■攻守に突き抜けが見えないドロー
立ち上がり、あっという間に違いを見せたのはフィオレンティーナからやってきたヴラホビッチ。後方からのボールを収め、2人を自身に引きつけながらもそのまま反転しながらシュートを叩き込んで見せた。
先制点を奪ったユベントスは3-2-5でボール保持にトライ。3バックが基本線だが、マッケニーは最終ラインに落ちて相手を引き出しながら、広範囲に動きつつ攻撃を循環させる。ユベントスとしてはサイドのアタッカーに欠場者が相次いでいるため、大外を賄えるクアドラードは貴重。クアドラードに高いサイドの位置に専念させるためにもダニーロやマッケニーは後方支援に注力していた。
ビジャレアルは4-4-2という噛み合わないフォーメーションで気合いのプレス。噛み合わせを合わせにいっている感じはあまり強くはないけども、数を揃えてスムーズとは言えないユベントスのバックラインを攻め立てるようになった。
一方、時間が経つごとに徐々にボールを持つ機会が増えていったのはホームのビジャレアル。GKを使いながらこちらも3-2-5チックの形でビルドアップを行うように。ユベントスはこれに対して、モラタをSHに置く5-4-1に変形する。
基本的にはユベントスはビジャレアルのCBにはボールを持たせてOK。ただし、バックラインは極端に下げたくないので、ある程度縦方向にはコンパクトに維持しながら横には広がる形で迎え撃つ。ボールホルダーにもプレスを強めにかけず、特にユベントス側が設定したプレスラインより外側の選手に対してはボールにチェックに行くこともほとんどしなかった。
ユベントスがあまりにもビジャレアルのバックラインのボールのドリブルに反応しないため、ビジャレアルのビルドアップにおける伝家の宝刀であるパウ・トーレスのドリブルも効果が薄い。CBのキャリーは相手が動いてくれてこそである。
というわけでビジャレアルはサイドでちまちま崩していく形。左は大外のペドラサ、インサイドレーンのモレノのコンビネーションを活用して、右は大外のドリブラーであるチュクウェゼを軸に質的有利で勝負を仕掛けていく。
後半、さらにカウンターに専念するユベントス。深い守備から大外からフリーマンを作ることで、ヴラホビッチへクロスを託す形で反撃を狙っていく。やや足元のパスが多く、停滞感が見られるようになった後半のビジャレアル。縦方向に動くロ・チェルソなど数人工夫する選手はいたが、得点までは辿り着かない。
そんな中で同点に追いついたビジャレアル。結果を出したのはやはりオフザボールの動き。ボヌッチを信用していなかったのかやたら持ち場を離れていたデ・リフトが空けたスペースに中盤からパレホが入り込んで同点に追いつく。
この場面は確かにデ・リフトの立ち位置もおかしいのだが、そもそもロカテッリがホルダーを空けすぎているのが問題。これだけフリーにすれば、裏を取られるのは当然だろう。だが、これはこの時のロカテッリの対応が悪いというよりは、深い位置のホルダーは無視してOKという原則をチームとして通していたゆえという感じ。
立ち上がりの先制点でどのようにプランを変更したかはわからないが、とにかく動かないでブロックを固める形でロースコアでの逃げ切りを図ったように見えたユベントス。撤退で固めるブロックは60分過ぎに崩壊し、得点を取る方法論も後半は見せることができず。攻守に物足りなかったユベントスがベスト8に相応しいかは2ndレグの結果を持って判断する必要がありそうだ。
試合結果
2022.2.22
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 1st leg
ビジャレアル 1-1 ユベントス
エスタディオ・デ・ラ・セラミカ
【得点者】
VIL:66′ パレホ
JUV:1′ ヴラホビッチ
主審:ダニエル・シーベルト