MENU
カテゴリー

「Catch up UEFA Champions League」~2022.2.22 UEFAチャンピオンズリーグ Round 16 1st leg チェルシー×リール

■動かせたチェルシーと動かせなかったリール

 抽選時にボールがきちんとそろっていなかったことを発端に、2回のくじ引きを行うという異例の抽選だった今季のCLのノックアウトラウンド。だが、やり直す前も、後も同じ組み合わせだったのがこのチェルシー×リールの組み合わせである。リールとしては頑張って首位突破した結果、前年王者をぶつけられるのだからたまったものではないだろう。

 試合は立ち上がりからチェルシーペース。リールの守備は4-2-3-1でSHのサンチェスとバンバは内側を絞る形。したがって、チェルシーの大外のWBに対して、リールはSHではなくSBが出ていく形が多かった。

 チェルシーの保持はこのリールの守備の決まりをうまく活用したといっていいだろう。WBのアスピリクエタで対面のSBであるジャロをつり出し、それに合わせてCFのハフェルツが同サイドの裏に抜ける形を見せて、ボッドマンを裏におびき寄せる。相手を横と縦に広げれば当然内側のスペースは空く。ここに入ってくるのがシャドーの2人。ドリブルで運べるプリシッチが受けるスペースを十分に確保するとここからドリブルを開始。この流れからチェルシーは押し込み、CKからあっさりと先制点をゲットする。

 降りるシャドーの役割はライン間で前を向いた時のプレーの引き出しが豊富なツィエクでもOK。いずれにしてもライン間で前を向くシャドーがチェルシーの攻撃の加速装置になっていた。ハフェルツ、これだけスペースメイクが出来るならば、なかなかルカクの使い方が難しくなるのも仕方ないなという感じの万能性である。

ちなみに、アスピリクエタにはリールのSBが早めにチェックにいくことでサイドのズレが出来ていたが、逆サイドのマルコス・アロンソはボールをもっても無視してOKという判断。無視されたアロンソは相手をつり出す役目を諦め、ひたすら駆け上がってフィニッシャーに専念していたのは実に潔かった。

 明確なブロックの攻略法を持っていたチェルシーに対して、リールの保持はやや苦戦。バックラインに対して中盤がかわるがわる下りてきて、ホルダーに近寄りながらパス交換を繰り返し、相手がついてきたら思いっきり刺す!というのがおそらく彼らの流儀なのだろう。特にレナト・サンチェスはほぼバスケでいうポイントガードくらいボールを引き取りに行っていた。

 だけども、列落ちはそれに対して相手がリアクションしてナンボである。この日のチェルシーは早い時間帯に先制したこともあってか徹底的にリールの列落ちに付き合うことをしなかった。リールのカウンターにおいてもボールを止めて戻る時間を稼ぐ!というやり方を徹底。ボールを奪い取ることよりも、リールの保持の流儀に付き合わずにチャンスを与えないことを優先していた。

 リールはライン間の侵入まではいけるものの、5バックを動かすことが出来ずに苦戦。そのため、シュートはメンディはおろか5バックのブロックの壁を乗り越えることも難しい状況だった。

 後半も大きな流れは変わらずに推移。相手の食いつきを利用し、守備ブロックを動かしながらスペースを見つけていくチェルシーと、5バックを動かせずに苦戦するリーズ。どっしりと構えたチェルシーにリールが工夫をするもダメージを与えることができない。

 後半にプリシッチのゴールで追加点を得たチェルシーにとっては盤石の1stレグ。リールは試合のアプローチを含めて、局面を打開する方策を見つけなければ、ホームでの逆転勝利に明るい見通しを立てるのは難しい内容になってしまった。

試合結果
2022.2.22
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
チェルシー 2-0 リール
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:8′ ハフェルツ, 63′ プリシッチ
主審:ヘスス・ヒル・マンサーノ

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次