■前後半で圧倒した中盤が完勝の源
両チームとも第1節と比べて大きく方針は変わらなかったように思う。イタリアは最終ラインからゆっくりとつなぎつつ、サイドから相手を押し込む。ハーフスペース付近の裏抜けかもしくは大外からSBがラインを押し下げるように抉る攻勢をかける。立ち上がりはやや右からの攻めが多いという左から攻めがちな前節との傾向の違いはあったが、大枠は同じといっていいだろう。
一方のスイスも第1節と同様、最終ラインからの縦パスでの前進を試みる。メンバー表だけを見るとジャカが司令塔となり、縦横無尽にパスを供給する役を命じられているように思うかもしれない。だが、組み立てにおけるこのチームのジャカの存在感はあまり大きくない。
相手のトップのプレスラインが中盤に設定されることが多く、ジャカにマークがつくことが多いこと、そしてプレッシャーを受けた状況でのプレーが不得手であるジャカをフリーにする仕組みを特にスイスが有していないことが大きな要因だと思う。そのため、後方から時間的に余裕があるCBが前線に縦のボールを付けるのが今回のEUROでのスイスだ。
第1節と似たスタンスで臨んだ両チーム。圧倒的に苦しめられたのはスイスである。イタリアは前線のプレスラインこそそこまで高くないものの、中盤のプレスの仕留め方が秀逸。ロカテッリ、バレッラのボールハント能力は抜群。個々のボールハントでスイスの攻撃はほぼ機能不全に陥っていた。第1節では推進力を発揮して大活躍したエンボロもボールが来なければ話にならない。
高い位置からのボールハントからの速い攻撃を活かして、イタリアは得点までたどり着く。ベラルディのタメから最後はロカテッリが走りこんでフィニッシュ。内容に見合った先制点を手にする。
後半のスイスは非保持で高い位置からのプレスを仕掛けることでイタリアの保持をひっくり返すことを狙う。しかし、ここはジョルジーニョを軸にイタリアの後方がロングボール、ショートパスを交えながら回避。10分もしないうちにスイスのプレスは交わされ、イタリアのロングカウンター祭りになってしまった。2点目をロカテッリが再度決めた時点で勝負は決しただろう。残りの時間も3バックを試しつつ、3点目を取ったイタリアの支配下だった。
前半と後半、それぞれでスイスの狙いを打ち砕いた中盤のトライアングルの活躍でイタリアがノックアウトラウンド進出一番乗りを果たした。
試合結果
イタリア 3-0 スイス
スタディオ・オリンピコ
【得点者】
ITA:26′ 52′ ロカテッリ, 89′ インモービレ
主審:セルゲイ・カラセフ