異なるマンマーク破壊の流儀
ここまでCLは3連勝。ナポリは引き分け以上で突破が決まる。対するアヤックスはアムステルダムでまさかのナポリ戦大敗。6失点という屈辱的な結果に終わってしまった。ナポリの地とはいえ、意地を見せる必要がある一戦である。
どちらのチームも高い位置からのプレッシングから人を捕まえに行く意識が高かった。特に、この意識が強かったのはアヤックス。前から迷いなくハメていき、後方の同数は全く気にしない！という様子で相手を高い位置から捕まえに行く。
一方のナポリも強気である。アヤックスに比べるとまだ相手のCBにはボールを持たせることを許容していたが、ラスパドーリの隣にジエリンスキが出ていくことがかなり高い頻度で行われており、高い位置からプレスに行くことがこちらも常態化していると言っていいだろう。
高い位置からマンマークに行く対決で先に保持側として打開策を見出したのはナポリ。脱出のキーになったのはジエリンスキ。対面のアルバレスをターンで出し抜いて前を向くと、右サイドにオーバーラップするディ・ロレンツォに。中盤で浮いたところから右サイドを駆け上がるディ・ロレンツォに繋ぐというのはこの試合のナポリの脱出パターンの王道だった。
ディ・ロレンツォのオーバーラップからズレを作り、サイドからのワンツーで抜け出したのはロサーノ。ダイナミックな動きでマンマークを振り切り、ナポリがアヤックスの出鼻をくじく先制点を手にする。
アヤックスがジエリンスキを捕まえられない状態は続き、直後も右サイドを駆け上がるディ・ロレンツォに展開されてしまう場面も。アルバレスには試練の一戦という形になった。ナポリの追加点もジエリンスキを起点にするところから。今度は同サイドの裏抜けを使う形でボールを前に進むと、中央に待ち構えていたラスパドーリがダイナミックなシュートを決めて見せた。
2点を奪ったところでナポリはプレスのラインを下げる。敵陣ではマンツー風味強め、自陣ではリトリート型の4-5-1ブロックが強め。ナポリはこの試合では2点のリードを奪うと、後者の顔が色濃くなるというのがこの試合の1つのルールであった。
アヤックスはナポリに比べるとショートパスの連続で局面を打開しようとする意識が強かった。時系列的には逆だけど、この試合を見たのが12月中旬なので、オランダ代表のイメージに近いように思えた。左右は違うが左SBに馬力抜群のバッシーがいたのもどこかオランダとダブる。アヤックスは中央のパスを連続で繋ぎながら狭いスペースから抜け出す先を見つけていく。少ないパス数でダイナミックなライン破りをしているナポリとは少しマンマーク破りの流儀が違うように思えた。
2点ビハインドというスコアが動かないままの後半も同じ文脈で試合が続いていく。先に結果を手にしたのはアヤックス。押し込める状況からようやく左サイド経由で解決策を見つけ、最後はクラーセンが押し込む。
しかし、先に述べたようにナポリは1点リードの段階では積極的に前に出てくる。オシムヘン、エンドンベレといった交代選手を軸に高い位置からのプレスを再開。これにより再びペースはナポリに傾いていく。
そして、押し込むナポリはPKをゲット。エンドンベレのミドルがハンドを誘い、これをクワラツヘリアが決めてリードはまた2点差に逆戻りである。
2点差になりナポリがプレスラインを下げたことで再び押し込めるようになったアヤックスはすぐさまPKを獲得。ジェズスのホールディングをプロビーが誘発し、これをベルフワインが決めて見せた。
追いすがるアヤックスも健闘が光るが、最後に勝利を手にしたのはナポリ。復帰戦、途中交代でどうしても結果が欲しかったオシムヘンがバックパスをカットして4点目をゲット。オフサイド、シュートミスでチャンスをフイにした9番が最後に結果を出して試合は決着。アヤックスをナポリが本拠地で返り討ちにして、4連勝でGS突破を決めた。
ひとこと
マンマーク破りに両チームとも差が見られたのは面白かったが、広いスペースにきっちり逃すナポリの方が終始確実性があった。ロングカウンターの出足の良さも含め、そうしたカウンターの精度は今季の快進撃の原動力なのだろう。
試合結果
2022.10.12
UEFAチャンピオンズリーグ
Group A 第4節
ナポリ 4-2 アヤックス
スタディオ・サン・パオロ
【得点者】
NAP:4′ ロサーノ, 16′ ラスパドーリ, 62′(PK) クワラツヘリア, 89′ オシムヘン
AJA:49′ クラーセン, 83′(PK) ベルフワイン
主審:フェリックス・ツバイヤー
