安全性が担保になる流動性
トッテナム、ブライトンとトップ4のフォロワーが前の時間帯でことごとく勝ち点を落としている土曜日。最後の時間帯に試合をするのはそのトップ4の立ち位置を守る側のチームであるニューカッスルだ。勝ち点はなかなか得られない状態が続くボーンマスだが内容は悪くない。なんとかニューカッスルに一泡吹かせたいところだ。
立ち上がりはボーンマスは積極的にボールを狩りにいくスタンスを見せていた。この辺りは前節のブライトンに仕掛けたように陽動的な部分もあるだろう。ニューカッスルはボール保持できっちりとこのハイプレスを退ける。ここまでは悪くない流れだった。
ただ、前節の反省を生かしてなのか今節はアンカーのロングスタッフの周りにジョエリントンが常駐。なんなら高い位置に出ていくのは明らかにロングスタッフの方が多いくらいであった。こうしたポジションバランスの不可思議さは2列目にも波及。多くの選手が普段より持ち場を離れながらボール保持を行っていた。
ニューカッスルがアンカーのところに流動性を持たせるのはおそらくギマランイス不在の展開力不足を補うためだろう。人もボールも動くというやり方を持ち味にしているチームは確かにこの世にはあるが、ニューカッスルのような定点攻撃と実直さを売りにしているチームとはややテイストが違う感じもある。アンカーの背後のスペースをボーンマスに延々と使われていたのを踏まえると、こうした流動性をなかなかポジティブなものとしては捉えにくいだろう。
ボーンマスの攻撃を支えていたのはCFのソランケ。めちゃくちゃボールが収まる上に動きながら起点になれるという大車輪の活躍を見せる。キープする位置を作ることができたら、左サイドを中心にクロスから決定的なシーンを作っていく。そしてセットプレーから先制点をゲット。ニアのワッタラのスラしにファーに走り込んだセネシが合わせて先制点をゲットする。
ウィロックの負傷交代で中盤にゴードンが入ったニューカッスル。自由度の高さはそのままに流動的な攻撃はキープ。そうした中で自由な動きをみせていたロングスタッフの攻め上がりが収支プラスに傾くのだからサッカーは難しくて面白い。
後半、追いついたニューカッスルはまずはきっちりと押し下げるところから始めていく。立ち上がり早々はボーンマスも食らいついていくようにプレスに行っていたが、少し時間が経つとそんなプレッシングも落ち着くようになった。
前半は積極的な移動を見せていたCHも徐々に落ち着きを見せるように。押し込んだ時限定で前への飛び込みを解禁するなど後半は制限をかける形でプレーをすることができていた。
ただ、前半終了間際のゴールのようにこうしたバグ的な要素がニューカッスルの得点を呼び寄せていたのも事実である。そもそもギマランイスがいない故に始まった感がある移動でもあるので、こうしたバグがなくなると攻めあぐねるシーンも増えていくようになった。
そんなチームの中でバグとして機能していたのがサン=マクシマン。左サイドからのカットインを軸に、後半はバグを作り出すソリストとして存在感を放つ。ゴードンもサポート役として効いていた。
だが、そのサン=マクシマンが負傷交代してしまうと試合は沈黙。終盤は限られた決定機をモノにできなかったニューカッスルがボーンマス相手に2ポイントを落とすことになってしまった。
ひとこと
果敢な戦いが続くボーンマスは今節もなかなかのパフォーマンスを披露。勝てないと低迷中みたいなレッテルを貼られるだろうから、そろそろ勝利という結果を手にするところを見てみたいのだけど。
試合結果
2023.2.11
プレミアリーグ 第23節
ボーンマス 1-1 ニューカッスル
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:30′ セネシ
NEW:45+2′ アルミロン
主審:スチュアート・アットウェル