■有終の美を許さず、意地を見せたコソボ
前節でW杯出場の目が潰えてしまったギリシャ。コソボとの試合が消化試合になったのは不本意だろうが、有終の美を飾るべく主導権を握ったのはホームのギリシャの方だった。
コソボの4-4-2のプレッシングに対して、ギリシャはWBを経由しながら大外を回しつつボール保持。ハーフスペースの裏抜けを噛ませることでギリシャはコソボの最終ラインに穴をあける。
相手に裏を意識させることができればこちらのもの。コソボのCHが最終ラインに意識を向けることを利用して、今度はマイナス方向のIHに前を向かせてボールをもつ形を作りボール保持を進めていく。
コソボの最終ラインは4枚、かつ同サイドにギリシャがきっちり寄せる形でポゼッションをするので、逆サイドは空くことが多い。ファーにクロスを上げることでミスマッチを作りゴールに迫るのがギリシャの狙いだった。特に印象的だったのはペルカス。保持よし、飛び出しよしでコソボの守備の切れ目に顔を出し続けた。
ラシツァのカウンターから活路を見出したいコソボ。動き出しでギリシャのDFラインを置いてけぼりにすることはできなくもないが、タメができていないのでそこから先に手詰まりになる。
そもそもコソボは予選のもっと手前の段階では保持でサイドを変えながら徐々に前進していく形はもっと上手いチームだと思ったので、そこが試合を追うごとに失われてしまったのは残念である。
ギリシャ優勢の中で、ホームチームに先制点が生まれたのは前半終了間際。コソボのリトリートが遅れたことで、4−4ブロックの形成が不安定に。ここも持ち上がったのはペルカス。彼のクロスからニアに潰れたマスラスのゴールでギリシャが先制する。
後半もペースは変わらずギリシャ。動き出しが早く大きいシャラのところを狙い目に、ギャップをついてパスワークで安定したポゼッションを見せる。このまま、ギリシャが試合を掌握して終わりそうになったところでセットプレーでやり返したコソボ。意地のラフマニのゴールでタイスコアに持ち込む。
そこから先は試合は一気にアップテンポに。コソボが裏への浮き球を軸にゴール前の崩しを見せると、ギリシャはマスラスへの長いボールから一気に前進を狙う。交代選手がエネルギッシュなプレーを見せたこともあり、ゴール前でのプレー自体は増えた終盤戦。しかし、試合はそのまま終了。最終節は痛み分けで予選の全日程を終えた両チームとなった。
Pick up player:アミル・ラフマニ(KOS)
試合全体で見ればペルカスも良かったけど、最終ラインを支え続けたラフマニの一発はエモかった。
試合結果
2021.11.14
カタールW杯欧州予選 第10節
ギリシャ 1-1 コソボ
アテネ・オリンピック・スタジアム
【得点者】
GRE:44′ マスラス
KOS:76′ ラフマニ
主審:アレクセイ・クルバコフ