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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 Asia qualifiers」~カタールW杯 アジア最終予選 グループB 第6節 ベトナム×サウジアラビア~ 2021.11.16

■5-3ブロックを成り立たせる前提

 最終予選、ここまで全敗のベトナム。今節は無敗で首位をひた走るサウジアラビアとのハードなチャレンジとなる。

 立ち上がりからベトナムにとっては厳しい戦いになることを予感させられる戦いだった。サウジアラビアの2CHと2CBの3-1と2-2の配置を駆使するビルドアップに対して、うまく前からプレスがかからずに苦戦する。

 ベトナムの非保持における弱点は3センターの守備の練度である。3センターは通常、IHがホルダーとマッチアップする際に、アンカーが斜め後方にカバーに入りながら守るのが普通。

 しかしながら、ベトナムはこのカバーリングがフラットになることが多い。そうなるとボール保持側は簡単にボールを縦に入れることができる。5-3ブロックは本来、中央にボールを入れさせない代わりにボールを外に追いやりながら、大外を壊すチャレンジを保持側に強いることができるというメリットがあるのだが、このベトナムのように中央を閉じる!という大前提が成立していない場合は話が別である。

 前節の対戦相手である日本はこの弱点をろくにつくことができず、ライン間にパスを入れることをしなかったが、サウジアラビアは積極的にこの縦パスを入れてくる。ライン間で簡単に前を向かれてしまっては非保持側は裏を取られるリスクが出てきてしまう。そうなると5枚という最終ラインの枚数はラインが乱れるだけの因子が多いだけ!ということになってしまう。

 というわけでこのライン間には最終ラインが慌てて飛び出す格好になるベトナム。サウジアラビアがその飛び出してきた最終ラインの選手をかわして先制点に結びつける。ベトナムとしては中盤の守備で穴が空いてしまい、その穴を埋めようと飛び出してくる最終ラインの守備にさらに穴を開けてしまうという連鎖。サウジアラビアはこのベトナムの穴の連鎖をしたたかにつくことができたということである。

 前半は専制守備からのカウンターでチャンスを伺っていたベトナム。この形でも十分にチャンスは作ることができる。だが、後半になるとベトナムは徐々に保持から押し込むように。3バックからWBにボールを繋ぎ、サイドから抉るような形でサウジアラビアを攻め立てる。

 サウジアラビアはこれに対して強気なやり方に。前半以上に保持における前方へのオフザボールの量を増やして、積極的に2点目を狙いにいく。得点のチャンスは増えるが、失点のピンチも増えるこの方策。ベトナムは前半から引き続きカウンターからも十分にサウジアラビアの脅威になった。

 だが、ゴール前になると精度、強度が共に足りず枠内シュートにいけないベトナム。サウジアラビアは日本と同じように後半のベトナムに慌てる場面もあったが、逃げ切りに成功。前半は日本と異なる保持のクオリティを見せつけ、後半は日本と同じように苦しんだサウジアラビアが無敗をキープして首位を堅持。終盤戦に向けたアドバンテージを得て11月シリーズを終えた。

試合結果
2021.11.16
カタールW杯アジア最終予選 第6節
ベトナム 0-1 サウジアラビア
ミー・ディン・スタジアム
【得点者】
KSA:31′ アル・シェフリ
主審:ハンナ・ハッタブ

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