通用しない相手へのプランB
前節の劇的な勝利で最下位を脱出したウルブス。ロペテギのホームデビュー戦となる今節はマンチェスター・ユナイテッドを迎えての試合となっている。
互いにボール保持のやり方を模索する立ち上がりとなった序盤戦。どちらのチームも高い位置からプレッシングをかけていく意識が強く、相手の保持を咎める流れとなっていた。
前半により明確に保持で打開ができていたのはウルブスの方。バックラインは広がりながら相手のFW陣を引き付けていく。ユナイテッドは人を捕まえる形でビルドアップを阻害していくが、ウルブズがGKを積極的にビルドアップに絡めていたり、アンカーのネベスが最終ラインに落ちる動きをするなどユナイテッドのマンツーを乱す要素を持っていた。
ウルブスのボール保持はむしろユナイテッドが人についてくることを利用しているものだった。前線の動きから中央のユナイテッドの選手をどかし、空いた中央のスペースに入り込む。この形を繰り返すことでウルブスはバイタルを中心にチャンスを迎えていた。
ユナイテッドの非保持はマンツーにおける決まり事が曖昧だった。相手が動くときにどこまでついていくかが個人によって異なり、マークを捨ててまで深追いする選手もいれば、DFラインが出ていったスペースを埋める中盤の選手がいたりなど、人によってばらつきがある。ウルブスにとってはマンツーの意識のばらつきは活用できるものである。大きな展開でズレを作り、中央にパスを差し込んで前進する形をよりうまくつくれていたウルブスだった。
一方のユナイテッドの保持はウルブスのプレスをずらす前に蹴り切ってしまっていた。ウルブスもハイプレスを早々に引き上げて4-4-2気味のブロックになっていたため、ユナイテッドが保持でギャップを生かすという形にはならなかった。優位なのはウルブスではあったが、バックラインの守備はシュートブロックが間に合っており、ユナイテッドは最後の砦をきっちり守ることができている。
ユナイテッドがそうした中でもサイドでの優位を見出すことができていた。右サイドのアントニーを使った押し下げから、ウルブス陣内に入り込む機会もちらほら。前半終了間際にはアントニーとマルシャルがそれぞれ決定機を迎えることができていた。
迎えた後半はユナイテッドがハイプレスベース で巻き返す。ウルブスは後半には運動量が低下。大きな展開は減っていき、ハーフタイムに投入されたアダマ・トラオレ頼みの前進が増えていく。
逆にユナイテッドは押し込みながらチャンスを作る形が増えていく。右のアントニーに加えて、左サイドに投入されたラッシュフォードを使った両翼の攻撃からウルブス陣内でのプレータイムが増加。明らかに後半はペースを取り戻す。そして、決め手になったのはラッシュフォード。左サイドからのカットインで強引にウルブス陣内をこじ開けてみせた。
ウルブスは5-4-1からロングカウンターという前節と同じプランでの連勝を狙っていたが、ラッシュフォードのシュートも防げず、得点機会も作れない。アイト=ヌーリが抜け出しかけるような前節と似たような場面はあったものの、最終的にユナイテッドの守備陣に咎められていた。エバートンには通用してもユナイテッドには通用しないということだろう。
終盤はセットプレーからチャンスを迎えたウルブスだったが、なんとか凌いだユナイテッド。ウルブスはロペテギのホーム開幕戦を勝利で飾ることができなかった。
ひとこと
前節と同じプランを敷いてきたウルブスだけど、現状ではこれしかないのかなと思う。わかりやすく言えば、Aプランが90分持たないから仕方なくプランBを使いながら90分を持たせている感がある。特に終盤の過ごし方に能動的に脅威を突きつけるプランが欲しい。
試合結果
2022.12.31
プレミアリーグ 第18節
ウォルバーハンプトン 0-1 マンチェスター・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
Man Utd:76′ ラッシュフォード
主審:ロベルト・ジョーンズ