄みを増す。勢いが出てきた右サイドのカバーに加えて、バックラインだけでなく、WBが降りて開けたスペースにも飛び出していく。こんなに状況認知に優れているとは思わなかった。個人的には大発見である。
トータルスコア的には追撃弾となる先制点も左サイドから切れ目をつないでいくインテルらしいもの。ラウタロ・マルティネスのスーパーゴールは、アンフィールドのファンを慌てさせるには十分なものだった。
しかしながら、盛り上がったインテルの反撃のムードに水をぶっかけてしまったのがサンチェスの退場。いいプレーを見せていただけに悔やまれるプレーだった。
インテルの主導権は数的優位をベースとした配置交換による前進から切れ目を見つけることで担保されていたので、10人になってしまうと流石にしんどい。その後はリバプールに寝かされたインテル。サラーからのダメ押しは決まらなかったが、10人での得点は厳しかった。健闘したインテルだったが、リバプールには一歩及ばず。2試合ともあと一味が足りずにCLの舞台から姿を消すことになった。
試合結果
2022.3.9
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
リバプール 0-1 インテル
アンフィールド
【得点者】
INT:61′ マルティネス
主審:アントニオ・マテウ・ラオス