■後半早々の先制点で反撃の機運を抑える
第1節の最終日はスイス×カメルーンからスタート。同じ組にブラジルが同居することもあり、ここは負けられない一戦。仮に敗れてしまえば、GS突破にはブラジル相手に勝ち点をとることが必要になってしまう。
ボールを持つことになったのはスイス。これに対してカメルーンはミドルブロックで対抗。彼らのライン設定はトップがハーフウェイライン付近で、バックラインがPA手前くらい。低くもないが、高くもないというくらいのラインの高さでスイスを迎え撃つ。全体をコンパクトに維持しようというのがカメルーンのスタンスである。
スイスはジャカがいたせいかもしれないが、ややアーセナル風味があった。低い位置から高い位置まであらゆる範囲をカバーするジャカのスタンスはアーセナルとほとんど一緒。トップ下のソウがそのジャカの振る舞いに合わせて右サイドに流れることで左右に三角形を作る。この配置のバランスなどはアーセナルと結構似ていた。トーマスと比べるとフロイラーはだいぶ動いていたけども。
サイドを使いながら慎重に試合を進めていくスイス。サイドアタッカーは動き出しも多くボールをつけるのには困らなかったが、サイドからの打開には苦戦。独力で崩せる選手はおらず、コンビネーションからエリアに入っていく形も未整備。落ち着いたポゼッションから敵陣に入り込むことはできるが、そこからPA内に侵入していくフェーズはまだ未完成ということだろう。
スイスにボールを持たせることはやぶさかではなかったカメルーンだが、自らがボールを持つフェーズにおいてはゆったりと進めることが多かった。パス交換からフリーの選手を作ると、前方のアタッカーの裏抜けでスピード勝負に挑む。
アクセントになっていたのはムベウモ。ポストプレーで味方を生かすプレーに徹することで、テンポの調整とフリーの選手を作っての再加速に貢献。スピード勝負一辺倒にならなかったのは彼の貢献が大きいと言えるだろう。
前線のスピードではスイスのバックラインに対して優位をとっているカメルーン。ややアクシデンタルに前線のアタッカーが独走するチャンスを得ることもできていたが、立ちはだかったのはゾマー。代表の国際大会ではすでにお馴染みのスイスの絶対的な守護神がカメルーンの決定機をことごとく防いでいく。
スイスの守備もそこまでピンチが多くなるクオリティではなかった。高い位置からプレッシングにはいくけども、深追いはせずカメルーンの進撃に間に合わせる形でリトリートを行う。絶対的なスピードでは劣るものの、セットした守備においてはきっちりを守ることを徹底できていたと言えるだろう。
スコアレスで迎えた後半。早々にスコアを動かしたのはスイス。ジャカが中央の隙間を見事につく縦パスから逆サイドへの展開の引き金をひく。右サイドに展開されたボールの折り返しをフリーで受けたエンボロが決めてついに先制。スイスは後半の早い時間帯で前に出る。
後半はやや積極的なプレスに出ていったカメルーンであるが、前線が深めに追った結果のこの失点は彼らに重くのしかかったように思う。失点後はプレッシングも控えめになってしまい、後半頭のプレスの勢いは削がれてしまった。
勢いを失ったカメルーンに対して、スイスは堅実な試合運びで対抗。リードを手堅く守りきり、見事に白星発進に成功した。
試合結果
2022.11.24
FIFA World Cup QATAR 2022
Group G 第1節
スイス 1-0 カメルーン
アル・ジャヌーブ・スタジアム
【得点者】
SWI:48′ エンボロ
主審:ファクンド・テージョ