■再現性+5レーンで柔軟性に欠けるポルトガルを大破
フランスに敗れてしまい立場が危険になってしまったドイツ。あとがないこともあり、立ち上がりからドイツは圧倒的に攻め込んでいた。狙い目にしていたのは右サイド。序盤からドイツはぐいぐい。右サイドからひたすらGKとDFラインの裏にクロスを入れ込み続けていた。前線の選手はほぼほぼ割り切っていた。ライン間に入り込むよりも、ラインに張る選手が多く飛び出しに的を絞っていた感がある。
ポルトガルはビルドアップにおいてもドイツのマンマーク気味のプレスを脱出することができず。反撃の機会すら得ることができなかった。それだけにドイツのCKの守備の隙をついた先制点はお見事。後ろにほぼ人を残さなかったドイツに対してポルトガルはカウンターで数的優位に。ベルナルドからジョタにパスを通した時点で決着。お手本のようなカウンターだった。
ポルトガルは先制以降、トップ下のブルーノ・フェルナンデスをIHにおいて中盤を5枚にシフト。ドイツが立ち上がりから起点にしていたハーフスペースを閉じにかかる。しかしながら、このIHの守備の強度がポルトガルのアキレス腱に。同サイドで埋める程度はできるのだけど、ラインを上下動させられた際の動き直しや逆サイドに展開された時のスライドで脆さが出てしまう。
右サイドのハーフスペースと大外の関係でフリーを作り、ライナー性のクロスを逆サイドに届けるというドイツの攻撃は再現性抜群。特に左サイドを駆けあがるゴセンスを監視する選手がいなかった。
5レーン志向+再現性の観点で言えば最強なドイツに対して、これだけハーフスペースと大外のケアができなければ前半のうちに逆転されるのは当然な気がする。3失点目、SHに起用されたレナト・サンチェスが大外を埋めに戻らなかったには驚いた。監督が指示しなかったのか、選手が無視したのかはわからないけども。
今大会は3-2-5隆盛なのでポルトガルがこの試合で見せた弱点は万人に展開できそう。ポルトガルの場合はサイドに人数調整が上手い選手がいないのがしんどい。この試合で言えばギンターとかアスピリクエタとかリュカとかSBもCBもできますよ!みたいな選手がいない。最後はセメドが3バックの右やっていたのはその証左。かといって6バックまで頑張れるほどSHのタレントに汗をかかせるわけにもいないのがジレンマである。
強みが全開に出たドイツだったが、フンメルスの交代以降はやや危うさもあり。フンメルス不在の最終ラインの連携とネガトラの脆弱性はこの試合でもはっきり見えた。4得点も2失点もレーブ・ドイツの強さと弱さが詰まっている総集編のような試合だった。
試合結果
ポルトガル 2-4 ドイツ
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
POR:15‘ ロナウド, 57’ ジョタ
GEN:35‘ ディアス(OG), 39’ ゲレーロ(OG), 60’ ゴセンス
主審:アンソニー・テイラー