■会心の出来とハットトリックで上位撃破
ここ数ヶ月はかなり苦しい内容の試合が続いていたリーズだったが、この試合のリーズはなかなかに会心の出来だったようにように思う。立ち上がりから保持は非常に安定したし、テンポも良く正確にパスを繋ぎながら敵陣に攻め込んでいく。
人へのマークが甘い立ち上がりのウェストハムは素晴らしい立ち上がりを見せたリーズにあっさり飲み込まれてしまったように思う。まず、シンプルにボールを取り返せない。リーズは序盤のペースのまま、押し切っての先制。エイリングからの大きな展開をラフィーニャまで繋ぎ、後方から攻め上がってきたクリヒに落とし、そこから一連の流れをハリソンが決めた。非常にリーズらしいダイナミックな崩しで先制する。
だが、リーズにアクシデント。前半のうちに2人が負傷交代。控え選手はまだ経験が浅く、特にビルドアップのボールの引き出し方がうまいフィルポの不在はリーズに影を落とすこととなった。
立ち上がりに身構えたことが裏目に出てしまった感のあるウェストハムだが、徐々に巻き返し。マンマーク要素が強いリーズに対しては、1トップが2人を監視するCBから運びマンマークをずらすことと1on1を制することができる前線の起点を作ることが王道。
後方から持ち運ぶディオプや前線で体を張るアントニオなど、ウェストハムの攻撃はリーズ攻略を正当に踏襲していった感じ。ただ、ラストパスのところで粗さが目立ち、なかなかチャンスに結びつけることができない。
ただ、リーズはセットプレーの守備に怪しさがあった。CKからフリーとなったドーソンのシュートは幸運にも外れたが、直後に同じく空いたボーウェンからウェストハムは同点に追いつく。だが、リーズもセットプレーからやりかえし。エイリングの折り返しを再びハリソンが押し込んで再びリードを奪う。
後半は対人への寄せも強化したウェストハムがさらに主導権を引き寄せる。ペースを握り、ショートカウンターから攻撃の機会を増やす。トランジッションからフォルナルスの同点弾が生まれたのは52分のことだった。
攻守の切り替えで劣勢に立たされたリーズだったが、勢いに乗るウェストハムをひっくり返すカウンターで再び勝ち越し。前半から効いていたディオプの持ち運びからの縦パスを引き取ったヴラシッチからボールを奪うとカウンターを発動。ゴールを決めたのは三度ハリソンだった。
以降も攻撃的な姿勢を失わない両チーム。リーズは4点目を決めたかと思ったが、クリヒのシュートはラインを越える前にオフサイドポジションのロドリゴに当たっており取り消しとなった。
救われたウェストハムはここから攻勢に。前半途中から攻め上がりが効いていたライスが前線に厚みをもたらす。点を取るためにアタッカーが投入されると、得点力は随一なのにマルチ性があるという理由だけで、アントニオがサイドに追いやられるというウェストハムのパワープレーあるあるはこの日も発動した。なんでなんだろうこれ。
撃ち合いとなった試合だったが、なんとか逃げ切ったリーズ。負傷者は心配だが内容を伴う上位撃破で勢いに乗れそうな勝利を挙げることができた。
試合結果
2022.1.16
プレミアリーグ 第22節
ウェストハム 2-3 リーズ
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:33′ ボーウェン, 52′ フォルナルス
LEE:10′ 37′ 60′ ハリソン
主審:マイク・ディーン