■前線の奮闘が通用し、最下位脱出
6試合連続で勝ち点なしどころか得点もないノリッジ。そんなノリッジと今節対戦するのは直近12試合でわずかに1勝の15位と同じく苦しんでいるエバートンである。苦悩の両チームにとっては何かきっかけをつかみたい一戦となった。
スミス監督就任後のノリッジは積極的に保持に対してここまで取り組んでいるものの、なかなか実になっていない。ノリッジのポゼッションが苦しいのはバックラインでやり直しをしている最中に、プレスをかけられると苦し紛れに前線に蹴るから。そして前線がそのボールを収められないからである。
だけども、この日は少し様子が違った。プレスをかけられて苦し紛れに前線に蹴らされるところまでは同じ。しかし、そこから前線の選手が体を張ることで相手を背負いながらキープすることができた。エバートンは正直組織的な守備は出来ないチームではあるが、対人ではどちらかといえば強みがあるチームだと思っていたので個人的には結構想定外の展開。
新加入のマイコレンコあたりがなかなか対応に苦慮するのは理解できるが、アンドレ・ゴメスやコールマンあたりがあっさり当たり負けするのは切ない。ちなみにマイコレンコのところも彼自身のパフォーマンスには理解を示せても、ここにいるはずのディーニュがいないということには理解を示せないサポーターも多いはずである。
いつもと比べて前進が容易だったノリッジ。ディーニュがいるはずだったエバートンの左サイドから2対2をあっさり制して、オウンゴールを誘発し7試合ぶりの得点を挙げる。
すると直後に追加点。右サイドのゴードンとコールマンの連携ミスを利用して、カウンターを発動すると最後はアイダのゴールで2点目。1点目でオウンゴールに関与したキーンは2失点目ではプッキに気を取られて通されてはいけないファーのパスコースを空けてしまうという踏んだり蹴ったりな出来だった。
攻撃でもエバートンは不振。コールマンを上げる3バック風味で前進を狙うが、どこをどう経由して前進をしたいのかが全く見えてこない。唯一の糸口となっているグレイがボールを引き取ってドリブルを仕掛けてファウルをもらいFKからロンドンとキャルバート=ルーウィンめがけて放り込む!という戦い方になってしまう。
むしろ、この攻撃を迎え撃ってアーロンズを軸に右サイドから反撃するノリッジの方が2点リードも落ち着いて試合を運んでいると形容できたくらいである。
後半も流れは大きく変わらず。リードしつつもプレスラインを下げないノリッジの奮闘が光る。アグレッシブな姿勢で後半もチャンスを引き寄せていた。前線ではサージェントが体を張りターゲットマンとして躍動していた。
アーロンズが負傷交代で下がるとさすがに押し返すことは難しくなったが、エバートンの反撃をリシャルリソンのオーバーヘッド1点にとどめたノリッジ。久しぶりの勝利で最下位からの脱出に成功。一方のエバートンはこの敗戦を受けてベニテスを解任。迷走するクラブ運営にファンが心配を募らせている。もしかしたらもしかするかもという悪い予感は早く拭い去りたいが・・・。
試合結果
2022.1.15
プレミアリーグ 第22節
ノリッジ 2-1 エバートン
キャロウ・ロード
【得点者】
NOR:16′ キーン(OG), 18′ アイダ
EVE:60′ リシャルリソン
主審:アンディ・マドレー