■決着は5分間で
プレミアの中でもいち早くコロナ禍見舞われてしまい、前節からようやく復帰したトッテナム。内容としては上々で、コンテらしさが浸透してきた様子が見てとれた。
この試合でも非常に積極的なスタンスを見せたトッテナム。パレスはいつも通り3-2-5型のビルドアップを行おうとしたが、トッテナムのトップの素早いチェイスに苦戦。アンデルセン以外のバックスはそこまでボール保持のプレス耐性が強いわけではないのでパレスは苦しむこととなった。
パレスは3-2-5型を解除して、4バックにシフトするなどの変化をつけて見せたが、トッテナムは3トップが同サイドにスライドしながらプレッシングをかけることができていたので、噛み合わせを外される形になってもビルドアップのルートを制限しながらプレッシングをかけることができていた。
トッテナムのビルドアップはホイビュアが落ちたところから最終ラインを押し上げる形。この試合で言うとタンガンガが持ち運ぶシーンが目立っていた。最終ラインの人数は割と過剰気味で、その分対角のパスを多用することで幅を使いながらの攻撃を駆使することができていた。幅を広げることができるならば、当然空くのは内側。スキップが反転することで前進をしたりなど、攻撃のバリエーションを増やした姿を見せることができていた。
コンテのトッテナムの旗印となっているWBのオーバーラップも好調。サウサンプトンに対して、トッテナムが優位な状況で試合が推移した。そんな状況が決定的になったのは32分のこと。カウンターから一気にゴールを陥れたトッテナム。パレスはトムキンスのボールロストが痛恨。懸念のバックラインの保持のスキルが完全に仇になってしまった形である。
このケインが決めた先制点は試合を決定づける流れが始まる合図となった。直後にルーカスが追加点を決めると、その3分後にザハが2枚目の警告を受けて退場することになってしまった。ケインの先制点からザハの退場まではわずか5分。パレスは5分間で1人の数的不利と、2点のビハインドをあっという間に背負うことになってしまった。
パレスは4-4-1で構えるも前半から状況は変わらず。これまで何度も指摘しているが、仕組みでうまくいかない時にこのチームが頼りたいのはザハ。10人で仕組みがうまくいかなくなってしまった状況で、頼りたい人がすでに退場していると言うのはなんとも皮肉である。
後半はソンの得点で仕上げを決めたトッテナム。3得点の完勝でロンドンダービーを制した。
試合結果
2021.12.26
プレミアリーグ 第19節
トッテナム 3-0 クリスタル・パレス
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:32′ ケイン, 34′ ルーカス, 74′ ソン
主審:ジョナサン・モス