■埋められなかったデ・ブライネとのギャップ
すでに突破を決めているベルギーに挑むのは引き分け以上でグループステージの突破が見えてくるフィンランド。ハムデン・パークで起こした奇跡をロシアの地でベルギー相手に起こす必要がある。
当然というべきか試合の主導権を握ったのはベルギー。ポゼッションの局面では悠々とフィンランドを押し込み、じっくりを腰を据えて攻略する構えである。保持の局面ではフィンランドの5-3-2のサイドから攻め込む形。ボールサイドにCH、WB、WG、そしてCFのルカクの4枚が揃うことでサイドを打開するパス交換を行う。ルカクはボールサイドに顔を出す担当。押し込んだ局面では中央に留まるよりもサイドに流れることが多かった。
同サイド攻略、詰まったらサイドチェンジという流れでベルギーの保持は進む。相手のスライドが間に合わないときはサイドのアタッカーの打開のチャンス。WGの個人技を生かす機会である。もちろん期待がかかるのはエデン・アザール。だが、この試合で広いスペースにおいてより存在感があったのは逆サイドのドク。サイドでの1対1においても、カウンターにおいても持ち上がる軽やかさでフィンランドを苦しめる。エデン・アザールより19歳の方が存在感があるというのは少し寂しい。
ベルギーの話をもう少しすれば、全体的にややパスワークに軽さが足りないところ。オランダやスペインのような軽さはない分、切り返しの鋭さやスピードで一撃ずつ威力ある拳で殴っていくイメージ。これが決勝トーナメントでどっちに転がるかはわからない。もっとも、ベルギーはワールドカップの時からこんなイメージだったけど。
フィンランドの攻め上がりは限られた機会においてのみ。直線的にロングカウンターに進む選択はベルギーのCB陣と正面衝突になってしまい厳しい。それよりは、左右に振りながら進んでいく方がベルギーの守備網をかいくぐるチャンスはあった。だが、高い位置からボールサイドに圧縮をかけ、即時奪回を狙うベルギーに対して逆サイドまで脱出する機会を創出することが出来ない。攻めあがれないながらもひとまず前半はベルギーを封じ、後半に望みをつないだ。
後半の頭にはフィンランドは高い位置からの奇襲。敵陣に迫るが、ベルギーのCB陣を越えるもう一崩しを組むことが出来ず、クルトワの牙城を崩すには難しいミドルシュートに終始する。
ベルギーにとってはトランジッションの機会があった方が好都合。前半のブロック崩しに焦れてフィンランドが前に出てきてくれたことにより、好機が転がってきた格好だ。
フィンランドは中央を閉じてひとまずカウンターを対応しようとするが、問題となったのはデ・ブライネ。フィンランドの守備陣にとっては中央を閉じたつもりでも、デ・ブライネにとっては中央をかち割るスペースが空いている。一度目こそ、オフサイドで得点は認められなかったが、先制点後の2回目はこのスルーパスでの中央打開が炸裂する。
デ・ブライネの間にあったギャップを埋められなかったフィンランド。ロシアの地でベルギーを攻勢を防ぎきることが出来ず、他会場の結果を祈る3位でグループステージを終えた。
試合結果
フィンランド 0-2 ベルギー
サンクトペテルブルク・スタジアム
【得点者】
BEL:74′ フラデツキー(OG) 81′ ルカク
主審:フェリックス・ブリヒ