一瞬の勢いでは3点差は跳ね返せない
W杯で選手としての価値を大きくあげたマック=アリスターこそ休暇中ではあるものの、それ以外のW杯戦士は無事に戻ってきたブライトン。いつの間にかやたらと怪我人が増えているサウサンプトンのホームに乗り込んで再開初戦に挑む。
序盤こそサウサンプトンがセットプレーからチャンスを作り出す流れになるが、ボール保持で主導権を握ったのはブライトンである。バックラインのビルドアップは相手のプレス隊と噛み合う形でのCHとCBのスクエアを大きく崩すことはなかったが、GKのサンチェスまで戻すビルドアップを行うため、大事なところでサウサンプトンのプレッシャーがかからない。陣形としては敵陣深くまで追い込むようなところまで持ち込めてはいるが、ブライトンのビルドアップには余裕があり、下手な失い方をすることはなかった。
アタッキングサードにおいてチャンスのキーマンになったのは三笘。相手の背後をとってアタッキングサードに迫っていく動きと、背中で相手を背負いつつエストゥピニャンやトロサールを相棒に攻撃を加速させていく。
中央からワイドへの展開も安定していたブライトン。中盤もパスワークから問題なくフリーマンを作ることができていたし、決め手となる場所にボールを届ける部分もスムーズにできていた。先制点は右サイドのマーチのクロスから。合わせたララーナは古巣にリスペクトを払うノーセレブレーション。ブライトンは優位を取ったサイドからきっちり得点に繋げていく。
ブライトンの2点目は左サイドから。速い攻撃からボールを引き取った三笘がエストゥピニャンのオーバーラップを活用し、クロスからオウンゴールを誘発。三笘が一度減速したことでエストゥピニャンのオーバーラップのスピードはよりサウサンプトンに効くように。止まれるドリブラーは貴重である。
プレスは回避できるし、アタッキングサードの武器もあるというブライトンに比べると、サウサンプトンの攻撃は全体的に単調。ただただ前線に蹴っ飛ばすボールから偶発的に作り出すチャンスを待っている感があり、これではブライトンとの間にチャンスの数の差が出てきてしまうのは仕方がない。44分のようにウォーカー=ピータースが一列前で受けるシーンを増やしたいところである。
ブライトンはマーチやエストゥピニャンなど時折軽いファウルで自陣深い位置からFKのチャンスを与えてしまったのが気がかり。ウォード=プラウズを擁しているチームに対してはあまりいい対応とは言えないだろう。ただ、そうした「待ち」以外の要素でサウサンプトンはチャンスを呼び込めず。展開を掴めないまま2点のビハインドでハーフタイムを迎える。
ハーフタイムに2枚の選手交代を敢行したサウサンプトン。中盤を菱形に変更し、4-4-2のダイヤモンドで中央に人を集める。立ち上がりこそ、この奇襲での攻勢が効いていたサウサンプトンだが、左右のワイドのスペースをブライトンに明け渡すことになる。きっちりと左右に揺さぶることができれば、前半以上にワイドで仕掛ける形は作りやすい。慣れていくと左サイドの三笘を軸にチャンスを作っていく。
試合を決定づける3点目を決めたのは右サイドのマーチ。ワイドからのカットインから目の覚めるようなミドルを決めてさらにサウサンプトンを突き放す。
ほとんどこれで試合は決まったように思えたが、エドジーのPK獲得からサウサンプトンは反撃ムードを作り出す。追撃弾を押し込むと、この一連のプレーで頭に血が昇ったサンチェスに積極的にプレッシャーをかけることでブライトンを慌てさせる。
しかし、反撃ムードは10分そこそこで鎮火。3点差を一瞬の勢いでかき消そう!というのは少々虫が良すぎる話。これ以上、サウサンプトンは差を詰めることができず、2点のビハインドを背負った状態で試合終了のホイッスルを聞くことになった。
ひとこと
全体的にブライトンの完勝。欲をいえば前後半のどこかで左サイドのアタッカー陣は数字に残る結果が欲しかった。サウサンプトンはわずかしか準備がなかった前節のリバプール戦の方がやりたいことが見えていたのが気がかりである。
試合結果
2022.12.26
プレミアリーグ 第17節
サウサンプトン 1-3 ブライトン
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:73′ ウォード=プラウズ
BHA:14′ ララーナ, 35′ プロー(OG), 56′ マーチ
主審:ロベルト・ジョーンズ