安全な最小得点差
片方が残留からは安全な距離を保っていて、片方は危機感がある状況。W杯明けの再開直後の段階では前者がリーズ、後者がフォレストのはずだった。しかしながら、今は立場が逆転。連勝で一気に順位を上げたフォレストとは対照的にリーズは未勝利が続き、気づけば降格圏がすぐそこまで来ている。
立ち上がりのリーズの勢いにはそうした危機感が溢れていたと言ってもいいだろう。ハイテンポで試合を支配し、フォレストを力で押し切る。力こそパワーという感じの健気な猪突猛進ぶりはゴール前に迫る過程では少しやり過ぎ感も垣間見える。あまりにも大雑把すぎて崩しから得点を奪う!というよりもただただ真っ直ぐにゴールに向かう!というニュアンスが強すぎるようにも見えた。
フォレストはそんなリーズの勢いに気圧され気味な序盤戦となった。雰囲気に飲まれてしまい、なかなか前進できないフォレストだったが、貴重な前進の機会を活かすと、FKから先制。ジョンソンがミドルから放った見事なシュートで押され気味の試合のスコアを先に動かすことに成功する。
得点直後は試合を落ち着かせることに成功したフォレストだが、徐々にリーズはペースを取り戻す。勢いも大事だが、やはりロジカルに前進が欲しいところ。ロカがギブス=ホワイトから入れ替わって前を向いたシーンのように、どこから中盤より後ろでズレを作りたいところではある。
アタッキングサードではニョントが攻撃の出口として奮闘するが、ややシュートが正直すぎる嫌いがあるのが玉に瑕。百戦錬磨のケイラー・ナバスを慌てさせるにはもう少しきっちり対面の選手を抜いてコースを作る必要があるだろう。リーズは前半のうちに追いつくことができず、試合はビハインドでハーフタイムを迎える。
後半も前半の焼き直しのような立ち上がりでリーズがボールを持ちながらガンガン攻めていく。迎え撃つフォレストはソフト面とハード面の両方で改善を図る。ソフト面というのは交代選手である。ニョントの対面であるRSB、ダニーロの対応にやや不安があるフォレストはそれぞれオーリエとコルバックを投入。いぶし銀の2人の活躍により、フォレストはそれなりにフィルター能力が強化される。フォーメーションは4-2-3-1に変更。サイドもバランスよくカバーできるプランに方針を変えた。
リーズは前節で指摘した問題点が改善する様子がない。アタッカーは常に単騎で勝負。それぞれが個人個人で戦い方を決めている節がある。ニョントの突破はある程度脅威だが、シュートコースは限定されるため、フォレストを打開する武器になっていない。自分で前を向き、自分で抜ききり、自分でフィニッシュする。1人1人がそこに向かって戦っている感があり、なかなか連携面を生かした決定機を迎えることができない。
バンフォードが下がってからはよりその傾向が顕著。クロスのターゲットマンがいなくなってからは許容できるアバウトさがさらに減り、リーズはより一層苦しい戦いを強いられる。
フォレストのカウンターも単発ではあったが、攻撃の匂いにきっちりと蓋をすることができているため、悪い試合運びとはいえないだろう。むしろ、大人にリードをきっちり守るフォレストの方が数段リーズよりも落ち着いて構えることができていた。
余裕を持って逃げ切りに成功したフォレスト。リーズのポゼッションを一蹴してさらに残留に向けた地位を固めた。
ひとこと
最小得点差なので何が起こるかわからないのがセオリーではあるのだが、そのセオリーを持ってしてもリーズの攻撃に得点の可能性を感じなかった。豊富な前線のタレントを単騎アタックで浪費しているのはとても勿体無い。
試合結果
2023.2.5
プレミアリーグ 第22節
ノッティンガム・フォレスト 1-0 リーズ
ザ・シティ・スタジアム
【得点者】
NFO:14′ ジョンソン
主審:ロベルト・ジョーンズ