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「局面を引き寄せられるか勝負」~2022.12.31 プレミアリーグ 第18節 ブライトン×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第18節
2022.12.31
ブライトン(7位/7勝3分5敗/勝ち点24/得点26 失点20)
×
アーセナル(1位/13勝1分1敗/勝ち点40/得点36 失点12)
@アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去5年の対戦でブライトンの5勝、アーセナルの3勝、引き分けが3つ。

ブライトンホームでの対戦成績

 過去10戦でブライトンの4勝、アーセナルの4勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

  • ブライトンは直近5試合のホームのプレミアでのアーセナル戦で1敗のみ(W2,D2)。唯一の負けは2020年12月の1-0。
  • ブライトン(W3,L4)はリバプール(W17,L25)、マンチェスター・ユナイテッド(W17,L26)と合わせてアーセナルが負け越している3つのチームのうちの1つ。
https://www.bbc.com/sport/football/64083699

スカッド情報

Brighton

  • モイゼス・カイセドは累積警告で出場停止。ビリー・ギルモアにスタメンデビューの可能性。
  • ダニー・ウェルベックは筋肉系のトラブルで出場可否は不透明。
  • アレクシス・マック=アリスターはワールドカップ後の休暇の為、起用できない予定。

Arsenal

  • エミール・スミス・ロウと冨安健洋は当日判断。
  • ガブリエル・ジェズスとリース・ネルソンは欠場。

Match facts from BBC sport

Brighton

  • 7位で年を越せば81-82の9位を超えて、最も高い順位での越年となる。
  • 直近6年のその年最後の試合で1回しか負けていない(W3,D2)。しかし、彼らが唯一敗れているのが2020年のアーセナル。
  • 2011年にコベントリーに敗れて以降、初めての大晦日の試合。
  • 1988年のバーミンガム戦が大晦日最後のリーグ戦勝利。
  • ポッター時代にはラスト7試合無敗(W4,D3)だったホームゲームでデ・ゼルビは4戦2敗している(W1,D1)
  • レアンドロ・トロサールが25得点目のプレミアでのゴールを決めればグレン・ムライとニール・モペイの2人に並ぶクラブ記録。
https://www.bbc.com/sport/football/64083699

Arsenal

  • 越年を首位で迎えることが確定。元日に首位のチームは直近13年で9回リーグを制している。
  • 今季の8つのアウェイゲームのうち6試合がクリーンシートでリーグ最多。それ以前の19試合と同じ数。
  • 全試合リーグ戦で得点している唯一のチーム。開幕から15試合の連続得点は18試合を記録した07-08以来。
  • リーグ戦での大晦日の試合は7戦2勝(D3,L2)。88年のビラ戦での3-0での勝利と2011年のQPR戦の1-0での勝利。
  • エディ・エンケティアは直近8試合のリーグ戦での先発で6得点を決めている。
https://www.bbc.com/sport/football/64083699

予想スタメン

参考記事

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展望

縦パスをジャブに穴を開けていく

 日本では年越し直後の一戦になるが、イギリスでは2022年のラストマッチになるこの試合。アーセナルにとってはひっそりといつの間にか負けてしまったカラバオカップのリマッチとなる。

 今季はシーズン序盤にポッターを引き抜かれるという憂き目にあったブライトン。代わりに新監督となったデ・ゼルビは就任当初こそ苦しんだが、ポッターと対峙したチェルシー戦で初勝利を挙げると、徐々にチームが軌道に乗っていく。今は4位とは少し差がついてはいるが、周りのライバルがヨーロッパの大会を抱えているチームばかりということを踏まえれば、CL争いを夢見ることもできる位置につけることができているとも言えるだろう。

 今のブライトンの強みはなんと言ってもサイドアタック。大外から突撃できるアタッカーは三笘、マーチ、トロサール、ランプティなど非常に豊富。左右で2セットずつ用意することは簡単で、選手を入れ替えながら強度を維持することが比較的容易にできる。

 サイドアタックは個人というよりもユニットで強みがあるのが今のブライトン。特に左サイドのエストゥピニャンはオーバーラップのスピード感と味方を追い越すタイミングが抜群であり、大外以外でもプレーすることができる三笘とトロサールを解放することができる。

 彼らを操ることができる選手が中央にいるのもブライトンの強みである。三笘、エストゥピニャンとの相性が抜群なのがカイセド。サイドから内側に旋回するようなランに対してのラストパスを合わせる力が抜群。自身のダイナミズムを活かす以外にもこうしたサポート役としての能力が高いのも彼がメガクラブからの視線を集めている理由である。この試合にはいないため、ブライトンはここをどうカバーするかも試合の大きなポイントになるだろう。

 ポッターからデ・ゼルビに監督が変わったことでやや変化があったように思えるのはこの強力なサイドアタックを活かすための方法論である。大きなサイドチェンジをいかしながらサイドアタックを狙っていた前監督時代に比べると、デ・ゼルビの下では縦パスをキーにしながら相手を動かしていく形がメイン。縦パスをリターンを挟みながら繰り返し入れていくことで、相手の守備ブロックに穴を開けていく。何本かジャブ気味のパスを打ち、相手が動いたところで本命の縦パスを入れる。こうして中央で起点を作ることでサイドでオープンな選手を作ることができる。これがデ・ゼルビ政権におけるサイドアタックのチャンス構築である。

 非保持は試行錯誤している感もある。シティ戦ではオールコートマンツーで撃沈したようにまだバランスを見誤ることもしばしば。ボトルネックになっているのはバックラインの強度のところである。ハイプレスに対応しきるほど身体能力が高い選手が揃っているわけではなく、特に機動力勝負に持ち込まれるとボロが出やすい。理想となる形はボールハント力の高い中盤に縦パスを入れさせる形に誘導してのショートカウンター。ある程度網を張って迎え撃つ形ができればいうことはない。

 ただ、引いて受けたら受けたで難があるのが今のブライトンである。保持では強みになる左サイドのユニットは非保持では弱みになる。エストゥピニャンは対人とクロス対応どちらにも不安があるし、三笘もその穴を埋めるには流石に荷が重い。ワイドの守備対応はブライトンのアキレス腱になりうる部分と言えるだろう。

横スライドにはメリハリをつけて

 ポッター時代とデ・ゼルビ時代で共通しているブライトンの強みは保持における柔軟性である。カラバオカップのアーセナル戦ではミドルゾーンでCFのポストを駆使したサイドチェンジを巧みに使い、サイドに揺さぶりながらアーセナルのウィークサイドであるセドリックのサイドを執拗に攻撃していた。このプランはアーセナルのバックラインの横スライドの多さを突くためのものだろう。

 こうした柔軟な対応は中央にマルチロールが多いというブライトンの強みに基づいたもの。グロスやこの試合には間に合うかはわからないがマック=アリスターなどはあらゆるポジションでのプレーに対応できる選手。彼らが軸となり、相手に合わせた戦い方を柔軟に変えることができるのである。

 アーセナル相手に合う戦い方として、上記のカラバオカップのプランは相変わらず有望なので、この試合でも再現される可能性はあるだろう。アーセナルとしてはこのプランの実装は防がないといけない。ポイントになるのはサイドチェンジの起点になるCFを潰せるか否か。カラバオカップではエンシソにやりたい放題やられてしまった感があまりにも強い。ウェルベック、ララーナなどより駆け引きに長けたベテランの存在はアーセナルにとってはより厄介だ。

 アーセナルからすると、前節のウェストハム戦での失点シーンでアントニオにあっさりとボールを収められたのは反省要件。サリバにはここから再びコンディションを上げていって欲しいところである。潰しの甘さを見せてしまうとララーナやウェルベックに簡単に逆サイドまで運ばれてしまうだろう。

 サイドチェンジにはスライドする前に中央で潰して対応。ただし、サイドアタック自体には厚みがあるため、逆にアーセナルはきっちりスライドしながら対応しなければいけない。こうしたメリハリのある対応が理想である。

 逆にアーセナルの保持の狙い目はブライトンのCBの縦パスからのショートカウンター。コルウィルが先発した場合、ビルドアップの局面で強引な中央へのパスを選択する傾向が強いので、網を張ればショートカウンターに持ち込むことはそこまで難しくはない。積極的に狙っていきたいところだ。

 ボール保持においては広くサイドからきっちりと持ち運ぶことが大事。中央に強引に刺してカウンターを食らう形は避けたい。外から運び、確実に敵陣勝負に持ち込みたい。押し込んだ後はサイドでのデュエルに挑みたい。去年は苦戦したが、エストゥピニャンはククレジャとは異なる。このサイドはサカに勝機があるはずだ。なので、計算できるサイドアタックまできっちりと持っていきたいところだ。

 ただし、サカに安定してデュエルの局面を用意できるかどうかはわからない。ウェストハム戦は押し込んだ相手をどう崩すか?の勝負になったが、ブライトン戦は自分たちが保持で押し込む局面までを作れるかが大事。自分たちが望む局面を引っ張って来れるかどうかが主導権争いのキモになるだろう。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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