MENU
カテゴリー

「Catch up Premier League」~2023.2.13 プレミアリーグ 第23節 リバプール×エバートン ハイライト

目次

出足の良さを象徴する見事な先制点

 近年はリバプールの圧倒的な優位で迎えることが多かったマージーサイドダービー。だが、今回の雰囲気は少し違う。4試合勝ちなしで苦しむリバプールに比べると、むしろ監督解任で前節首位撃破に成功したエバートンの方が上向きなムードを感じる。アンフィールドといえどエバトニアンが期待できる流れである。

 両チームのスタメンで目につくのは故障者の存在。リバプールはチアゴ、エバートンはキャルバート=ルーウィンの穴をいかに埋めるかが重要になる。

 序盤、保持に回ったのはリバプール。IHに入ったバイチェティッチは低い位置に降りながらゲームメイクを行う。逆サイドのヘンダーソンも時折降りることがあったため、チアゴがいない分、IHのゲームメイクの意識は高く、いつもよりもプレーエリアも後方だたかもしれない。

 その分、今日もマティプは持ち上がる。前節は無理に突っ込んでいってる感があったマティプだが、今節はIHのポジションが比較的深かったことや、1トップ脇からの突撃にエバートンがやや戸惑っていることもあり、比較的高い効果を得られていたと言えるだろう。サイドからの攻撃においてはワンツーがほぼ読まれていたリバプールにとって、後方からマティプが支援する形は悪くはなかった。自陣でのボール処理の空振りにはゾッとしたけども。

 エバートンのプレスは初動でバックラインに圧力をかけて相手を止めるというよりは、相手がやり直しに出て行った時にラインアップして捕まえにいく形が多い。リバプールは良くも悪くも相手陣に突っ込んでいくことでやり直しは少なかったため、エバートンはラインアップのタイミングを掴むことができなかった。その分、リバプールの敵陣攻略の成功率も高くはない。クロスをファーで待ち構えるヌニェスのアクロバティックさがなければ、少なかったチャンスはさらに減っていてもおかしくはない展開だった。

 キャルバート=ルーウィンがいなくともいつも通り振る舞おうとしていた保持面のエバートン。シムズへのロングボールはスピードを生かすようにより左右に振りながらの配球にするなど工夫は見られていたが、さすがに連戦連勝を重ねていたキャルバート=ルーウィンほどの起点になることは見込めない。

 かといってグラウンダーで繋ごうとすれば粗が出る。ハイテンポで気持ちよくプレーできる時のリバプールはヘンダーソンがプレスのスイッチ役として機能することが多いのだけど、この日のリバプールはそうだった。バイチェティッチ、ファビーニョも含め、リバプールの中盤は堅実な働きを果たした。

 キャルバート=ルーウィンという前進の武器を失ったエバートンは徐々に重心を下げざるを得なくなる。イウォビ、マクニールは守備の時に取る位置が深くなる。撤退守備も前節と異なり、陣地回復はセットではないのでリバプールの押し込む機会が単純に増えることになる。

 優位に進めていたリバプールは前半の内に先制点をゲット。アーセナル戦を彷彿とさせるファーでのターコウスキの折り返しはクロスバーに当たる。すると、難を逃れたリバプールはCKのカウンターから一気に攻め上がり、最後はサラー。カウンターでチーム全体が見せた素晴らしい推進力はこの日のリバプールの出足の良さを象徴するものだった。一方のエバートンは安易に出て行ってしまって入れ替わられたコールマンの対応がまずかった。カウンター迎撃に出ていくならば、最悪ファウルでも止めるべき場面で素通りさせてしまった責任は重たい。

 リードを奪ったリバプールは後半早々に追加点をゲットする。イウォビのところでボールを奪うと、逆サイドにボールを大きく展開してカウンターを発動。やや時間がかかったかに思われたが、アレクサンダー=アーノルドのクロスはファーのガクポまで通り、リードをさらに広げることに成功する。

 このプレーにおいてはコーディにはクリアのチャンスがあった。ピックフォードとの連携面か、ファーにおけるガクポやコールマンの位置関係の把握のところかはわからないが、コーディが周囲の認知を誤っており、正しい判断ができなかった可能性が高い。

 守備面では貢献度が高かったターコウスキも保持においては中央に危険なパスミスを繰り返しており、安定感のあるプレーとはいえなかった。個々人のパフォーマンスが悪かったというのもあるが、高い位置に起点がなかったことでボールの失い方が悪かったり、苦手なショートパスでの繋ぎにトライした結果、エバートンにとって悪い方向に流れていくみたいな展開が多かった。

 押し上げられないまま単発で追う機会が増えたエバートンの中盤は、プレスの食いつきの良さがむしろマイナスに作用するランパード時代に逆戻りした感があった。彼らの背後を狙うガクポの存在もまたエバートンにとっては厄介だったはずだ。

 終盤、エバートンには単発で追撃弾を決めるようなチャンスが訪れたがモノにできず。特にファーでクロスを折り返したデイビスは試合の流れを変える機会があったと言えるだろう。

 セーフティリードをキープするリバプールはジョッタ、フィルミーノと長期離脱組のコンディション調整に交代枠を活用。今後を見据えた運用も含めてほぼ完璧なゲームプランと言っていいだろう。久しぶりのリーグ戦の勝利はマージーサイドダービー。後半の大目標であるCLに向けて戦力が整いつつあるのも大きな収穫である。

ひとこと

 一つがうまくいかなくなると、良かった部分も悪い方向に流れてしまうのが今のエバートン。きっかけはもちろんキャルバート=ルーウィンの不在だろう。得意な方向性は限られているチームなので、その方向性が出せないときにどう受け身を取るかも残留争いにおいては重要なファクターになる。

試合結果

2023.2.13
プレミアリーグ 第23節
リバプール 2-0 エバートン
アンフィールド
【得点者】
LIV:36′ サラー, 49′ ガクポ
主審:シモン・フーパー

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次