船出は劇的な逆転勝利で
今節、唯一のボトムハーフ同士の対決。残留ギリギリの17位のエバートンがホームに迎えるのは、ロペテギを新監督に招聘して逆襲を誓うウォルバーハンプトンである。
立ち上がり、ボールを握ったのはホームのエバートン。バックラインが広く距離をとり、GKを絡めたビルドアップを行う。中盤や前線は中央に降りながら縦パスを引き出し、バックラインからの縦パスのターゲットになる。
ウルブスはそれに対して、リスクをとったプレッシングでエバートンのリズムを乱そうと試みる。エバートンのプレス回避の勝率は半々で、ボール保持側と非保持側のどちらかに主導権があるかは見えてきにくい状態になっていた。
そうした中でセットプレーから先制をしたのはエバートン。ヘディングでミナが先制点を奪うことに成功する。先制点を携えたエバートンはピッチを広くする横パスを多用しながらポゼッションの時間を長くしていく。ウルブスの前プレは比較的間延びしていたので、ボールを奪われないという観点で言えば、エバートンの保持は比較的うまく行っていたと思う。ただ、あれだけ引きつけることができているのならば、フィニッシュまでなんとか持っていきたいところだけども。
ウルブスもネベスのサリーから3-2-5に変形する形でボールを持つことができていたので、試合は全体的にトランジッションが少ない展開になったと言えるだろう。保持においてもそこまで思い通りの流れを描けていない中でウルブスが同点に追いつけたのはなかなか幸運。セットプレーからモウチーニョ→ポデンスのロブ軌道のスルーパスで前半のうちにタイスコアに成功する。
ただ、追いつかれたとしても流れは大きくは変わらない。ペースを握っているのはどちらかといえばエバートン。保持時における1列目を超える安定感でポゼッションから押し込むところまでは持っていくことができていたおり、ウルブスはなかなかペースを持ってくることができなかった。
それでも同点の状況が続くと、エバートンは後半にトランジッションの強度を上げるやり方に舵を切るように。うまく時間を運んでもアタッキングサードで台無しになっていたのでカオス要素を増やそう!というエバートン側のプラン変更は理解ができる。
ウルブスにとってもこの変更はありがたい。スピード豊かなアタッカーとオーバーラップができるSBを生かしたプランで前半よりは得点のチャンスができるように。
どちらとも言えない展開が続く中で、動いたのはウルブス。ゴメスを投入し5-4-1にシフト。試合を落ち着かせる方向に進める。このまま試合が進むと危ういという肌感覚がロペテギの方にはあったのかもしれない。もしくは引き分けやむなしと考えたか。
ウルブスに対して攻め込み続けるエバートンだが、最後まで決め手となる攻撃を仕掛けることはできず。逆に後半追加タイムにカウンターからウルブスにロングカウンターを仕掛けられて失点。劇的な勝利をプレゼントする。
ウルブスは機会は少なかったものの決勝点となったカウンターは確実に攻め上がりに人数をかけることができており、確固たる決定機だったと言えるだろう。ロペテギの船出はグディソン・パークでの劇的な逆転勝利となった。
ひとこと
保持での安定感と敵陣での期待感のなさをどっちも感じたエバートン。やはりキャルバート=ルーウィンがいて、ハイクロスを脅威の武器にできないと難しいところもあるように思える。
試合結果
2022.12.26
プレミアリーグ 第17節
エバートン 1-2 ウォルバーハンプトン
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:7′ ミナ
WOL:22′ ポデンス, 90+5′ アイト=ヌーリ
主審:クレイグ・ポーソン