■対照的な両ストライカーの仕事
共に初戦を勝利で飾れなかったチーム同士の一戦。特にグループEの本命と目されていたスペインにとってはこの試合は是が非でも勝たなければいけない大一番だ。
スペインは第1節から1枚の入れ替え。右のWGをフェラン・トーレスからよりストライカー的なアルベルト・モレノに変更。逆サイドのダニ・オルモもワイドアタッカーというよりはストライカー気質が強い選手。3トップはナロー気味にエリア内を主な仕事場とする。したがって、大外は別の選手がカバーする2-3-5的な形で攻めに入るスペイン。
ちょっと不思議だったのは大外で張る役割と後方からサポートする役割の棲み分け。IHとSBが入れ替えながらやっていた印象だ。ジョレンテとコケの右サイドが入れ替えながらやっているのはわかるけど、アルバは大外を駆け上がりまくればいいのでは?と思ってしまった。最終盤はさすがに固定していたけども。
それでもサイドにおけるラインの上下動からエリア内への速いクロスまでのパターンは悪くなかったスペイン。特にモラタの抜け出しに合わせるパターンは非常にきれい。前節足りなかった前線のオフザボールの動きは明らかにこの試合で上積みが見られた部分である。ただ、とにかくシュートが決まらない。前後半通してPKも含めてシュートの外し方博覧会みたいになっていたのは切ない。先制点の場面を除けばそもそも枠に飛ばないシーンが多すぎる。サッカーが得点を競うスポーツでなければこのスペインは強いかもしれない。
そういった部分ではポーランドは対照的だった。スペインに対して大きな展開が決まり、薄いサイドを作ることさえできればシュートまで持って行けるポテンシャルは示した。だが、そこに至るまでのメカニズムが整備されていない。ワンチャンスで同点に追いついたレバンドフスキにモラタほどの決定機があればなぁと思ってしまう。
チャンスはあったが、フィニッシュが刺さらなかったスペインと届ければ一刺しするストライカーに届けることができなかったポーランド。後半の荒くて雑なプレーの応酬は、両チームのうまくいかなさが伝わってくるようだった。スペイン代表なのに、プレミアリーグみたいになっていたよ。交代選手が上手く試合に入れなかったスペインを見ると『まぁ、スタメンは妥当っちゃ妥当なのかな・・・』と思ってしまうのが切ない。
そういう意味では引き分けはこの試合の内容を反映したものとしてはしっくりくる。共に最終節に突破の可能性は残したものの、明るく前を向ける出来ではないことは確かである。
試合結果
スペイン 1-1 ポーランド
エスタディオ・ラ・カルトゥーハ
【得点者】
ESP:25′ モラタ
POL:54′ レバンドフスキ
主審:ダニエレ・オルサト